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3.あの頃と同じこと、違うこと。***

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 甘い責め苦からやっと解放されて荒い息をついていると、彼がTシャツを脱ぎ捨てた。惜しげもなくさらけ出されたたくましい上半身を、痺れた頭でぼうっと見入る。すると彼がクスリと笑った。

「放心するにはまだ早いからな」

 彼はそう言うと、スカートのファスナーを下ろしあっという間に足から引き抜いた。

「きゃあっ」

 身に着けるものがショーツ一枚になってしまい、あまりの恥ずかしさに顔から火が出そうになる。胸を両腕で隠したまま、内ももをぎゅっと寄せた。

「うぶなふりで誘っているのか?」
「なっ」

 ふりなんて自分にできるはずもない。

「なんだか癪だな」

 は? と目が点になった。なにが言いたいのか全然わからない。

「香ちゃんは、会わない間に体も中身もずいぶん成長した。男心をくすぐるすべまで身に着けて、胸だけでけるほど慣れている」
「ちがっ」

 頭がカァッと熱くなった。
 素肌を異性の目にさらけ出したのも、触れられて乱されるのも、全部これが初めてなのだ。
 誤解だと言わなければと思えば思うほど、気持ちが前にのめって口がはくはくと空振りする。
 突然ショーツの上から秘部をツーっと指で秘部をなぞられた。

「ひゃっ」
「ほら、濡れてる」
「……っ」

 恥ずかしい指摘に顔が真っ赤になる。言う通り、ショーツのクロッチは濡れて冷たい。

 さっきからずっと、おへその下あたりがじんじんと熱くてたまらなくて、中からなにかが蕩け出す感触はあったが、ここまでだとは思ってなかった。

 どうしよう、いやらしい女だと思われていたら……。
 ふりなんてしてない。なにもかも初めてのことだ。早くそう言わなきゃ。
 涙の溜まった瞳で恐る恐る見上げる。

「こ、こんなになったのは初めてで……その、他の人には、んっ!」

 両目を見張ったお兄ちゃんは、私の言葉を遮るように口を塞いだ。
 噛みつくような口づけで口腔を犯しながら、ショーツの横からごつごつとした指を差し込んできた。突然のことにビクンと背中が跳ねた。

「んあっ」

 指先が直に花弁に触れ、全身に力が入る。合わせを指でたどるように何度か行き来されるうちに水音が聞こえてくる。なにもかもが恥ずかしすぎて泣きそうだ。彼の唇が離れて行くと同時に、真っ赤になった半泣きの顔を両手で覆った。待っていたかのように、ショーツを剝ぎ取られる。

「あっ」

 一糸まとわぬ姿にされたことに気がついて、全身が発火したかのように熱くなった。急いで隠そうと手をやるが彼の方が早い。指先で花弁を割られた。

「やっ」
「いや? こんなに濡れてるのに?」

 わざと音を立てるように指を動かされ、ピチャリ、と淫猥な水音が響く。

「やらしい音」
「ちが……んっ」

 彼の反対の手が膨らみの縁をたどるように撫で、体のラインに沿ってゆっくり腰まで下りてきた。

「俺の知らない香ちゃんを他の男が知っていると思うと腹が立つな」

 一瞬「え?」と思ったが、それがなにを意味するのか考えるより先に、彼の手が膝を割った。

「きゃっ」

 濡れた秘所に空気に触れてすうっと冷たい。じっと視姦されて、体温がまた上昇する。自分でもじっくり見たことのない箇所を見られているのかと思ったら、頭が煮えそうなくらい恥ずかしい。それなのにとろりと蕩け出すものを自分ではどうすることもできない。

「ふーん。見られると興奮するんだな」

 カッと顔に火がついた。違うと言いたいのに、唇が震えて声が出せない。

「見たことのない顔をもっと見たいな」

 そう言うと彼は指を蜜口に差し込んだ。

「痛っ!」

 反射的に声を上げていた。突然の痛みに体がこわばる。さらに続く痛みに備えてぎゅっと目を閉じたら、手がするりと外された。
 え? と目を開けたら、両目を大きく見張った彼の顔が飛び込んできた。

「まさか……」

 はっと息をのむ。気づかれたことには驚いたけれど、隠そうと思って黙っていたわけじゃない。すぐにうなずく。

「なんで言わなかった」
「だって……」

 もしあの場で『実は未経験です』だなんて言ったら、絶対にお兄ちゃんは私に手なんて出さない。〝ひとりの女として見てもらいたい〟という過去の自分を、十数年越しでまた打ち砕かれるなんて悲しすぎる。
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