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第四章
19. 密会
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本で薬材の扱い方を調べ、注意点を頭に叩き込んだ。ニコラウスさんの調合台の前に立ちスキルで効力を確認しながら調合する。
「やっぱり君は魔力を使わずに調合できるんだね。でもそれだけじゃないんでしょ?効力や効果が見ただけで分かる、とか。」
「いつから気が付いていたんですか?」
「私の解毒薬を調合した時からね。君の魔力で調合できる薬じゃないし、テンレンカは扱いが難しいんだ。だから成長効果という貴重な効果を持っていても比較的安価で手に入る。どんなに優秀な調合師でも機材を使って確認しながらでなければ調合が難しいんだ。それを機材もなくやってのけるとは普通に考えたらあり得ないことなんだよ。」
「そうでしたか・・・。」
「確信したのはレベッカの言葉でだけどね。魔力ランク1なら、どんなに回復薬を使ってもドゥブ毒の解毒薬など作れるはずもない。私ですら回復薬を使っても作ることはできないというのに。」
「えっ!?」
ニコラウスさんはそんなことも知らなかったのか、というように深いため息をついた。
「全く君は・・・。」
ニコラウスさんが私の頭をポンと叩く。
「コアの茎を投入する時に私の魔力を流してあげるよ。」
そしてその日の夜には逆惚れ薬が完成した。
「記憶を取り戻す薬は作らなくて良かったの?」
ジェーバ・ミーヴァまで行く長距離馬車に揺られながらニコラウスさんの言葉に頷いた。
「君のことを思い出さなくてもいいってこと?」
「はい。」
「ジェーバ・ミーヴァまであと5時間はかかる。少し眠るといいよ。」
ニコラウスさんに言われて目を閉じた。レイの記憶をなぜ取り戻そうとしないのかと深く聞いて来ないニコラウスさんにほっとしていた。
ジェーバ・ミーヴァの街に着いたのは昼過ぎだった。そこから通りなれた道を抜けトドルフの森へ入ると落ち着きなくウロウロしているシルエットが見えた。
「ルカ!」
「ライファ!!どこに行ってたんだよ。心配した。」
「急にいなくなってごめん。取りあえず場所を変えよう。」
ルカを連れて人気のない森の奥へと移動する。
「ねぇ、この男の人は誰?」
ニコラウスさんには聞こえないように声を潜めてルカが聞く。
「んー、ちょっとした知り合い、かな。」
「知り合い、ね。もしかして誘拐?脅されてるの?」
「違うよ。脅されているのならこうしてルカに会いに来られないと思うよ。皆には内緒にして出てきてくれた?」
「うん、自主トレーニングしてくるって言ったから大丈夫だとは思うけど。ねぇ、どうしていなくなったの?」
私とルカが倒れた木に座って話をしている側でニコラウスさんは木に寄りかかってこちらを見ていた。
「私には私にしかできないことがあるから。そしてそれはここにいることじゃないんだ。ローザは強敵でしょ。そんな相手に立ち向かう時はいくつものプランがあった方がいいよ、」
「それはそうだけど・・・。」
ルカが納得したくないような複雑な表情をした。
「それより、これをレイに飲ませて欲しいんだ。薬を飲んで最初に目にする人はレベッカ様であって欲しいから、レベッカ様と一緒にいる時に飲むようにしてほしい。」
「これ、もしかして惚れ薬の解毒薬!?」
「そうだよ。即効性があるかは分からないけど、飲めば惚れ薬の効果は消えていくはずだ。レイには自分の意志で人を好きになって欲しいから。」
「ライファも気が付いていたのか。そうだよね。あんなレイは不自然だ。この薬を飲めばライファのことも思い出すんでしょ?」
ルカの言葉に肩を竦める。
「思い出さない。解毒するのは惚れ薬の部分だけなんだ。」
「もしかしてわざとそうしたの?」
「ん。」
「どうして!!」
ルカが大きな声を出す。
「ライファはレイのことが好きなんじゃないの?もう嫌いになったの?」
「嫌いになんかなってない。嫌いになんかなれないよ。」
「じゃあ、どうして?」
「怖くなったんだ。パウパオ島にいた時さ、サリア嬢からレイが貴族の地位を捨てるつもりだと聞いた。ジェンダーソン侯爵家を出て私と一緒に生きるつもりだって。そこまでしてくれるレイに私は何をしてあげられるんだろう。いつも守って貰うばかりだしさ。それに、ジェンダーソン侯爵夫妻の気持ちを思うと、レイは貴族と結婚した方がいいんだよ。」
「それはライファが思ったことでしょ。レイが言ったことじゃないでしょ。」
「うん。でもいいんだ。もう決めたことだから。レイが記憶を失ったのはきっとその方がいいよってことなんだよ。」
最後の言葉は自分に言い聞かせるための言葉でもあった。
「それより先生の薬の方はどうなってる?ルカがこうしているってことはリーヤの薬材は無事に手に入ったってことだよね?」
「勿論。すごく大変だったけど薬材は手に入れた。強力なヒーリングの方の薬は完成してて、後は催眠を何とかする薬の方なんだけど、苦戦しているみたい。回復薬をガンガン飲みながらグラントさんやグショウ隊長たちにも手伝わせてるよ。調合には大量の魔力が必要になるからね。」
「そうか、急に出てきて悪いことしちゃったな。」
「帰ってきたら覚悟した方がいいかもね。みんなライファのご飯にも飢えてるし。」
ルカはそこで言葉を切って不安そうな目で私を見つめた。
「帰ってくるよね?」
帰れるだろうか。帰るだろうか。自分でもよく分からなかった。それでも不安そうなルカの目を見ると分からないなんて言えるはずもなく。
「うん、帰ってくるよ。」
微笑むとルカは私の手を強く握った。
「ライファ、死ぬなよ。」
「分かってる。ルカも。皆も無事でいること願ってるよ。」
「うん。」
「じゃあ、私はもう行くから。レイのこと、頼むね。」
そう言いながらルカにハグをした。そしてニコラウスさんに聴こえないように小さな声で囁く。
「ルカ、レベッカ様はローザと繋がっている。」
ルカの体がピクッと反応したのを確認して離れた。
「ニコラウスさん、行こう。」
ジェーバ・ミーヴァからニコラウスさんの家まで帰る間、私たちは余計なことは話さず終始無言だった。私は私で考え事をしていたし、同じようにニコラウスさんも何か考えているようだった。家に着いて炎暖房をつけているニコラウスさんの横でお茶を淹れる。まるでずっと一緒に暮らしているかのようだ。
こんな未来、想像もしなかった。
「大丈夫か?」
「何がですか?」
「いや、なんとなく。」
「大丈夫なんじゃないです。でも、そんなこと言っていられないじゃないですか!!」
ニコラウスさんのせいでこんなことになっているのに、まさかその本人から大丈夫かと聞かれるとは。いや、違う。ニコラウスさんはきっかけを作ったのであって、それに甘んじたのは自分だ。レイの中から私が消えてしまったように、私の中からレイが消えるまでどれくらいの時間が必要なのだろう。消えなくてもレイを見ても何とも思わなくなるくらいまで薄まってくれなければ。
しんどいな、これ。
「どうぞ。」
淹れたお茶をニコラウスさんに渡しながら思いついたことを口にする。
「ニコラウスさん、ちょっと考えがあるのですが聞いてもらえますか?」
「何?」
「ローザの持っている薬に何か細工は出来ないでしょうか。」
「細工ねぇ。細工をしようにもローザに会ったら見抜かれるよ。」
「会ったら、ですよね。会わなきゃいいんですよ。」
「忍び込むってこと?それは無理じゃないかな。屋敷はローザの体内のようなものだ。自分の見知らぬ異物が入っていたら気がつくだろう。」
「とすると、屋敷内に侵入はできないですね。ローザは移動魔法陣で魔獣を移動させているのですよね?どのタイミングで薬を飲ませるんですか?」
「前回は移動させた直後だったよ。空間移動魔法陣を短期間で各地に繋ごうと思ったら魔法陣は小さくするしかない。だからガルシアの時は魔獣を小さくし魔方陣で移動してから禁忌の薬を飲ませ体の大きさを戻した。」
ギリっと唇を噛む。こういう話を聞くとニコラウスさんがローザの協力者だということを痛感させられる。落ち着け、私。今は自分の気持ちに構ってはいられない。
「でも今回は時間が経てば自然と元の大きさに戻る薬を作ってきたから、魔法陣で移動させる前に薬を飲ませるかもね。」
「魔法陣で移動する前で屋敷ではないところ、か。でも魔獣を魔法陣まで移動させている間はローザがついていますよね?」
「多分ね。」
「ダメか・・・。どうしたらいいのだろう。」
「ひとつ方法があるよ。」
「なんですか?」
「私が薬を盛ればいい。私がローザの屋敷にいるのは不自然じゃないからね。」
「協力してくれるのですか?」
「もうすでに協力していると言ってもいいと思うんだけど。」
「でも、この先は命の危険が伴います。」
「じゃあさ、全てが終わって生きていたら君は家には帰らずに私といてくれる?それなら協力するよ。」
ピクッと体が動いた。魔女の家に帰るかどうか迷っているのは本当だ。あの場所はレイに近すぎるから。かと言って帰らないと決めるにはまだ迷いがあった。でも、この先、ニコラウスさんに協力してもらうのならば本当に命をかけてもらうことになる。それならば私も相応の覚悟を決めるべきだと思った。私はあなたの望むことをしてあげないけどあなたは命をかけてね、なんてどの口で言えよう。
「わかりました。ニコラウスさんと一緒にいます。」
私がそう言うとニコラウスさんは嬉しそうに笑った。
「私に良い薬のプランがある。薬材を集めるのにも苦労はしないはずだ。さっそく今晩から調合を始めよう。」
「やっぱり君は魔力を使わずに調合できるんだね。でもそれだけじゃないんでしょ?効力や効果が見ただけで分かる、とか。」
「いつから気が付いていたんですか?」
「私の解毒薬を調合した時からね。君の魔力で調合できる薬じゃないし、テンレンカは扱いが難しいんだ。だから成長効果という貴重な効果を持っていても比較的安価で手に入る。どんなに優秀な調合師でも機材を使って確認しながらでなければ調合が難しいんだ。それを機材もなくやってのけるとは普通に考えたらあり得ないことなんだよ。」
「そうでしたか・・・。」
「確信したのはレベッカの言葉でだけどね。魔力ランク1なら、どんなに回復薬を使ってもドゥブ毒の解毒薬など作れるはずもない。私ですら回復薬を使っても作ることはできないというのに。」
「えっ!?」
ニコラウスさんはそんなことも知らなかったのか、というように深いため息をついた。
「全く君は・・・。」
ニコラウスさんが私の頭をポンと叩く。
「コアの茎を投入する時に私の魔力を流してあげるよ。」
そしてその日の夜には逆惚れ薬が完成した。
「記憶を取り戻す薬は作らなくて良かったの?」
ジェーバ・ミーヴァまで行く長距離馬車に揺られながらニコラウスさんの言葉に頷いた。
「君のことを思い出さなくてもいいってこと?」
「はい。」
「ジェーバ・ミーヴァまであと5時間はかかる。少し眠るといいよ。」
ニコラウスさんに言われて目を閉じた。レイの記憶をなぜ取り戻そうとしないのかと深く聞いて来ないニコラウスさんにほっとしていた。
ジェーバ・ミーヴァの街に着いたのは昼過ぎだった。そこから通りなれた道を抜けトドルフの森へ入ると落ち着きなくウロウロしているシルエットが見えた。
「ルカ!」
「ライファ!!どこに行ってたんだよ。心配した。」
「急にいなくなってごめん。取りあえず場所を変えよう。」
ルカを連れて人気のない森の奥へと移動する。
「ねぇ、この男の人は誰?」
ニコラウスさんには聞こえないように声を潜めてルカが聞く。
「んー、ちょっとした知り合い、かな。」
「知り合い、ね。もしかして誘拐?脅されてるの?」
「違うよ。脅されているのならこうしてルカに会いに来られないと思うよ。皆には内緒にして出てきてくれた?」
「うん、自主トレーニングしてくるって言ったから大丈夫だとは思うけど。ねぇ、どうしていなくなったの?」
私とルカが倒れた木に座って話をしている側でニコラウスさんは木に寄りかかってこちらを見ていた。
「私には私にしかできないことがあるから。そしてそれはここにいることじゃないんだ。ローザは強敵でしょ。そんな相手に立ち向かう時はいくつものプランがあった方がいいよ、」
「それはそうだけど・・・。」
ルカが納得したくないような複雑な表情をした。
「それより、これをレイに飲ませて欲しいんだ。薬を飲んで最初に目にする人はレベッカ様であって欲しいから、レベッカ様と一緒にいる時に飲むようにしてほしい。」
「これ、もしかして惚れ薬の解毒薬!?」
「そうだよ。即効性があるかは分からないけど、飲めば惚れ薬の効果は消えていくはずだ。レイには自分の意志で人を好きになって欲しいから。」
「ライファも気が付いていたのか。そうだよね。あんなレイは不自然だ。この薬を飲めばライファのことも思い出すんでしょ?」
ルカの言葉に肩を竦める。
「思い出さない。解毒するのは惚れ薬の部分だけなんだ。」
「もしかしてわざとそうしたの?」
「ん。」
「どうして!!」
ルカが大きな声を出す。
「ライファはレイのことが好きなんじゃないの?もう嫌いになったの?」
「嫌いになんかなってない。嫌いになんかなれないよ。」
「じゃあ、どうして?」
「怖くなったんだ。パウパオ島にいた時さ、サリア嬢からレイが貴族の地位を捨てるつもりだと聞いた。ジェンダーソン侯爵家を出て私と一緒に生きるつもりだって。そこまでしてくれるレイに私は何をしてあげられるんだろう。いつも守って貰うばかりだしさ。それに、ジェンダーソン侯爵夫妻の気持ちを思うと、レイは貴族と結婚した方がいいんだよ。」
「それはライファが思ったことでしょ。レイが言ったことじゃないでしょ。」
「うん。でもいいんだ。もう決めたことだから。レイが記憶を失ったのはきっとその方がいいよってことなんだよ。」
最後の言葉は自分に言い聞かせるための言葉でもあった。
「それより先生の薬の方はどうなってる?ルカがこうしているってことはリーヤの薬材は無事に手に入ったってことだよね?」
「勿論。すごく大変だったけど薬材は手に入れた。強力なヒーリングの方の薬は完成してて、後は催眠を何とかする薬の方なんだけど、苦戦しているみたい。回復薬をガンガン飲みながらグラントさんやグショウ隊長たちにも手伝わせてるよ。調合には大量の魔力が必要になるからね。」
「そうか、急に出てきて悪いことしちゃったな。」
「帰ってきたら覚悟した方がいいかもね。みんなライファのご飯にも飢えてるし。」
ルカはそこで言葉を切って不安そうな目で私を見つめた。
「帰ってくるよね?」
帰れるだろうか。帰るだろうか。自分でもよく分からなかった。それでも不安そうなルカの目を見ると分からないなんて言えるはずもなく。
「うん、帰ってくるよ。」
微笑むとルカは私の手を強く握った。
「ライファ、死ぬなよ。」
「分かってる。ルカも。皆も無事でいること願ってるよ。」
「うん。」
「じゃあ、私はもう行くから。レイのこと、頼むね。」
そう言いながらルカにハグをした。そしてニコラウスさんに聴こえないように小さな声で囁く。
「ルカ、レベッカ様はローザと繋がっている。」
ルカの体がピクッと反応したのを確認して離れた。
「ニコラウスさん、行こう。」
ジェーバ・ミーヴァからニコラウスさんの家まで帰る間、私たちは余計なことは話さず終始無言だった。私は私で考え事をしていたし、同じようにニコラウスさんも何か考えているようだった。家に着いて炎暖房をつけているニコラウスさんの横でお茶を淹れる。まるでずっと一緒に暮らしているかのようだ。
こんな未来、想像もしなかった。
「大丈夫か?」
「何がですか?」
「いや、なんとなく。」
「大丈夫なんじゃないです。でも、そんなこと言っていられないじゃないですか!!」
ニコラウスさんのせいでこんなことになっているのに、まさかその本人から大丈夫かと聞かれるとは。いや、違う。ニコラウスさんはきっかけを作ったのであって、それに甘んじたのは自分だ。レイの中から私が消えてしまったように、私の中からレイが消えるまでどれくらいの時間が必要なのだろう。消えなくてもレイを見ても何とも思わなくなるくらいまで薄まってくれなければ。
しんどいな、これ。
「どうぞ。」
淹れたお茶をニコラウスさんに渡しながら思いついたことを口にする。
「ニコラウスさん、ちょっと考えがあるのですが聞いてもらえますか?」
「何?」
「ローザの持っている薬に何か細工は出来ないでしょうか。」
「細工ねぇ。細工をしようにもローザに会ったら見抜かれるよ。」
「会ったら、ですよね。会わなきゃいいんですよ。」
「忍び込むってこと?それは無理じゃないかな。屋敷はローザの体内のようなものだ。自分の見知らぬ異物が入っていたら気がつくだろう。」
「とすると、屋敷内に侵入はできないですね。ローザは移動魔法陣で魔獣を移動させているのですよね?どのタイミングで薬を飲ませるんですか?」
「前回は移動させた直後だったよ。空間移動魔法陣を短期間で各地に繋ごうと思ったら魔法陣は小さくするしかない。だからガルシアの時は魔獣を小さくし魔方陣で移動してから禁忌の薬を飲ませ体の大きさを戻した。」
ギリっと唇を噛む。こういう話を聞くとニコラウスさんがローザの協力者だということを痛感させられる。落ち着け、私。今は自分の気持ちに構ってはいられない。
「でも今回は時間が経てば自然と元の大きさに戻る薬を作ってきたから、魔法陣で移動させる前に薬を飲ませるかもね。」
「魔法陣で移動する前で屋敷ではないところ、か。でも魔獣を魔法陣まで移動させている間はローザがついていますよね?」
「多分ね。」
「ダメか・・・。どうしたらいいのだろう。」
「ひとつ方法があるよ。」
「なんですか?」
「私が薬を盛ればいい。私がローザの屋敷にいるのは不自然じゃないからね。」
「協力してくれるのですか?」
「もうすでに協力していると言ってもいいと思うんだけど。」
「でも、この先は命の危険が伴います。」
「じゃあさ、全てが終わって生きていたら君は家には帰らずに私といてくれる?それなら協力するよ。」
ピクッと体が動いた。魔女の家に帰るかどうか迷っているのは本当だ。あの場所はレイに近すぎるから。かと言って帰らないと決めるにはまだ迷いがあった。でも、この先、ニコラウスさんに協力してもらうのならば本当に命をかけてもらうことになる。それならば私も相応の覚悟を決めるべきだと思った。私はあなたの望むことをしてあげないけどあなたは命をかけてね、なんてどの口で言えよう。
「わかりました。ニコラウスさんと一緒にいます。」
私がそう言うとニコラウスさんは嬉しそうに笑った。
「私に良い薬のプランがある。薬材を集めるのにも苦労はしないはずだ。さっそく今晩から調合を始めよう。」
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