42 / 42
番外編
頑張りましょう 3
しおりを挟む
「あ……つい緩めちゃいました。圭太さんのナカが気持ち良すぎて」
「な、にが、気持ち良すぎて、だよ! 阿川のバカっ」
快楽に浮かされて涙目になっているのが分かるからそっぽを向くと、阿川が俺の頬に手を添えて自分の方を向かせた。
「こういうの夢だったんですよ。好きな人と一つ屋根の下で一緒に料理をして、愛し合ってって。圭太さん、僕の膝に乗ってくれます?」
「なっ、何言ってるんだよ。いま、したばっかじゃねーか」
「二週間ぶりなのにこれで足りるわけないでしょ」
「ね、お願い」とほほ笑まれて、阿川に従ってしまうあたり俺は相当阿川に弱い。ぬちゅと音をさせてゆっくりと阿川の膝に座ると、俺を抱きしめながら阿川がゆるゆると動いた。さっきとは違い、緩やかで優しい快楽に包まれる。
「どうしたら一緒に暮らしてくれるんですか? 何に圭太さんが引っ掛かっているのか教えて」
「……阿川の金でってなると気が引けるっつうか……」
阿川の唇が俺の唇の上でちゅっと音を立てて離れた。
「じゃあ、どうしたら気が引けることなく、来年一緒に暮らせますか?」
「来年は動かねぇのかよ」
「動かせません。二週間会えないとかもう無理」
いつの間にか阿川の腰の動きは止まり、俺たちは繋がったまま話をしていた。
「阿川が一人暮らしをして俺が通うって方法は?」
「僕、家に帰すつもりはありませんけどそれでも良ければ」
こいつ……いい笑顔で言いやがって。
コツコツ貯めた貯金が50万ちょっと……か。俺はうーん、と頭を悩ませた。
「家賃は二人で8万以内な。水道光熱費も食費もなるべく折半する。それでも足りないところは貸して。就職したら返す」
「わかりました」
「全部メモるからな」
「いいですよ」
「あっ、ばか。急に動く……なぁあっ!」
「だって嬉しくて」
阿川にしがみ付いて体を震わせていると、家のインターホンが鳴った。瞬間に青ざめて硬直すると、あれー、いないのー? おにーちゃーん、と声が聞こえてくる。
「やべぇ、阿川、妹帰ってきた」
ぬちゅん、と阿川を引き抜いてテッシュでチンコを拭き、慌てて身だしなみを直しているとガチャっという音と共に優香がリビングに入ってきた。
「なんだ、お兄ちゃん、いるじゃん」
「い、いるじゃんってお前、今日泊まりじゃなかった?」
「友達が体調崩しちゃって、ゆっくり休んで欲しいから帰ってきた。ってあれ? えぇーっ、阿川武!? さんっ」
とってつけたような「さん」だ。ずっとキッチンにいる俺の方を向いて話していた優香は、俺に背を向けたことでようやく阿川の存在に気が付いたらしい。
「お邪魔してます」
「え、あ、はい。どうぞ」
優香はペコっと勢いよく頭を下げた後、高速で俺の隣にやってきた。
「ちょっとお兄ちゃん、なんでうちに阿川さんがいるのよ。何? 知り合いなの?」
「知り合いっつうか、なんつーか」
「圭太さんとは仲良くさせて頂いてます」
「圭太さん!? うぞ……あの阿川さんがお兄ちゃんのことを名前で呼んでる……」
優香は俺と阿川を交互に見ながら、興奮冷めやらぬ様子だ。
「お前の中で俺ってどんな存在なんだよ……ってか、お前、阿川のこと知ってるのな」
「はぁー? バカじゃないの? 今どきの女子高生で阿川さんのこと知らない人なんていないよ。あ、すみません、サイン頂いてもいいですか?」
「サイン……だ、と?」
今度は俺が驚く番だった。阿川がサインを強請られている。まるで芸能人みたいなこの扱い……。驚きを隠さないまま阿川の顔を見ると「最近、女性向け雑誌にもよく出てるんですよ」と言った。
「なんかいい匂いするー」
「えっ、マジ?」
匂いという言葉に敏感に反応してしまう。ついさっきまでここで繋がっていたせいで俺の衣服にはいやらしい液が所々についているはずなのだ。
「カレー?」
あ、そうか。そういうことね。確かに、俺たちのナニの香りが良い匂いのはずはない。ホッとしていると優香が怪しい目を俺に向けていた。
「お兄ちゃん、なんか変じゃない?」
「そ、そんなことねぇよ」
「ふーん、ね、カレー食べていい?」
「いいけど」
「やった」
「じゃ、俺たち部屋に戻るから」
「あぁ、うん。じゃ」
名残惜しそうに阿川に視線を送った優香を残して、俺たちは部屋に向かった。
あ、あぶなかった……。
部屋に入るなりガクっと膝を落とす。
「悪いな、驚かせて。まさか優香が帰って来ると思ってなくて」
「いいえ。僕の姿で挨拶が出来て嬉しかったですよ。来年には一緒に暮らしますし、ご家族にも挨拶くらいしておかないと」
「あ、そう?」
「うん」
阿川が俺の体に手を伸ばして俺を引き寄せた。
「友達の阿川くんでもいいから、僕が圭太さんの傍にいることを知っていて欲しいんです」
「阿川……」
こういう時、たまらなくなる。
世間の目とか常識とか、そんなものに囚われて俺はどこか宙ぶらりんにかわしてしまうのに、阿川はいつも真っ直ぐに俺に手を伸ばしてくれる。
「ありがとな、阿川」
「何がですか?」
「……色々と」
言葉が足りなくて、体を伸ばして阿川にキスをした。
「ねぇ、もう少し、いいですか?」
妖しい笑みを従えた阿川が俺のお尻を撫でた。先ほどまで阿川を咥えこんでいたソコは、待っていました、と言わんばかりにピクっと反応する。
「し、下の部屋に優香がいるんだぞ」
「知ってますよ。圭太さんが静かにしていてくれれば大丈夫」
「あ、やだぁ」
「しっ、声抑えて」
ベッドにうつ伏せになった俺に阿川が重なるようにして入ってくる。阿川の重さと密着した体。静かな振動が余すことなく奥に伝わり、ぐいぐいと阿川の股間が俺のお尻を押すたびに俺は布団に顔を埋めた。
こっ、この体勢、布団にチンコと乳首が擦れて、ヤバイ……
「一緒に暮らしたら気兼ねなくできますね。こうして声を堪えている圭太さんも可愛いですけど、たくさん乱れさせたい」
ひっ……
耳元で囁かれる言葉がゾクッと肌を撫でる。
「楽しみですね、ね? 圭太さん」
快楽の波に飲まれてしまいそうな意識を必死に保つ。
俺……一緒に住むことをOKしたの早まったんじゃ……。
阿川の卑猥な言葉の攻撃を受けながら、俺は未来の自分の身を案じた。
おまけ
圭太と阿川
「な、にが、気持ち良すぎて、だよ! 阿川のバカっ」
快楽に浮かされて涙目になっているのが分かるからそっぽを向くと、阿川が俺の頬に手を添えて自分の方を向かせた。
「こういうの夢だったんですよ。好きな人と一つ屋根の下で一緒に料理をして、愛し合ってって。圭太さん、僕の膝に乗ってくれます?」
「なっ、何言ってるんだよ。いま、したばっかじゃねーか」
「二週間ぶりなのにこれで足りるわけないでしょ」
「ね、お願い」とほほ笑まれて、阿川に従ってしまうあたり俺は相当阿川に弱い。ぬちゅと音をさせてゆっくりと阿川の膝に座ると、俺を抱きしめながら阿川がゆるゆると動いた。さっきとは違い、緩やかで優しい快楽に包まれる。
「どうしたら一緒に暮らしてくれるんですか? 何に圭太さんが引っ掛かっているのか教えて」
「……阿川の金でってなると気が引けるっつうか……」
阿川の唇が俺の唇の上でちゅっと音を立てて離れた。
「じゃあ、どうしたら気が引けることなく、来年一緒に暮らせますか?」
「来年は動かねぇのかよ」
「動かせません。二週間会えないとかもう無理」
いつの間にか阿川の腰の動きは止まり、俺たちは繋がったまま話をしていた。
「阿川が一人暮らしをして俺が通うって方法は?」
「僕、家に帰すつもりはありませんけどそれでも良ければ」
こいつ……いい笑顔で言いやがって。
コツコツ貯めた貯金が50万ちょっと……か。俺はうーん、と頭を悩ませた。
「家賃は二人で8万以内な。水道光熱費も食費もなるべく折半する。それでも足りないところは貸して。就職したら返す」
「わかりました」
「全部メモるからな」
「いいですよ」
「あっ、ばか。急に動く……なぁあっ!」
「だって嬉しくて」
阿川にしがみ付いて体を震わせていると、家のインターホンが鳴った。瞬間に青ざめて硬直すると、あれー、いないのー? おにーちゃーん、と声が聞こえてくる。
「やべぇ、阿川、妹帰ってきた」
ぬちゅん、と阿川を引き抜いてテッシュでチンコを拭き、慌てて身だしなみを直しているとガチャっという音と共に優香がリビングに入ってきた。
「なんだ、お兄ちゃん、いるじゃん」
「い、いるじゃんってお前、今日泊まりじゃなかった?」
「友達が体調崩しちゃって、ゆっくり休んで欲しいから帰ってきた。ってあれ? えぇーっ、阿川武!? さんっ」
とってつけたような「さん」だ。ずっとキッチンにいる俺の方を向いて話していた優香は、俺に背を向けたことでようやく阿川の存在に気が付いたらしい。
「お邪魔してます」
「え、あ、はい。どうぞ」
優香はペコっと勢いよく頭を下げた後、高速で俺の隣にやってきた。
「ちょっとお兄ちゃん、なんでうちに阿川さんがいるのよ。何? 知り合いなの?」
「知り合いっつうか、なんつーか」
「圭太さんとは仲良くさせて頂いてます」
「圭太さん!? うぞ……あの阿川さんがお兄ちゃんのことを名前で呼んでる……」
優香は俺と阿川を交互に見ながら、興奮冷めやらぬ様子だ。
「お前の中で俺ってどんな存在なんだよ……ってか、お前、阿川のこと知ってるのな」
「はぁー? バカじゃないの? 今どきの女子高生で阿川さんのこと知らない人なんていないよ。あ、すみません、サイン頂いてもいいですか?」
「サイン……だ、と?」
今度は俺が驚く番だった。阿川がサインを強請られている。まるで芸能人みたいなこの扱い……。驚きを隠さないまま阿川の顔を見ると「最近、女性向け雑誌にもよく出てるんですよ」と言った。
「なんかいい匂いするー」
「えっ、マジ?」
匂いという言葉に敏感に反応してしまう。ついさっきまでここで繋がっていたせいで俺の衣服にはいやらしい液が所々についているはずなのだ。
「カレー?」
あ、そうか。そういうことね。確かに、俺たちのナニの香りが良い匂いのはずはない。ホッとしていると優香が怪しい目を俺に向けていた。
「お兄ちゃん、なんか変じゃない?」
「そ、そんなことねぇよ」
「ふーん、ね、カレー食べていい?」
「いいけど」
「やった」
「じゃ、俺たち部屋に戻るから」
「あぁ、うん。じゃ」
名残惜しそうに阿川に視線を送った優香を残して、俺たちは部屋に向かった。
あ、あぶなかった……。
部屋に入るなりガクっと膝を落とす。
「悪いな、驚かせて。まさか優香が帰って来ると思ってなくて」
「いいえ。僕の姿で挨拶が出来て嬉しかったですよ。来年には一緒に暮らしますし、ご家族にも挨拶くらいしておかないと」
「あ、そう?」
「うん」
阿川が俺の体に手を伸ばして俺を引き寄せた。
「友達の阿川くんでもいいから、僕が圭太さんの傍にいることを知っていて欲しいんです」
「阿川……」
こういう時、たまらなくなる。
世間の目とか常識とか、そんなものに囚われて俺はどこか宙ぶらりんにかわしてしまうのに、阿川はいつも真っ直ぐに俺に手を伸ばしてくれる。
「ありがとな、阿川」
「何がですか?」
「……色々と」
言葉が足りなくて、体を伸ばして阿川にキスをした。
「ねぇ、もう少し、いいですか?」
妖しい笑みを従えた阿川が俺のお尻を撫でた。先ほどまで阿川を咥えこんでいたソコは、待っていました、と言わんばかりにピクっと反応する。
「し、下の部屋に優香がいるんだぞ」
「知ってますよ。圭太さんが静かにしていてくれれば大丈夫」
「あ、やだぁ」
「しっ、声抑えて」
ベッドにうつ伏せになった俺に阿川が重なるようにして入ってくる。阿川の重さと密着した体。静かな振動が余すことなく奥に伝わり、ぐいぐいと阿川の股間が俺のお尻を押すたびに俺は布団に顔を埋めた。
こっ、この体勢、布団にチンコと乳首が擦れて、ヤバイ……
「一緒に暮らしたら気兼ねなくできますね。こうして声を堪えている圭太さんも可愛いですけど、たくさん乱れさせたい」
ひっ……
耳元で囁かれる言葉がゾクッと肌を撫でる。
「楽しみですね、ね? 圭太さん」
快楽の波に飲まれてしまいそうな意識を必死に保つ。
俺……一緒に住むことをOKしたの早まったんじゃ……。
阿川の卑猥な言葉の攻撃を受けながら、俺は未来の自分の身を案じた。
おまけ
圭太と阿川
10
お気に入りに追加
123
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いつも丁寧な感想をありがとうございます。
今回の作品は体が入れ替わったり戻ったりを繰り返したらどんな感じなのだろうという妄想から始まった作品でした。気持ちがないまま入れ替わった時の心情と、相手を好きになってから体が入れ替わる時の心情の違いを感じて頂けたなら嬉しいです。
ここまでは勢いのまま書いてきましたが、今後はペースを落として表現方法や書き方も模索していこうと思っています。13話からはその気持ちが出たのかな(笑)
丁寧な感想を有難うございました。