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【番外編】男の矜持(プライド)と斜め上の彼女***
男の矜持と斜め上の彼女***(5)
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強めに吸い上げながら舌を引き出し、押し付けるようにして先端から根元までたどっていく。間違っても逃げられないよう、腰と首の後ろはガッチリホールド。『要らぬことを言うのはこの舌か』と叱りつけたい気持ちから、おのずと動きが荒々しくなる。
「ぅんっ……んふ……っ」
鼻から抜けるくぐもった声に、くすぶっていた劣情がみるみる燃え上がった。
腰を押さえていた手を下にずらし、柔らかな双丘を揉む。甘い声を漏らしながらキュッと締まったその感触に、繋がっているときのことがよみがえって、一気に下半身が熱くなった。
今すぐこの昂ぶりをぶち込んで、激しく突きまくってやりたい。
いい年をしたおっさんとは思えない衝動をぐっとこらえ、彼女の口をいったん解放する。
「本気でそう思っているのか?」
希々花の誤解を『くだらない』と切り捨てることは簡単だが、それではきっとまた同じことの繰り返し。その原因は俺にある。静川のことを好きだと言いながら、希々花とも都合良く関係を持ってきたせいだ。
始まりはお互いのメリットの為。
当時の彼女は俺に対して好意なんて微塵も抱いていなかったことは確かだと思う。
セフレ関係になる前――まだ入社して数か月の頃だったか、希々花は大抵の男なら好感を抱くような人懐っこい笑顔を振りまいていたが、ふとした拍子に俺を胡乱な目で見ることがあった。だから「こいつは内心俺のことを嫌っているな」と感づいていた。
それなのにいったいいつ、彼女は俺のことを好きになったのだろう。まったくわからない。
だけどその長さと傷の深さが比例するとしたら――。
つくづく過去の自分が恨めしい。一発殴ってやってもいいと思う。
今までにも、割りきった関係の相手がいたことはあった。
だが正式な交際相手がいるときは、そういう相手は作っていない。誘われても断っていたし、誓って『浮気をしたことはない』と言える。
それだけじゃない。“恋人”と呼べる相手がいないときでも、特定の遊び相手がいればそれ以外の女に手を出すことはしなかった。いくら『割りきっている』と言われても、拗れたら面倒だからだ。
基本俺は器用な方じゃない。面倒なことも苦手。
女性関係のトラブルに時間と労力を割くよりも、もっとやるべきことがあったのだ。
俺は四人兄弟の三番目として育った。
四つ下の弟は純粋に可愛いが、四つ上と二つ上の兄は小うるさい目の上のたんこぶ的な存在。
部活かよと言いたくなるような上下関係の中で育ったせいで、大学卒業後は絶対に家を出たいとずっと思っていた。
大学まで実家から通ったのは、単に経済的な事情。
ごく一般的な中流家庭のわが家では、いくら両親が二人で懸命に働いても、兄弟全員を大学まで出すには相当のお金が必要。それでなくても食費や光熱費だけで家計は大変だったのだ。
そうして無事【Tohmaグループホールディングス】に就職できた俺は、ここで可能な限り上り詰めてやると意欲を燃やした。
大きな会社で出世すれば、稼ぎだけでなく社会的地位も大きい。
『行けるところまで上り詰めれば、誰かにうるさく指示されることも減るだろう』
それが俺の出世に対するモチベーションだった。
銀糸が引いた口元を拭ったその手で、希々花が着ているパーカーのファスナーを下げる。その下はルームウェアではなく、レースの下着――白い肌に目の覚めるような赤が煽情的な。
くそっ、朝っぱらからこんなエロい格好しやがって…!
一度、音を立てず深く息を吸い込んでから口を開いた。
「飽きる? ――まさか」
そう口にすると彼女の腰を横から抱き、耳介に触れるギリギリのところまで唇を寄せた。
「じゃあ俺をこんなふうにしたのは、いったい誰だと思う?」
硬く兆したものをぐっと押し付け、耳孔に舌でなぞりながら「ん?」とワザとらしく尋ねてやると、細い体がぶるりと震える。その様子にまた煽られ、さらに熱く猛る下半身を擦りつけながら細い首筋に舌をはわせた。
「あっ……」
あえて留め具を外さずに押し上げながら下着に手を入れ、膨らみをやわやわと揉みしだく。
反対の手をショーツの中に差し入れると、そこはすでに熱くぬかるんでいた。
トロトロと蜜が溶け出している入り口に指先をあてがうと、あえかな吐息を漏らした希々花がそれを飲み込んでいく。うねるように絡みつく内襞の感触に、まだ挿れてもないのにグッと喉が鳴った。
「こんなに濡らして……昨夜、あのたった一回のセックスであんなに達ったくせに、まだ足りていないのか?」
「そんなことっ……やっ、ぁん……っ」
耳朶を咥えて舌で転がしながら指を動かすと、キュッと内壁が締まる。
「体は正直だな。相変わらず強がりだけど、そういうところもたまらないよ希々花」
耳もとで囁きながら弱いところを緩くこすってやると、もどかしげにもだえながら彼女が腰をくねらせる。
「ほら、どうして欲しいんだ? 素直に言えばその通りにしてやるぞ」
「やっ、んふっ……、あぁっ……」
淫猥な水音が大きくなるように指を動かしながら、その動きを強めてはすぐにゆるめる。それを何度か繰り返すと、希々花が首をねじってこちら振り返った。
「もうっ……あきとさんのばかぁ、いじわるぅっ……」
潤んだ瞳で恨めしげ見上げられただけで、はち切れそうなほど下半身に熱が集まる。
この小悪魔め!そろそろこっちも我慢の限界だ。
けれど、こっちだって伊達に年を食っているわけじゃない。そうやすやすと転がされてなるものか。
「ぅんっ……んふ……っ」
鼻から抜けるくぐもった声に、くすぶっていた劣情がみるみる燃え上がった。
腰を押さえていた手を下にずらし、柔らかな双丘を揉む。甘い声を漏らしながらキュッと締まったその感触に、繋がっているときのことがよみがえって、一気に下半身が熱くなった。
今すぐこの昂ぶりをぶち込んで、激しく突きまくってやりたい。
いい年をしたおっさんとは思えない衝動をぐっとこらえ、彼女の口をいったん解放する。
「本気でそう思っているのか?」
希々花の誤解を『くだらない』と切り捨てることは簡単だが、それではきっとまた同じことの繰り返し。その原因は俺にある。静川のことを好きだと言いながら、希々花とも都合良く関係を持ってきたせいだ。
始まりはお互いのメリットの為。
当時の彼女は俺に対して好意なんて微塵も抱いていなかったことは確かだと思う。
セフレ関係になる前――まだ入社して数か月の頃だったか、希々花は大抵の男なら好感を抱くような人懐っこい笑顔を振りまいていたが、ふとした拍子に俺を胡乱な目で見ることがあった。だから「こいつは内心俺のことを嫌っているな」と感づいていた。
それなのにいったいいつ、彼女は俺のことを好きになったのだろう。まったくわからない。
だけどその長さと傷の深さが比例するとしたら――。
つくづく過去の自分が恨めしい。一発殴ってやってもいいと思う。
今までにも、割りきった関係の相手がいたことはあった。
だが正式な交際相手がいるときは、そういう相手は作っていない。誘われても断っていたし、誓って『浮気をしたことはない』と言える。
それだけじゃない。“恋人”と呼べる相手がいないときでも、特定の遊び相手がいればそれ以外の女に手を出すことはしなかった。いくら『割りきっている』と言われても、拗れたら面倒だからだ。
基本俺は器用な方じゃない。面倒なことも苦手。
女性関係のトラブルに時間と労力を割くよりも、もっとやるべきことがあったのだ。
俺は四人兄弟の三番目として育った。
四つ下の弟は純粋に可愛いが、四つ上と二つ上の兄は小うるさい目の上のたんこぶ的な存在。
部活かよと言いたくなるような上下関係の中で育ったせいで、大学卒業後は絶対に家を出たいとずっと思っていた。
大学まで実家から通ったのは、単に経済的な事情。
ごく一般的な中流家庭のわが家では、いくら両親が二人で懸命に働いても、兄弟全員を大学まで出すには相当のお金が必要。それでなくても食費や光熱費だけで家計は大変だったのだ。
そうして無事【Tohmaグループホールディングス】に就職できた俺は、ここで可能な限り上り詰めてやると意欲を燃やした。
大きな会社で出世すれば、稼ぎだけでなく社会的地位も大きい。
『行けるところまで上り詰めれば、誰かにうるさく指示されることも減るだろう』
それが俺の出世に対するモチベーションだった。
銀糸が引いた口元を拭ったその手で、希々花が着ているパーカーのファスナーを下げる。その下はルームウェアではなく、レースの下着――白い肌に目の覚めるような赤が煽情的な。
くそっ、朝っぱらからこんなエロい格好しやがって…!
一度、音を立てず深く息を吸い込んでから口を開いた。
「飽きる? ――まさか」
そう口にすると彼女の腰を横から抱き、耳介に触れるギリギリのところまで唇を寄せた。
「じゃあ俺をこんなふうにしたのは、いったい誰だと思う?」
硬く兆したものをぐっと押し付け、耳孔に舌でなぞりながら「ん?」とワザとらしく尋ねてやると、細い体がぶるりと震える。その様子にまた煽られ、さらに熱く猛る下半身を擦りつけながら細い首筋に舌をはわせた。
「あっ……」
あえて留め具を外さずに押し上げながら下着に手を入れ、膨らみをやわやわと揉みしだく。
反対の手をショーツの中に差し入れると、そこはすでに熱くぬかるんでいた。
トロトロと蜜が溶け出している入り口に指先をあてがうと、あえかな吐息を漏らした希々花がそれを飲み込んでいく。うねるように絡みつく内襞の感触に、まだ挿れてもないのにグッと喉が鳴った。
「こんなに濡らして……昨夜、あのたった一回のセックスであんなに達ったくせに、まだ足りていないのか?」
「そんなことっ……やっ、ぁん……っ」
耳朶を咥えて舌で転がしながら指を動かすと、キュッと内壁が締まる。
「体は正直だな。相変わらず強がりだけど、そういうところもたまらないよ希々花」
耳もとで囁きながら弱いところを緩くこすってやると、もどかしげにもだえながら彼女が腰をくねらせる。
「ほら、どうして欲しいんだ? 素直に言えばその通りにしてやるぞ」
「やっ、んふっ……、あぁっ……」
淫猥な水音が大きくなるように指を動かしながら、その動きを強めてはすぐにゆるめる。それを何度か繰り返すと、希々花が首をねじってこちら振り返った。
「もうっ……あきとさんのばかぁ、いじわるぅっ……」
潤んだ瞳で恨めしげ見上げられただけで、はち切れそうなほど下半身に熱が集まる。
この小悪魔め!そろそろこっちも我慢の限界だ。
けれど、こっちだって伊達に年を食っているわけじゃない。そうやすやすと転がされてなるものか。
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