イケメンと体が入れ替わってラッキーと思ったらそのイケメンがゲイだった

SAI

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36. しるし

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乳首に穴を開けるなんて……

「痛いのなんて一瞬だよ。アナルに僕のを挿れて、圭太が気持ち良くてたまらない時にしてあげる」

「ん……」

「くす、言葉だけで感じたの? そんなに挿れて欲しいんだ。ほら、おいで」

阿川の手に手を重ねて阿川の上に招かれる。座っている阿川の前に膝を曲げて立つと、次の行動を想像してアナルがキュッとなった。

「あっ……ふっ」

アナルの中を確かめるように阿川の指が内部を掻き混ぜて、くちゅり、と鳴る。

「自分で挿れて」
指を引き抜かれると同時に腰を下ろした。

「はっ、ああ……あ、ああ、入っ、てく」
「くす、気持ちよさそう」

阿川の舌が乳首の先端を舐めて、柔らかく微笑んだ。

「ね、ここにつけていい? いいって言って?」
まるで俺に懇願するような阿川の声色。

そうか……ピアスは俺の為じゃなくて阿川の為なんだ……

ぬちゅ、ぬちゅと音を立てて体が揺れる。揺りかごみたいな動きと気持ち良さ。

「あがわ、が、したいなら、いい」

ありがとう、と阿川は優しく微笑んでさっき俺に見せた白い箱を手にした。俺の乳首をぎゅっとつかんでその箱で挟む。

「あがわぁ」
「すぐに気持ち良くしてあげる」

腰の動きが大きくなる。緊張も相まって感覚がちぐはぐだ。

「圭太……圭太」
「あ……ああんっ」

前立腺をなぶられて、ひゃん、と声を上げた瞬間、パチンっと別の音が聞えた。

「あ……あ、あ」

痛いと思ったのはほんの一瞬。どこから痛みが発生したのかも分からない一瞬ののち、じんじんと乳首が熱くなる。じんとした痺れは、前立腺を突かれる快楽に惑わされて錯覚する。

「ああっ……きもちいいっ、あついっ、あんっ」
「可愛い」

阿川が呟くと同時にもう一度パチンと音が鳴って、痺れがもう片方にも現れた。

「あああっ!!」

「すごいっ、いやらしくて可愛い。思っていた通り、よく似合います」

押し倒されて指を絡めあったまま抜き差しを繰り返す。乳首の熱はもはや痛みではなく、完全なる快楽だ。強くつままれているような刺激がずっと続いて、俺の理性がバラバラに解けていく。

「きもちいい、あがわぁ、ああっ、どうしよ、ずっと……はああんっ、きもちいい」

何度も何度も体を反らせて、イっているのかそうでないのかも良く分からない。そんな俺を阿川の視線が更に犯していく。


「こんなイヤラシイ身体、僕以外には見せられませんねぇ」

「あっ、ふかっ、ふかいあああんっ」

ちゅぱん、ちゅぱん、いつの間にか水音が増して、アナルから何かが零れている気がするのに阿川の熱はずっとその硬さを誇示したままだ。

「圭太さんが可愛くて、全然萎える気がしないんですけど、どうしましょう?」

「あっ、あ、ああんっ、ひっ」

何か答えようにも口から零れるのはイヤラシイ嬌声だけだ。くすくすと阿川の笑い声が聞こえる。

「今日はもう、このまま、繋がって眠りましょうか」

その言葉が降ってくるのを感じながら俺は意識を手放した。 




 目が覚めたのは真夜中。携帯電話の数字は午前2時を示していた。俺の背中を抱きしめるようにして阿川がくっついている。

繋がったまま寝ようか、なんて言ってたくせに、ちゃんと寝てるじゃん。
そんなことを思った自分に呆れながらも、そっとベッドを抜け出した。

 浴衣を脱いで外に出れば、凜とした空気に身が引き締まる。阿川が拭いてくれた形跡のある体をシャワーで流し内部の精液も丁寧に掻き出した後で、胸に光るシルバーの飾りを見つめた。

「阿川のものだっていう印、か……」

湯船にそっと浸かる。乳首を湯に入れない様に半身浴だ。

「こんな自分、想像つかなかったなー」

女の子が好きで彼女を作ろうと必死だった俺が、今では男と付き合って胸にピアスまでしてる。それでも後悔が無いのは、阿川が相当俺のことが好きらしいと自覚したからだ。

「こんなに俺のこと好きになる奴なんて、いねえよなー」

ちゃぽん、と湯を鳴らすと波紋が浴槽の淵まで行って、消えた。






「圭太さん」
「ん……」
「圭太さん」
「ん~……」
「朝食どうしますか?」
「あー、今何時?」

眠くて頭がぼーっとする。

「7時半です」
「朝食、何時までだっけ?」
「9時までですよ」
「ん……あと30分、ねる」

寝る、と言いつつ阿川にひっつく。

「どうしたんですか?」
「阿川、あったかい」

阿川が俺を抱きしめ返して、顔が近くなってキスをした。

「阿川って寝起きでもカッコいいのな」
「そうですか? 普通ですよ」

むぎゅーっと阿川の頬を引っ張る。

「いっ、いてててて」
「うん、こうすると不細工になるな」

「もうっ、なんですか、全く」

阿川の顔をまじまじと眺めたまま、さっき引っ張った頬を撫でた。


「なー、阿川さー、なんで俺なの? 俺じゃなくても阿川なら好きになってくれる人いっぱいいるよ」
「なんでですかね。理由って必要ですか?」

質問で返されて、んー、と声を出した。

「理由って、それがなくなったら好きじゃなくなるってことでしょ?」

「はぁ……」

「例えば顔が好きだったら、顔が傷ついたり変わったりしたら好きじゃなくなるってことでしょ。優しいところが好きだったら優しくなくなったら好きじゃなくなる」

「まぁ、そうかな。そうか」

「だから、これだっていう理由はないです。理由がないから、嫌いにならない」
「なんか、良く分かんねぇな……」

「じゃあ、圭太さんは僕のどこが好きなんですか?」

阿川の目が真剣だ。



「んー、顔かな」


「圭太さんっ!!」


ぷぷぷ、と笑う。


確かに、どこが好きかとか好きになった理由とか、そんなものはどうでもいいのかもしれない。俺の中にあるのは、阿川と一緒にいたい、阿川がいつもふわっと笑えるように、そういう居場所を作ってあげたい、それだけだ。


「そんな意地悪を言うなら、食事の前にもっと美味しいものを頂きますよ」

阿川の指が伸びて俺の乳首にそっと触れる。

「あっ」

昨日出来たばかりの印は、触れられれば痛みを呼び起こしその痛みは快楽へと繋がってしまう。

「いやらしい声」
「ばっ……」

文句を言おうとして尖らせた口は阿川の口で塞がれ、俺は言葉を飲み込むしかなかった。


俺、阿川には一生勝てない気がする……。






FIN.


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