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番外編1 Holy Night Healing
美香とのコイバナ
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黙ったまま自分を凝視している千紗子の姿に、美香は「はぁ~っ」と深いため息をつくと、千紗子に顔を寄せてから、小声でコソコソと話し始めた。
「ちょっと前に千紗ちゃんが変な視線が気になるって言ってたでしょ?そのあとから千紗ちゃんの顔色が日に日に悪くなっていくから、私も気になってて…。それで雨宮さんが出張から戻ってきて、職場で会った時にちょっと相談したのよ。そしたら……雨宮さん、なんて言ったと思う?」
美香のアーモンド形の瞳が大きくなり、黒目がキラキラと輝きだす。
「えっと……、なんでしょう……」
戸惑う千紗子がそう答えると、美香は大きく開いていた瞳を今度は三日月のように細めて、ニヤリと笑った。
「『そのことならもう大丈夫。これからは千紗子は俺が守るから』っっだって~~~!!」
千紗子は一瞬で全身に火がついたように熱くなった。同時に背中に冷や汗が噴き出してくる。
美香はつい大きくなってしまった語尾に、慌ててその口元を手で押さえていた。
クリスマスイブの夕方のせいか、図書館には人もまばらで、今二人がいる児童書のコーナーには幼児連れの親子が一組いるだけだ。
けれど、同僚に聞かれては不味いと思ったのか、美香はそれとなく千紗子を書架と書架に挟まれた通路の端まで誘導した。
「誰にも言ってないわよ……っていうか、黙ってるなんて水臭いわよ、千紗ちゃん」
「……すみません」
「まあいいわ。だって相手があの人じゃ、なんとなく言い出せなかったのも分かるもの。いくら私が恋人一筋だって知っててもね」
「……ありがとうございます、美香さん」
「それに、その彼にも頼まれたしね」
「え?」
「『職場では秘密にしたいと千紗子は言うけど、河崎には千紗子の味方でいてほしい。』だって。ふふっ、愛されてるのね、千紗ちゃん」
耳打ちされた言葉に、千紗子の顔は更に熱くなり、もう美香の方を見れなくなってしまう。
「でも良かったわ、千紗ちゃん」
「え?」
「一時期は本当に見ていられないくらい辛そうだったもの。これでも心配してたのよ、私」
さっきまでのからかい半分の声色とは真逆の、心底気遣ってくれる優しい声に、千紗子は下げていた顔を上げた。
「でも、もう大丈夫そうね。ここ一週間くらいは顔色も良いし明るい笑顔も見れるようになったしね」
そう言って美香はにっこりと笑う。
その笑顔を見た時、自分が思っているよりも何倍もこの先輩は自分のことを気に掛けていてくれてるのだ、と千紗子は気が付いた。
「美香さん……ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと、美香は千紗子に顔を寄せてくる。
「今日だって、この後デートなんでしょ?」
小さく囁かれたその言葉に、千紗子は思いっきり動揺した。
「な、なんでそれを……」
「千紗ちゃんの顔を見てれば分かるわよ。朝からいつにもまして千紗ちゃんのまわりがほんわか明るいもの」
「ほんわか……」
千紗子には良く分からない理由だけれど、美香の言うことは事実だ。早番の仕事が終わった後、一彰とは待ち合わせの約束がある。
頬を赤くした千紗子に、美香は「うふふ」といたずらな顔で笑ってから、「今度また飲みに行きましょう。その時色々聞かせてね」と耳元で囁いた。
「ちょっと前に千紗ちゃんが変な視線が気になるって言ってたでしょ?そのあとから千紗ちゃんの顔色が日に日に悪くなっていくから、私も気になってて…。それで雨宮さんが出張から戻ってきて、職場で会った時にちょっと相談したのよ。そしたら……雨宮さん、なんて言ったと思う?」
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「えっと……、なんでしょう……」
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「まあいいわ。だって相手があの人じゃ、なんとなく言い出せなかったのも分かるもの。いくら私が恋人一筋だって知っててもね」
「……ありがとうございます、美香さん」
「それに、その彼にも頼まれたしね」
「え?」
「『職場では秘密にしたいと千紗子は言うけど、河崎には千紗子の味方でいてほしい。』だって。ふふっ、愛されてるのね、千紗ちゃん」
耳打ちされた言葉に、千紗子の顔は更に熱くなり、もう美香の方を見れなくなってしまう。
「でも良かったわ、千紗ちゃん」
「え?」
「一時期は本当に見ていられないくらい辛そうだったもの。これでも心配してたのよ、私」
さっきまでのからかい半分の声色とは真逆の、心底気遣ってくれる優しい声に、千紗子は下げていた顔を上げた。
「でも、もう大丈夫そうね。ここ一週間くらいは顔色も良いし明るい笑顔も見れるようになったしね」
そう言って美香はにっこりと笑う。
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「美香さん……ありがとうございます」
小さな声でお礼を言うと、美香は千紗子に顔を寄せてくる。
「今日だって、この後デートなんでしょ?」
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「千紗ちゃんの顔を見てれば分かるわよ。朝からいつにもまして千紗ちゃんのまわりがほんわか明るいもの」
「ほんわか……」
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