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第三章
75. 悶絶とお茶会の準備
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リューゼンさんの計らいで久しぶりのお風呂に思う存分に浸かった後、お茶会の準備に為に厨房へ向かった。
「これからお茶会の準備?」
「はい。」
「くす、ゆっくりお風呂に浸かれたようだね。顔が少し赤い。なんか、出来立ての料理みたい。」
レイが目を細めて笑う。
「ホカホカだからですか?」
「うん、おいしそう。ちょっとおいで。」
おいしそう?
レイはそう言って自分の部屋の前に私を呼ぶと、そのまま私の手を掴んで自分の部屋に引き入れた。
「レっ!?」
名前を呼ぶ隙も無い程早急にレイの唇で口を塞がれた。その瞬間に体がゾクリと震える。ずっと欲しかったものを与えられたような感覚に戸惑い、離れようとすればほんの少し離れた唇が「まだ、だめ」と呟いた。レイの体から香る石鹼の香りが私をどこかに連れ去ろうとする。
「やばい・・・全然足りない。」
熱っぽいレイの目に見つめられると、思わずその目に魅入ってしまう。背中にあるドアの冷たさだけが私に現実を教えていた。
「レイ、私、お茶会の準備をしないと。」
「・・・だよな。うん、分かってはいるんだけど。」
レイはそう言いながらしゃがみ込んだ。そして私を見上げると困ったように笑った。
「ライファ不足みたい・・・。」
「!!」
思わず口元に手をやって固まってしまった。今、部屋に一人になれるならば悶絶するところだった。こういうレイは反則だと思う。
「いいことでもあった?顔がにやけてるよ。」
リンに指摘され緩んでいた口元をギュッと引き締める。引き締めるもやはり顔がゆるんでしまう。
さっきのレイ、可愛いかったな。
男の人が女性の上目づかいに弱いというのは何かで聞いたことがあったが、その逆も結構クるものがあると思う。普段レイがあまり見せる姿じゃないからこそ、あんな姿を見せられると・・・。
「ライファさん?大丈夫?」
「え、あ、大丈夫です!」
不審な顔で私を見るリンを笑顔で誤魔化した。
「あ、ライファさん、お待ちしておりました。お茶会に出すお菓子を作るとロッド様から聞いています。こちらへ。」
「へぇーっ、ライファさんってお菓子作れるんだ。やっぱ、お菓子を作れる女子ってポイント高いわよねー。私も作ろうかしら。」
「・・・・・。」
「ちょっと、少しくらいは何かいいなさいよ!」
リンの言葉にチータは小さな声で、やめなよ、とだけ言った。その顔が引きつっている。
「何も言われないのも嫌だけど、引き気味でやめなよっていわれると自信をなくすわ。」
「自信持ってたのかよ!!はぁ、姉さんに構っていると埒が明かないから、ライファさん早く行こう。料理長も待ってるよ。」
「ちょっと、チータ!!」
リンの叫ぶ声を背後に、厨房へと入った。
「お待ちしておりました、ライファさん。私が料理長のランスと申します。」
ランスさんは長身のダンディーなおじさんで、コック服を着ていなければ執事かと思う程ほどの静かなる貫禄を持っていた。
「この度は厨房を貸していただきありがとうございます。」
「いえいえ、今日のお茶会にはヘイゼル公爵夫妻もご参加なされるとか。ぜひ私にもお手伝いをさせて下さい。それに、ライファさんがお作りになられる料理は今まで食べたこともない味がして美味しいとロッド様から伺っております。レシピを伺っておくようにとも。今日を楽しみにしておりました。料理人にとって新しいレシピというものは何物にも代え難い喜びなのです。」
「そ・・・そんなにハードルを上げないでください。」
私が肩を竦めるとランスさんは声を上げて笑った。ランスさんとチータに手伝ってもらいながら始めたお菓子作りは驚くほどスムーズに作業が進む。二人とも少しの説明で理解してくれるし、切る、捏ねる、混ぜる、煮る、等の全ての作業が完璧だ。当たり前だがレイの時のように包丁の扱いを心配する必要もなければ、焼きすぎて焦がすということもない。なんて楽なのだろう・・・。
「クッキーはこのあと窯に入れて15分ほど焼くだけです。」
プレーンのクッキーとナッツのクッキーを並べた鉄板をチータに渡すと、チータが窯へと持っていった。
「今度はランチュウの卵5個を白身と黄身に分けてください。」
その間に羊乳にポン蜜を入れて火を放ち羊乳とポン蜜をよくかき混ぜる。
「できました。」
「ありがとうございます。」
卵黄を受け取りかき混ぜると卵黄を濾しながら羊乳とゆっくり合わせ泡立てないように静かに混ぜた。
「これは何を作っているのですか?」
「クリームブリュレというお菓子です。クリーミーなゼリーみたいな感じでしょうか・・・。美味しいんですよ。」
グラスぐらいの耐熱性の入れ物に入れると、大きな鍋に入れて弱火で蒸す。
「クッキー、焼きあがりました!」
「クッキーは冷ましたいので、どこかに置いておいてください。」
チータが鉄板からクッキーを取りお皿に並べて粗熱を取っている。その間に今度は卵白を泡立て始めた。これがなかなか大変だ。怠くなる手を我慢しながら頑張っているとランスさんが手を伸ばした。
「私がやりましょう。」
ランスさんが指を鳴らすと泡だて器が勝手にクルクルと動き出す。そうだった・・・。いつも魔力を節約していたからすっかり忘れてしまっていたが、ちゃんと魔力がある人は魔力でできる作業なのだ。
卵白の状態をチェックしながらここぞというタイミングでポン蜜を入れる。
「止めてください。もう少しなのでここからは自分の手でやります。」
ランスさんから受け取った卵白を表面に艶が出るまで混ぜる。
「すごい、見事な艶だ。卵がこんなふうになるなんて。」
ランスさんが驚きの声を零した。
艶が十分に出たところでキャラメリゼしたナッツを加え軽く混ぜると、スプーンですくって鉄板に一口大に並べた。
「低温で60分程焼きます。」
「60分か。魔道具を使おう。そうすれば半分の時間で完成する。チータ!」
ランスさんはチータを呼ぶと魔道具を使うようにと指示した。
そうか、確かに料理にも使える魔道具はあるよね。余裕が出来たら私も欲しいな。あ、グラントさんにお願いして作ってもらうのもいいかもしれない。そしたら、夢の世界で見た調理器具だってきっと作れる。おぉぉぉ。思いついたことに嬉しくなって思わず顔がにやけてしまう。
「あ、そろそろクリームブリュレの確認をしなくちゃ。」
取り出したクリームブリュレは表面が滑らかで中までちゃんと火も通っていた。
「うん、上出来。これを冷やします。」
私の言葉にランスさんがコオリーンを呼び出した。
クリームブリュレ、クッキー、メレンゲクッキー。
クリームブリュレで余った卵白を消費するためにメレンゲクッキーを作ったのだけど、どうも全部甘いメニューだ。少し、酸味が欲しいな。
「ランスさん、イチコの実はここにありますか?」
「勿論ありますよ。」
「クリームブリュレに添えたいので少しいただけますか。」
「いいですよ。イチコの実は色も美しいですからね。きっと綺麗になりますよ。」
その言葉に頷いた。見た目も味もラズベリーに近いこの実ならば、甘くなった口の中をビシッと占めてくれるに違いない。
「これで出来上がりではないのですか?」
コオリーンから受け取ってクリームブリュレの表面に薄くポン蜜を塗っていると、メレンゲのセットを終えたらしいチータが私に尋ねた。
「うん。これからクリームブリュレが変身するのです。ふふふ。」
楽しそうに笑う私を見てランスさんも興味津々で近づいてきた。全部のクリームブリュレの表面にポン蜜を塗ると、そこに小さな火を乗せてゆく。火はパチパチと音を立ててポン蜜を焼き、ポン蜜の水分が蒸発し飴のようになって表面が少し焦げた。
「このタイミングが重要なんです。」
表面の色の変化を見ながら次々と火を消す。そしてまたコオリーンに冷やしてもらうと、先ほど冷やしてもらった背もあり直ぐに冷えた。その表面の真ん中にイチコの実を乗せ、ミント系の小さな葉も乗せる。
「なんて美しいんだ。」
ランスさんが感心した声を上げ、チータがうわぁ!声をあげた。
「味見をしてみましょう。」
クリームブリュレは1個を3等分し皿の中央寄りに乗せ、クッキー二種類とメレンゲを1個ずつクリームブリュレの隣に置いた。これだけで小さなお茶会のような気分になり、心が浮き立つ。
「どうそ。」
私が言うとランスさんが口をつけ、それを見ていたチータも続いた。二人ともクリームブリュレが気になっていたようで、クリームブリュレからだ。
「これは・・・。」
一口食べるとランスさんは目を閉じその滑らかさを味わっているかのようだ。飴状になったポン蜜がパリッと音を立てる。
「ライファさんは一体どこで料理の修業を?」
「いえ、修業はしてないです。趣味のようなもので。」
「まさか・・・。このようなお菓子は初めて食べる。クリームブリュレの滑らかさ、ポン蜜を焦がした飴が香ばしさと僅かな苦味を与え大人の味にする。十分に甘さと苦味を味わった後にイチコの実を口に含めば、イチコの酸味が口の中をリセットする。そうするとまた食べたくなる。完璧だ・・・。」
「うまい、これも、これも。」
「こら、チータ。ちゃんと味わいなさい。」
パクパク食べているチータに声をかけた時にはもうチータのお皿は空になっていた。
「あぁ・・・。」
その姿を見てランスさんがおでこに手をあてる。
「チータはさておき、この腕前ではロッド様がレシピを習うようにとおっしゃるのも納得です。料理もさぞかし美味しいのでしょう。すみません、少し失礼して。」
ランスさんは棚からメモ帳を取り出すと早業でメモを取り始めた。
「今のレシピを書いておかないと忘れてしまいますので。このあと、お茶会までもう少し時間がありますよね?焼肉のタレも教えていただいても宜しいですか?」
ランスさんが私を見てダンディーな笑顔で微笑んだ。
「これからお茶会の準備?」
「はい。」
「くす、ゆっくりお風呂に浸かれたようだね。顔が少し赤い。なんか、出来立ての料理みたい。」
レイが目を細めて笑う。
「ホカホカだからですか?」
「うん、おいしそう。ちょっとおいで。」
おいしそう?
レイはそう言って自分の部屋の前に私を呼ぶと、そのまま私の手を掴んで自分の部屋に引き入れた。
「レっ!?」
名前を呼ぶ隙も無い程早急にレイの唇で口を塞がれた。その瞬間に体がゾクリと震える。ずっと欲しかったものを与えられたような感覚に戸惑い、離れようとすればほんの少し離れた唇が「まだ、だめ」と呟いた。レイの体から香る石鹼の香りが私をどこかに連れ去ろうとする。
「やばい・・・全然足りない。」
熱っぽいレイの目に見つめられると、思わずその目に魅入ってしまう。背中にあるドアの冷たさだけが私に現実を教えていた。
「レイ、私、お茶会の準備をしないと。」
「・・・だよな。うん、分かってはいるんだけど。」
レイはそう言いながらしゃがみ込んだ。そして私を見上げると困ったように笑った。
「ライファ不足みたい・・・。」
「!!」
思わず口元に手をやって固まってしまった。今、部屋に一人になれるならば悶絶するところだった。こういうレイは反則だと思う。
「いいことでもあった?顔がにやけてるよ。」
リンに指摘され緩んでいた口元をギュッと引き締める。引き締めるもやはり顔がゆるんでしまう。
さっきのレイ、可愛いかったな。
男の人が女性の上目づかいに弱いというのは何かで聞いたことがあったが、その逆も結構クるものがあると思う。普段レイがあまり見せる姿じゃないからこそ、あんな姿を見せられると・・・。
「ライファさん?大丈夫?」
「え、あ、大丈夫です!」
不審な顔で私を見るリンを笑顔で誤魔化した。
「あ、ライファさん、お待ちしておりました。お茶会に出すお菓子を作るとロッド様から聞いています。こちらへ。」
「へぇーっ、ライファさんってお菓子作れるんだ。やっぱ、お菓子を作れる女子ってポイント高いわよねー。私も作ろうかしら。」
「・・・・・。」
「ちょっと、少しくらいは何かいいなさいよ!」
リンの言葉にチータは小さな声で、やめなよ、とだけ言った。その顔が引きつっている。
「何も言われないのも嫌だけど、引き気味でやめなよっていわれると自信をなくすわ。」
「自信持ってたのかよ!!はぁ、姉さんに構っていると埒が明かないから、ライファさん早く行こう。料理長も待ってるよ。」
「ちょっと、チータ!!」
リンの叫ぶ声を背後に、厨房へと入った。
「お待ちしておりました、ライファさん。私が料理長のランスと申します。」
ランスさんは長身のダンディーなおじさんで、コック服を着ていなければ執事かと思う程ほどの静かなる貫禄を持っていた。
「この度は厨房を貸していただきありがとうございます。」
「いえいえ、今日のお茶会にはヘイゼル公爵夫妻もご参加なされるとか。ぜひ私にもお手伝いをさせて下さい。それに、ライファさんがお作りになられる料理は今まで食べたこともない味がして美味しいとロッド様から伺っております。レシピを伺っておくようにとも。今日を楽しみにしておりました。料理人にとって新しいレシピというものは何物にも代え難い喜びなのです。」
「そ・・・そんなにハードルを上げないでください。」
私が肩を竦めるとランスさんは声を上げて笑った。ランスさんとチータに手伝ってもらいながら始めたお菓子作りは驚くほどスムーズに作業が進む。二人とも少しの説明で理解してくれるし、切る、捏ねる、混ぜる、煮る、等の全ての作業が完璧だ。当たり前だがレイの時のように包丁の扱いを心配する必要もなければ、焼きすぎて焦がすということもない。なんて楽なのだろう・・・。
「クッキーはこのあと窯に入れて15分ほど焼くだけです。」
プレーンのクッキーとナッツのクッキーを並べた鉄板をチータに渡すと、チータが窯へと持っていった。
「今度はランチュウの卵5個を白身と黄身に分けてください。」
その間に羊乳にポン蜜を入れて火を放ち羊乳とポン蜜をよくかき混ぜる。
「できました。」
「ありがとうございます。」
卵黄を受け取りかき混ぜると卵黄を濾しながら羊乳とゆっくり合わせ泡立てないように静かに混ぜた。
「これは何を作っているのですか?」
「クリームブリュレというお菓子です。クリーミーなゼリーみたいな感じでしょうか・・・。美味しいんですよ。」
グラスぐらいの耐熱性の入れ物に入れると、大きな鍋に入れて弱火で蒸す。
「クッキー、焼きあがりました!」
「クッキーは冷ましたいので、どこかに置いておいてください。」
チータが鉄板からクッキーを取りお皿に並べて粗熱を取っている。その間に今度は卵白を泡立て始めた。これがなかなか大変だ。怠くなる手を我慢しながら頑張っているとランスさんが手を伸ばした。
「私がやりましょう。」
ランスさんが指を鳴らすと泡だて器が勝手にクルクルと動き出す。そうだった・・・。いつも魔力を節約していたからすっかり忘れてしまっていたが、ちゃんと魔力がある人は魔力でできる作業なのだ。
卵白の状態をチェックしながらここぞというタイミングでポン蜜を入れる。
「止めてください。もう少しなのでここからは自分の手でやります。」
ランスさんから受け取った卵白を表面に艶が出るまで混ぜる。
「すごい、見事な艶だ。卵がこんなふうになるなんて。」
ランスさんが驚きの声を零した。
艶が十分に出たところでキャラメリゼしたナッツを加え軽く混ぜると、スプーンですくって鉄板に一口大に並べた。
「低温で60分程焼きます。」
「60分か。魔道具を使おう。そうすれば半分の時間で完成する。チータ!」
ランスさんはチータを呼ぶと魔道具を使うようにと指示した。
そうか、確かに料理にも使える魔道具はあるよね。余裕が出来たら私も欲しいな。あ、グラントさんにお願いして作ってもらうのもいいかもしれない。そしたら、夢の世界で見た調理器具だってきっと作れる。おぉぉぉ。思いついたことに嬉しくなって思わず顔がにやけてしまう。
「あ、そろそろクリームブリュレの確認をしなくちゃ。」
取り出したクリームブリュレは表面が滑らかで中までちゃんと火も通っていた。
「うん、上出来。これを冷やします。」
私の言葉にランスさんがコオリーンを呼び出した。
クリームブリュレ、クッキー、メレンゲクッキー。
クリームブリュレで余った卵白を消費するためにメレンゲクッキーを作ったのだけど、どうも全部甘いメニューだ。少し、酸味が欲しいな。
「ランスさん、イチコの実はここにありますか?」
「勿論ありますよ。」
「クリームブリュレに添えたいので少しいただけますか。」
「いいですよ。イチコの実は色も美しいですからね。きっと綺麗になりますよ。」
その言葉に頷いた。見た目も味もラズベリーに近いこの実ならば、甘くなった口の中をビシッと占めてくれるに違いない。
「これで出来上がりではないのですか?」
コオリーンから受け取ってクリームブリュレの表面に薄くポン蜜を塗っていると、メレンゲのセットを終えたらしいチータが私に尋ねた。
「うん。これからクリームブリュレが変身するのです。ふふふ。」
楽しそうに笑う私を見てランスさんも興味津々で近づいてきた。全部のクリームブリュレの表面にポン蜜を塗ると、そこに小さな火を乗せてゆく。火はパチパチと音を立ててポン蜜を焼き、ポン蜜の水分が蒸発し飴のようになって表面が少し焦げた。
「このタイミングが重要なんです。」
表面の色の変化を見ながら次々と火を消す。そしてまたコオリーンに冷やしてもらうと、先ほど冷やしてもらった背もあり直ぐに冷えた。その表面の真ん中にイチコの実を乗せ、ミント系の小さな葉も乗せる。
「なんて美しいんだ。」
ランスさんが感心した声を上げ、チータがうわぁ!声をあげた。
「味見をしてみましょう。」
クリームブリュレは1個を3等分し皿の中央寄りに乗せ、クッキー二種類とメレンゲを1個ずつクリームブリュレの隣に置いた。これだけで小さなお茶会のような気分になり、心が浮き立つ。
「どうそ。」
私が言うとランスさんが口をつけ、それを見ていたチータも続いた。二人ともクリームブリュレが気になっていたようで、クリームブリュレからだ。
「これは・・・。」
一口食べるとランスさんは目を閉じその滑らかさを味わっているかのようだ。飴状になったポン蜜がパリッと音を立てる。
「ライファさんは一体どこで料理の修業を?」
「いえ、修業はしてないです。趣味のようなもので。」
「まさか・・・。このようなお菓子は初めて食べる。クリームブリュレの滑らかさ、ポン蜜を焦がした飴が香ばしさと僅かな苦味を与え大人の味にする。十分に甘さと苦味を味わった後にイチコの実を口に含めば、イチコの酸味が口の中をリセットする。そうするとまた食べたくなる。完璧だ・・・。」
「うまい、これも、これも。」
「こら、チータ。ちゃんと味わいなさい。」
パクパク食べているチータに声をかけた時にはもうチータのお皿は空になっていた。
「あぁ・・・。」
その姿を見てランスさんがおでこに手をあてる。
「チータはさておき、この腕前ではロッド様がレシピを習うようにとおっしゃるのも納得です。料理もさぞかし美味しいのでしょう。すみません、少し失礼して。」
ランスさんは棚からメモ帳を取り出すと早業でメモを取り始めた。
「今のレシピを書いておかないと忘れてしまいますので。このあと、お茶会までもう少し時間がありますよね?焼肉のタレも教えていただいても宜しいですか?」
ランスさんが私を見てダンディーな笑顔で微笑んだ。
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いわゆるラブコメではなく「ラブ&コメディ」です。いえむしろ「ラブギャグ」です! たまにシリアス展開もあります!
【注意】作中、『部』では無く『同好会』が登場しますが、分かりやすさ重視のために敢えて『部員』『部室』等と表記しています。
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