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第三章 異世界に来たけど、自分は慈善活動を始めました
第七十七話 アレクサンダーside
しおりを挟む何度目かの吐精の後、カイはぐったりとベッドに沈んだ。カイの身体はべっとりと白濁に塗れて汚れていて、中も外もドロドロになっているというのに、本人はどこか幸せそうだった。
起こさないようにゆっくりとカイの中から自分のを引き抜くと、孔からコポッと精液が溢れてきた。中に出しすぎたと反省したが、アレクサンダーが我慢出来なくなるほど煽ってきたカイが悪いと言いたい。
"中に……中に出してッ……!"
いくら発情状態になっていたとはいえ、蕩けた表情で懇願されてしまってはアレクサンダーの理性がもたない。女と違って、男であるカイは中に出されても孕むことは無い。どれだけ注いだとしてもアレクサンダーの子を産むことは出来ないのだ。それでもカイはアレクサンダーの子種を腹で受け止め続け、嬉しそうに笑った。
「カイ」
疲れた顔で眠っているカイは身を丸めて縮こまっている。腹を守るようにして。
カイが発情してしまったのは自分のせいだ。
アレクサンダーが若い頃にも度々あった事だったから、カイの状態を見てすぐに分かった。アレクサンダーのもつ微力な魔力に酔ってしまったことに。魔力をもたない人間と深く繋がるといつもこうなる。カイほどではないが、アレクサンダーと寝た女性たちも魔力に酔って乱れていた。
ただ、彼女たちは酔ったとしてもすぐに正気に戻って自分がしでかしてしまったことを恥じていた。魔力酔いが起きてしまったことを知ることなく、彼女たちはアレクサンダーから離れていった。原因はアレクサンダーのモノが大きすぎて入らないというのと、アレクサンダーと寝ると理性が吹き飛んで自分が分からなくなる恐怖だった。
もしかしたらカイもそう思うかもしれない。
カイは上からも下からもアレクサンダーのを飲んでいたせいで魔力酔いが酷くなり、強い催淫効果となってしまった。何回射精してもカイの腰は止まらず、気絶するその時まで快楽に飢えていた。初めての性行為でこんな激しくなるとは本人も予想していなかったはず。
「悪い……」
濡らしたタオルでカイの身体を清めながらアレクサンダーはポツリと呟いた。酷くしない、辛い思いはさせないという約束は果たすことが出来なかった。
「ん……」
「カイ?」
全身を拭き終わったところで、カイがモゾりと動いた。うっすらと目を開けてぼうっとした顔でアレクサンダーを見上げる。
「あれく」
「大丈夫か?」
「だいじょぶ、といいたいけど、こしがいたい」
眠そうな声でカイはぽつぽつと喋る。
「眠いなら寝ていていいぞ」
「ねむい、けど……」
そこで言葉を切ると、カイはベッドの端に座っていたアレクサンダーの腰へと擦り寄ってきた。
「あれく、ひざかりちゃだめ?」
「膝?」
「うん」
アレクサンダーの返事を待たずにカイは頭を膝へと乗せ、また夢の中へと入っていった。
カイが起きた時はどうなるかと思ったが、アレクサンダーが心配しているようなことは無さそうで安心した。
まだカイに説明していないからというのもあるのだろうけど、事情を話してカイがどう思うかが気がかりだ。
下手したらもうアレクサンダーとは出来ないとなるかもしれない。そうなったらそうなったで受け入れるつもりではいるし、カイがそれ以上のことを望むと言うのであれば……。
そこまで考えてアレクサンダーは首を横に振った。
無理だ。カイに別れたいと言われて、素直に別れられるはずもない。これだけ愛してしまっているのに離れるなんて選択肢をアレクサンダーは選べなかった。
どうしたらいいんだ──アレクサンダーの膝を枕にしてすやすや眠るカイの頭を撫でながら、最悪な結果にならないようにどうすべきかを考え尽くす。
結局、何も良い案はでなかったが。
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