イケメンと体が入れ替わってラッキーと思ったらそのイケメンがゲイだった

SAI

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番外編

誕生日 2

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 気が進まないパーティーは退屈かと思えば著名人もそうでない人もごちゃ混ぜになったパーティーで、マニアックな方もいるから意外に楽しい。

あれって冒険家の猿渡さんじゃ……。
猿渡さんは20代後半の冒険家で、行く先々で撮った写真は自然の厳しさも優しさも美しさも表現されており、SNSをフォローするくらい大好きな方だ。

お会いできるチャンスなんて滅多にない。

「あ、あの、冒険家の猿渡さんでいらっしゃいますよね」

気が付けば話し掛けていた。世界各地を回っている猿渡さんの話はどれも楽しい。各国の文化や習慣の違いで驚いた話、山でクマに遭遇した等の冒険話、次々とテンポよく話してくれ時間を忘れるほどだ。

その後も色々な方と話をし、自分の誕生日を忘れかけていた頃、咲也さんが隣に来た。

「そういえば阿川君もパンセクシュアル(全ての性を恋愛対象にする)として売り出すことにしたんだっけ?」

「いえ、特には。ゲイだってことを隠すつもりは無いので、マネージャーとか社長にはそう話してありますけど」

「へぇー、もう話してあるんだ。じゃあ、いいかな」

咲也さんが変な含み笑いをする。

「なにか企んでます?」
「別に。ただ、誕生日だって言うからそのお祝いをと思って」

「はぁ。お祝いをって思うなら余計なことをしないでくれるのが一番嬉しいですけど」

「しないよー。余計なことなんていつもしてないはずだけど」

バレンタインに圭太さんの指を舐めていた姿を思い出し、眉毛がピクっとなる。
だめだ、ここで余計なことを言えばきっともっと面倒なことになる……。

口の端を上げて誤魔化し笑いをした時だった。ジーンズに長Tというラフな格好でキョロキョロと会場を見回しながら入ってきた人物は僕と視線を合わせるとムッとしたような表情をした。

「圭太さん、何でここに!?」
「なんでって、咲也さんから送られてきた写真に阿川が写ってたから」

圭太さんはそういうと、俺の手を掴んで咲也さんの元に向かった。

「あのさ、悪いけど俺たちもう帰るから。あと、これ」
「何?」

渡された紙袋を咲也さんが覗き込む。

「シュークリーム。パーティーに手ぶらで行くのもどうかとも思ったんだけど、何を持って行ったらいいか思いつかなくて」

「ぷっ、それでシュークリームなの?」
「そ、甘いの好きそうだし、ここの旨いから」

咲也さんが可笑しそうに笑う。

これなんだよな。二人のこういう空気感が嫌いなんだ。咲也さんは人と接する時はどこか壁がある。それが圭太さんの前だと薄くて低い。同じ仲が良いでも一馬さんとは違う距離感なのだ。

「じゃあ、お礼に」

咲也さんはそう言ってカードをひらひらさせた。大きく目立つわけではないが、周りにいる人にはそれがカードキーだという事が分かる。

「ここの上の階のやつ。阿川君への誕生日プレゼントだけど、いる?」

なっ、なんてことを。

このキーを受け取ったら僕たちの仲がそう言う仲だって言っているようなものだ。確かに僕はゲイであることを隠すつもりは無いと言ったけれど圭太さんは僕と同じではないのに。

「ははは、何言ってるんですか。咲也さん、面白い冗談言って」
「もらう。有難く貰うよ」

圭太さんは驚いて目を見開いている僕の腕を引っ張り、上りのエレベーターに乗った。



 エレベーターに乗っている最中、圭太さんは無言だ。それだけじゃなくて、僕の手に手を絡めてぎゅっと握ってくる。

え、ナニコレ。誕生日サービス?

エレベーターが27階で止まりプレゼントされた部屋の中に入れば、街を染める夕焼けが部屋の中まで赤く染め始めたところだった。高層階のビル、同じくらいの建物はあまり無くて街が一望できる。それなりに見事な景色だというのに、圭太さんは僕から離れようとしない。

「圭太さん?」

「……今日、仕事なんじゃなかったのかよ。俺に嘘ついてまで誕生日を一緒に過ごしたい相手って」

「ちょ、ちょっと待って。嘘ついたのは謝ります」

圭太さんが僕と目を合わせない。何とか誤解を解こうと口を開いかけたが、圭太さんの次の一言でやめた。

「俺じゃなきゃだめだって、思わせてやるよ」



 僕をベッドに押し倒すと圭太さんが上半身の服を脱いだ。大胆な行動とは裏腹、耳が赤い。
圭太さん、妬いてる……。

圭太さんが妬くのは珍しい。以前、仕事で咲也さんとキスをして以来だ。ベッドに寝転がっている僕のシャツのボタンを外しながら圭太さんが僕の口内を荒らす。逃げる舌を必死に追いかけて舌を絡ませる。目に欲情が滲んでいた。

「誕生日、一緒に過ごそうと思ってゼミ合宿、今日は休みにしてたのに……」

ぐっと唇を噛んだ圭太さんが僕の胸に顔を埋め、それから僕の下着から性器を取り出した。包まれる、温もり。竿に舌を添わせ、前後に扱う。苦しいだろうに意識的にもっと奥へと飲み込もうと必死で、ぐ、ううっと何かを堪えている声が漏れるたびに、征服欲がゆらゆらと揺らめいた。

圭太さんの指をすくい上げるように手に取って薬指のリングを撫でる。

「リング、変えてきたんだ、人前に出るのに。僕と一緒のリングですね」

ピクっと舌のリズムが狂う。

「僕が他の誰かに心を移したと思った?」

独占欲かと思うと顔がにやけてしまう。妬くのも独占欲も、僕に覆いかぶさる姿も、その全部が僕が欲しいと言っているようで、高揚感に頭がクラクラした。

無理やり顔をあげさせると、圭太さんの口の端から唾液が零れる。頬を赤らめて泣きそうに顔を歪めた表情……感じている時の圭太さんの顔だ。

「圭太さんじゃなきゃダメだって思わせてくれるんでしょう?」

「……向こう見てろよ」

圭太さんが自ら下着を下すのを見ていると、圭太さんがもう一度「向こう見てろって」と言った。恥ずかしくてどうしようもないと定まらない視線が言っている。

「嫌です、よそ見すらしたくない」
「……」

言葉を失った圭太さんは心を決めて、何かを堪えるように唇を噛むとローションに濡らした指を後孔に当てた。目の前で四つん這いになった圭太さんが指を挿入していく。

あの圭太さんが僕のペニスを挿入するために自分で後孔を解している。心の中で呟けば興奮に喉がゴクリと鳴った。

「何本入ってるんですか?」
「あ……」
「あ?」
「一本……」
「一本だけ? それじゃ僕のは入らないよ」

「分かってるって……ふ……んあ……」

ベッドの上に伸ばしている僕の脚に圭太さんの髪の毛がかかる。片手でシーツを握りしめながらお尻を高く上げ、くちゅくちゅとイヤラシイ音が続く。

「イイ音してますね。僕の前で自分でアナルを解すなんて、そんなに僕が欲しいですか?」

僕が言葉を発するたびに圭太さんの顔が羞恥に歪む。本能ではない、理性を伴った行為。理性で僕が欲しいと言っていると思うと愛おしさで僕の理性が飛んでしまいそうだ。

「ん……」
くちゅう
「ふぁっ」

指を引き抜いた圭太さんが僕の体に跨る。圭太さんの目に迷いが見えなくて、僕は嬉しくて微笑んだ。


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