【完結】kiss and cry

汐埼ゆたか

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kiss and cry ***

kiss and cry ***(3)

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抱えられて互いの唇を貪り合いながらベッドへ。
背中にマットレスが当たると同時に、ぎゅうっと強く抱きすくめられる。
これ以上ないほど互いの体をぴったりと密着させて、息継ぎもそこそこに激しいキスを交わした。

呼吸は乱れ、酸素不足で頭が芯から痺れたようになっているけれど、止めたいなんて少しも思えない。

離したくないし離れたくない。
このまま気を失ってもいいとすら思う。

これでもかと互いの腕に力を込め合って、熱い躰を押しつけ合っても全然満たされない。あたしたちを隔てる布切れが憎らしくなった。

それは彼も同じだったのかも。
あたしのブラウスをウエストから乱雑に引き出すと、素早い手つきでボタンを外し始める。
数個外したところで、まどろっこしいと言わんばかりに頭から引き抜き、ベットの下にパサリと落としてから、あっという間に自分のシャツも脱ぎ捨ててしまった。

目の前に現れたのは、引き締まった上半身。
分厚い胸板と逞しい上腕二頭筋に、目を奪われたのも一瞬のこと。
気付いたら素肌を覆うものがショーツ一枚になっていて、彼が真上からじっと見下ろしていた。

「やっ……」

あらわになった胸元をとっさに隠そうと、両手を前に持っていこうとしたけれど、それを阻まれた。

両手を顔の両側に縫い留められた状態で視線を注がれ、つま先から頭まで一気に血が沸き上がり、羞恥の涙が滲んでしまう。

「見ちゃ、やっ……」
「なんで」
「だって……サンみたくおっきくないもん……」

ふいっと横を向いて、もごもごと言う。

『大きくない』なんて嘘。控えめに言っても『小さい』一択。

ひそかなコンプレックスであるこの胸を、彼だってきっと前から物足りなく思っていたに違いない。
今さらだと分かっていても、セフレの時には見て見ないフリをしていたことが、どうしようもなく気になった。

するとふっと息を吐くような笑い声と共に、こめかみに小さなキスが落とされた。

「ばかだな。大きい小さいとかじゃなくて、希々花のだから興奮するんだろ」

真顔でドキッパリとそう言い切った彼に虚を突かれ、ぽかんとした顔で見上げると。

「こんなにツンとち上がらせて。『今すぐ食べて』と強請ねだっているのか?」
「そんなことっ、んな……っ」

短い悲鳴と一緒に躰がしなった。彼が突然いただきをベロンと舐めたのだ。

「綺麗なうえに感度もいいな」
「ふぁっ……」

口に含まれたまま喋られて、思わず腰を捩りながら逃げようとしたけれど、上にのしかかる体が重石おもしとなっていてできない。

「あ……っ、ぁ、んやぁ……っ」

赤い実を味わうように舌で転がされながら時々きつく吸われ、同時に反対側の胸も手で揉みしだかれて、あたしははしたない声を我慢できない。

するとショーツのクロッチ脇から、長い指が差し込まれた。

「んっ……」

いつになく性急な様子で入り込んできたそれに、一瞬体が硬くなったけれど、優しく花弁のあわいを辿られて腰が跳ねる。
すでにしとどに濡れそぼったそこから掬い取るように小さな実に塗られ、そのままくるくると指先でもてあそばれ、悶えるほどの愉悦が込み上げた。

あまりに大きな快感の波から逃げようと腰を捩った瞬間、花弁を割った指が内側に入ってきた。

「こんなに濡らして……そんなに欲しかった?」
「ぁう……っ」

付け根まで沈められた指で内壁を押し広げられ、うめくように喘ぐ。

「俺は欲しかったよ。おまえのことが、ずっと――」

彼はそう言うと、中に埋めた指をバラバラに動かし始めた。

かき混ぜられて泡立つ、粘ばり気のある水音。
自分の意志とは関係なく口から漏れ出る嬌声。

自分から出ている淫猥なふたつの音に耳を塞ぎたくなって、両目を固く閉じて「いやいや」をするみたいに顔を左右に振る。

すると「もっと欲しいのか?」と言って指を増やすと、再び赤い実を口に含んだ。
長い指がバラバラに内壁を擦り、胸の先端をきつく吸い上げられる。

「あっ……はっ……、それやっ、ぁんっ……」
「嫌じゃないだろ?なんて言うんだ」
「やっ……」
「ほら、希々花。言えよ」

上下同時に与えられる快感があまりに強すぎて、羞恥心なんてどっかに飛んで行ってしまった。
頂点に向かって加速する快感に、感覚も思考も支配されていく。

「いいっ、すきぃ……、はンっ……も、やぁっ、だめぇ……っ」

赤い実を舌で押しつぶされながら最奥を抉られた瞬間、全身が弓なりにしなって快感がぜた。
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