異世界に来たけど、自分はモブらしいので帰りたいです。

蒼猫

文字の大きさ
上 下
81 / 121
第三章 異世界に来たけど、自分は慈善活動を始めました

第七十七話 アレクサンダーside

しおりを挟む


 何度目かの吐精の後、カイはぐったりとベッドに沈んだ。カイの身体はべっとりと白濁に塗れて汚れていて、中も外もドロドロになっているというのに、本人はどこか幸せそうだった。

 起こさないようにゆっくりとカイの中から自分のを引き抜くと、孔からコポッと精液が溢れてきた。中に出しすぎたと反省したが、アレクサンダーが我慢出来なくなるほど煽ってきたカイが悪いと言いたい。

 "中に……中に出してッ……!"

 いくら発情状態になっていたとはいえ、蕩けた表情で懇願されてしまってはアレクサンダーの理性がもたない。女と違って、男であるカイは中に出されても孕むことは無い。どれだけ注いだとしてもアレクサンダーの子を産むことは出来ないのだ。それでもカイはアレクサンダーの子種を腹で受け止め続け、嬉しそうに笑った。

「カイ」

 疲れた顔で眠っているカイは身を丸めて縮こまっている。腹を守るようにして。


 カイが発情してしまったのは自分のせいだ。
 アレクサンダーが若い頃にも度々あった事だったから、カイの状態を見てすぐに分かった。アレクサンダーのもつ微力な魔力に酔ってしまったことに。魔力をもたない人間と深く繋がるといつもこうなる。カイほどではないが、アレクサンダーと寝た女性たちも魔力に酔って乱れていた。

 ただ、彼女たちは酔ったとしてもすぐに正気に戻って自分がしでかしてしまったことを恥じていた。魔力酔いが起きてしまったことを知ることなく、彼女たちはアレクサンダーから離れていった。原因はアレクサンダーのモノが大きすぎて入らないというのと、アレクサンダーと寝ると理性が吹き飛んで自分が分からなくなる恐怖だった。

 もしかしたらカイもそう思うかもしれない。
 カイは上からも下からもアレクサンダーのを飲んでいたせいで魔力酔いが酷くなり、強い催淫効果となってしまった。何回射精してもカイの腰は止まらず、気絶するその時まで快楽に飢えていた。初めての性行為でこんな激しくなるとは本人も予想していなかったはず。

「悪い……」

 濡らしたタオルでカイの身体を清めながらアレクサンダーはポツリと呟いた。酷くしない、辛い思いはさせないという約束は果たすことが出来なかった。

「ん……」

「カイ?」

 全身を拭き終わったところで、カイがモゾりと動いた。うっすらと目を開けてぼうっとした顔でアレクサンダーを見上げる。

「あれく」

「大丈夫か?」

「だいじょぶ、といいたいけど、こしがいたい」

 眠そうな声でカイはぽつぽつと喋る。

「眠いなら寝ていていいぞ」

「ねむい、けど……」

 そこで言葉を切ると、カイはベッドの端に座っていたアレクサンダーの腰へと擦り寄ってきた。

「あれく、ひざかりちゃだめ?」

「膝?」

「うん」

 アレクサンダーの返事を待たずにカイは頭を膝へと乗せ、また夢の中へと入っていった。

 カイが起きた時はどうなるかと思ったが、アレクサンダーが心配しているようなことは無さそうで安心した。
 まだカイに説明していないからというのもあるのだろうけど、事情を話してカイがどう思うかが気がかりだ。
 下手したらもうアレクサンダーとは出来ないとなるかもしれない。そうなったらそうなったで受け入れるつもりではいるし、カイがそれ以上のことを望むと言うのであれば……。

 そこまで考えてアレクサンダーは首を横に振った。
 無理だ。カイに別れたいと言われて、素直に別れられるはずもない。これだけ愛してしまっているのに離れるなんて選択肢をアレクサンダーは選べなかった。

 どうしたらいいんだ──アレクサンダーの膝を枕にしてすやすや眠るカイの頭を撫でながら、最悪な結果にならないようにどうすべきかを考え尽くす。

 結局、何も良い案はでなかったが。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

聖女の兄で、すみません! その後の話

たっぷりチョコ
BL
『聖女の兄で、すみません!』の番外編になります。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!

ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

マリオネットが、糸を断つ時。

せんぷう
BL
 異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。  オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。  第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。  そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。 『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』  金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。 『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!  許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』  そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。  王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。 『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』 『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』 『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』  しかし、オレは彼に拾われた。  どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。  気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!  しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?  スラム出身、第十一王子の守護魔導師。  これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。 ※BL作品 恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。 .

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

処理中です...