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Chapter16*虹の橋の彼方でーOver the Rainbow Bridge-***

虹の橋の彼方で[1]ー③***

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「吉野のナカ、熱くてトロトロで……最高。こっちが溶かされそうだ」
「ぁっ、やだ、そんな……っ、んっ…も……っ」

どんなに握りしめても窓ガラスを掴むことなど出来なくて、ただそこに張り付いているような姿勢になってしまう。そうしていないと今すぐにでも崩れ落ちてしまいそう。

後ろから回された大きな手に、両胸を捏ねるように揉みしだかれる。長い指の間からはみ出る感触を味わうように強弱をつけて。

そうしている間も、後ろからの律動はまったくゆるむことはない。肌と肌がぶつかる音と溢れ出しかき混ぜられる水音が、部屋中に響く。

ふたつの頂を指先でキュッと挟まれた瞬間、下腹部がギュンと締まったのが自分でも分かった。「あぁ…っ」と甲高い声で喘ぐと、耳元に熱い吐息を感じた。

「また締まった……これが好き?」
「や、」
「いいよ、思う存分感じて。可愛くくとこ、見せて」

そう言った彼は、そのままわたしの耳輪にカプリと歯を立てた。チリっとした痛みに「やっ」と顔を逸らそうとするけれど、すぐに歯を立てたところを舐められる。そのまま耳輪や耳の裏側を舌先で強く押すようになぞられた。

胸への愛撫と耳への刺激、そして隘路あいろを穿つ熱い塊。
それらすべてに追い立てられるように、躰はやすやすと高みへ向かっていく。


アキの運転する車で連れて来られたのは、お台場のホテルだった。

いつの間に部屋を取ったのか、駐車場からエレベーターで一気に客室階まで上がって来た。チェックインはいいのかな、と湧いた疑問は、「どうぞ」と促された部屋に入った瞬間吹き飛んだ。窓の向こうの景色に意識のすべてが持っていかれた。

『すごいっ……!』

言いながら駆け寄った窓の向こうには、東京湾とレインボーブリッジの夜景。
明かりをつける前の暗い部屋の中、それらはまるでスクリーンに映された映像のよう。

窓ガラスに両手をついて、張り付くように東京湾の夜景に魅入っていると、突然後ろから強くかきいだかれた。

抱きしめる腕の強さと温もりに、胸が痛いほど高鳴るのを感じてお腹の前の腕に手を添える。

『こんな素敵な夜景を見せてくれてありがとう』

そう言いたくて、首を後ろに回しながら『アキ』と呼んだ声は、口腔に押し入ってきた舌に絡めとられた。
極上のキスと躰をまさぐる大きな手に、立ったままかき乱されて、あっという間に潤った躰の芯。

後ろから熱い昂りが、これまでになく性急に押し入ってきた時は、その圧迫感に呻くように喘いだけれど、浅い抽挿を数回繰り返されただけで馴染み、それからはずっと激しく突かれている。

もうギリギリだ。

脚にはほとんど力は入っていない。彼の腕が支えていなければその場に崩れ落ちている。
激しく突かれるたびに、自分の内側が彼を求めて収縮する。途切れることのない快感の波に吞まれ、まっとうな思考なんてどこにも残っていない。

「ぁっ、……はっ、激しっ…から、も、……んやっ」
「ほら、吉野の好きな橋だ。ちゃんと見て」

あごを掬うように上げられて、前を向かされる。固く閉じていた瞳を言われるがまま薄く開くと、目の前の黒いガラスには、服を乱され顔を歪ませる自分がいた。

ひとつもボタンの止まっていないブラウス。剥き出しになった肩。
ブラジャーは留め金を外されただけで、所在なさげに膨らみの上でたわんでいる。
そのせいで露わになった二つの大きな丸みが、後ろから律動に合わせて揺れるのが見えた。

思わず「やっ、」と顔を背けると、耳元で「吉野に喜んでもらいたくて、ここにしたんだから」と掠れた声が言った。

「好きだよ、吉野」「ずっとこうしたかった」「もう離さない」

熱っぽい声を耳に吹き込まれるたび、胸がぎゅっと苦しいくらいに高鳴った。
「わたしも」と返したいのに、開いた口からは湿った喘ぎ声しか出てこない。

囁く言葉は甘すぎるのに、その動きはあまりに意地悪で。
胸の高鳴りと同時に、躰の芯も彼を求めて締め付けるのが分かるのか、その度に彼が奥深くを抉るように突いてくる。

「もっ……や、……ダメっ……あっ、」
「我慢しないで、吉野」

後ろから耳に吹き込まれた熱い声に、電流が流れるみたいに背筋がビリっと痺れた。
わたしが懸命に首を左右に振ると、アキが「きたくないの?」と訊く。

否応なしに高みに追い上げられた躰は、今すぐにでも弾けようとしていて、あと少しもそれに耐えられる気がしない。

――だけど。

「この…ままじゃ、や……っ」

すすり泣くような喘ぎ声の合間に、なんとかそう絞りだすと、ほんの少しだけ後ろからの律動が弱まった。その隙を逃さずわたしは叫んだ。

「かおっ、見て……きたいっ……」

完全にピタリと止まった動き。
さっきまでの激しさが嘘のようにピクリとも動かないことに不安になって、後ろを振り向こうとした時。

「え、きゃっ、……あぁっ、」

躰の芯を繋がれたまま、ぐるりと反転させられた。

立ったまま向かい合わせの状態で、片膝を抱えられていて。
それまでとは違う角度で、また別の感じるところを刺激されたせいで、内側がキュッと収縮し、じわりと蕩け出す。

既にほとんど力の入っていない躰は、いよいよ芯を抜かれたようにふにゃりと砕けそうになり、縋るように目の前の体に抱き着いた。

ずっと求めていたものをやっと得られた指先が、触れた布地を固く握り込む。
小柄なわたしは背の高いアキの首にぶら下がるような体勢になっているはずだけど、そんなことに構っている余裕はない。

「まったく……あなたってひとはっ」

耳元に苦しげな声。そのすぐあと、アキはわたしを半分抱えらるようにして激しく揺さぶり始めた。

「どうしてそんなに可愛いんだっ……」
「そんなことなっ、あ、ダメッ……、やっ」
「無自覚なのが、またタチ悪い。……ほかのヤツにそんな顔見せたら……許さない」
「そ、……んな顔って……あ、やぁっ、……ほかのひとになん、て……しないしっ」
「さっきから僕を煽ってばかりのくせに、」
「あお…ってなんて、」
「無自覚無意識無防備はこれだから……まあいいや。夜は長いんだ。じっくり時間をかけて教え込むよ。……僕じゃないと駄目だってこと」

アキはそこまで言うと、より一層律動を強めた。ついさっきまで散々蓄積された熱は、一気に高みに駆け上がる。

最奥を強く穿うがたれた瞬間、快感が爆ぜて頭が真っ白になった。
あまりに強い絶頂感に溺れるように広い背中にしがみ付くと、最奥でありったけの熱を放つ感覚に、わたしの全身が震えた。

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