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4.あの夜の続き***

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「あぅ……っ」

 さっきとは違う場所に彼のものが当たり、背中をのけ反らせる。彼は胸の尖りをパクリと口に含んだ。

「んやっ」

 きつく吸われながら小刻みに揺さぶられる。

「あっ、ま、待って、お兄ちゃ――」
「〝お兄ちゃん〟?」
「あ……」
「おまえは〝お兄ちゃん〟にこんなされて悦ぶのか?」

 彼は硬くしこった赤い実を舌で転がたまましゃべられ、終わるとすぐに再びきつく吸いながら反対の胸を揉みしだく。絶え間なく突き上げられた。

「ふっ、やっ、あ……あぁんっ」

 全身に力が入り、背中を大きくのけ反らせた後ぐったりと弛緩した。

ったか。のみ込みが早いところも変わってないな」

 さっきとは逆に後ろ向きに押し倒される。ベッドに背中が着くが早いか、彼が腰を引いた。

「待って、私、まだ」

 制止は間に合わず、ずん、と重たい一撃が来た。

「あぁ……っ!」

 腰の動きはあっという間に加速し、容赦なく突かれ続ける。最初こそ絶頂の余韻できつかったが、体はすぐに新たな快楽を追いかけ始めた。

「やっ……も、ふっ…………めぇっ」
「俺たちはもう正真正銘の夫婦だ。夫のことをきちんと呼べるようにならないとな。言えるまでの間、何度けるか試してみようか」

 聞こえた言葉に耳を疑う。うそでしょ? もう限界なのにこれ以上なんて……。
 情欲に濡れた瞳が細められた。

「さあどうする?」

 どうしよう……! 
 子どもの頃からずっと『圭吾お兄ちゃん』と呼んできたのだ。それなのにいきなりそんなこと言われても新しい呼び名なんて出てこない。

「ゆっくり考えたらいい。とりあえずその間にもう一回っとこうか」

 うそ。ちょっと待って。
 それを口に出す間もなく、浅い場所を抉るように突かれる。

「あ、やっ、そこだめっ……んっ」
「ここ、指でされるのもすきだったよな」
 
 体の奥からせり上がってきたものがなんなのか。もう考えるまでもない。いともたやすく極まろうとする体に必死に抗おうと頭を左右に振るが意味がなかった。目の縁に溜まっていたしずくを散らしながら、瞬く間に昇り詰めた。

 初めてなのに。こんなふうに乱れてしまう自分が信じられない。

「もう、やだぁ……圭吾のばかっ」

 握った両手で彼の胸を叩こうとしたら、手首をつかまれた。

「やっと呼んでくれたな」
「あ……」
「もう一度呼んで?」

 彼が顔を傾けてのぞき込んでくる。その蕩けるような笑みに、胸がきゅんと甘やかな音を立てた。

「こら、そんなに締め付けるなよ、やばいから」
「え!」
「ほら、早く呼んで」

 うながすように腰を軽く振られ、「あんっ」と口から声が漏れる。

「け……圭吾」
「はあ……たまらないな。最高にかわいいよ、奥さん」

 私をぎゅっと抱き締めた彼が、そのまま腰を激しく振り始める。
 肌と肌がぶつかる音とかき混ぜられる粘液の音が、広い和室に絶え間なく響きわたる。
 キングサイズのベッドの上で、蒸れた空気と淫猥な音が混ざり合う。

「香子、かわいい」
「あふっ……んぁっ、やっ……そんなにしちゃ、また……」
「何度でもったらいい――と言いたいとこだけど、俺ももう……いいか? 奥さん」

 頭を二度縦に振ると、待ってましたとばかりに抽挿が一気に速まる。

「そんな、あっ、ダメっ……けい、ごっ」
「香子っ……俺もっ」

 手加減の一切ない強さで最奥を何度も突かれ、最後にグリッと切先で抉るように押し込まれた瞬間。これまでにないほど苛烈な快感が電流のように全身に走り、頭も体も弾けた。

 どこか遠くへ飛ばされるような浮遊感に目を閉じたが最後、プツリと意識が途絶えた。


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