イケメンと体が入れ替わってラッキーと思ったらそのイケメンがゲイだった

SAI

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35.合図

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「んー、今日は疲れたなー。いっぱい歩いた気がする」

ぐぐっと伸びをした後で俺はお刺身のエビを箸でつまんだ。

「明日には帰るなんてあっという間でしたね」
「だよなー。ってか悪いな。俺ばっかりお酒飲んじゃって」
「いいですよ。僕だってあと2ヶ月もすればお酒解禁ですし」

「そういえば阿川の誕生日っていつなの?」
「5月4日です」
「わかった、憶えておく」

「そんなこと言うと期待しちゃいますよ」
「おーおー、任せとけって」

お酒が程よく回って体はポカポカだ。最後のひと口、お吸い物をゴクッと飲み干して俺は畳の上に転がった。

「もー、食えーんっ」
「このまま寝たら気持ちよさそうですね」

昼間に散々歩いた疲労もあって、確かに目を閉じればこのまま眠りに吸い込まれて行きそうだ。

「んー」
「でも圭太さん、まさかこのまま眠ったりしませんよね? 最後の夜なのに」

寝転がっている俺の上に阿川が乗る。浴衣、薄い布越しに感じるソコはたぎる熱を俺に伝えていて、俺は一気に覚醒した。


「あ……」

阿川の視線に煽られる。口を半開きにして阿川のキスを受けようとした瞬間、コンコンとノックが聞こえた。

「お食事を下げさせていただいても宜しいでしょうか?」

俺は慌てて阿川の下から抜け出すと、「どうぞ!」と叫んだ。


 
「お食事は口に合いましたでしょうかー?」

やんわりと話しかけながら仲居さんが食事を運ぶ。

「とても美味しくいただきました」
「それは良かったです。今日はどちらに観光に行かれたんですか?」

「由布川渓谷まで」

阿川と仲居さんが楽しそうに話をしている。お布団を敷かせて頂きますね、と布団を敷き始めた仲居さんを見ながら俺の胸は高鳴っていた。

さっきのあれって、今日もするってことだよな……。

こんなこともあろうかと阿川が湯船で寛いでいる隙に洗浄は済ませてはある。だから勿論、嫌なわけではない。だけど、昨日のアレ……。

尿道にカテーテルを差し込まれてあんな……。あんなの普通じゃないのに、気持ち良くて俺……。今日もあんなことをされるのだろうか。

「圭太さん、布団、敷き終わりましたよ」
「あ……うん」

阿川の手が俺の肩に置かれて、体がピクっと反応してしまった。

「もしかして期待してました?」
「そんなんじゃ……」

ないと言い切れるはずがない。昨日のことを思い出しただけで俺の体はゾワゾワと落ち着かなくなり、阿川に触れて欲しくて仕方ないのだ。

したい、という代わりに阿川の浴衣の襟をつかんで引っ張ると阿川の唇に唇を重ねた。



 こんな状況で唇が重なればそれは立派な合図になる。阿川の手が俺の浴衣の襟元を掴み、ゆっくりとはだけさせる。顔を少し傾けて阿川が目を細めた。

「前に僕が咬んだ跡、もうほとんど消えましたね」

肩を舐めた舌は先端を尖らせたまま、つつつ、と下がり、ピンク色の膨らみをペロッと舐めた。沸き起こる甘い痺れ。

「ここ、弄られるの好きですよね。弄られるのも、か」

両方の乳首の先端を指の腹で撫で、阿川の目が俺の反応を見ていた。感じる視線。

「あんまり、見ないでほしいんだけど……」

阿川に見られていると思うだけで、感覚が敏感になる。痺れは甘い疼きに変わって、ペニスの先端をトロトロに濡らした。

下着が濡れているのか分かる。俺、乳首を触られてるだけなのになんでこんなに……。

濡れている感覚が気持ち悪くて浴衣を少し摘まめば、阿川がふっと笑った。

「下着、濡れちゃったんじゃないですか? 女の子みたいに」

何も言えなくて唇を噛むと、阿川が目を細めて笑った。

「浴衣をはだけて僕に見せて。ほら、出来るでしょう?」

「あがわぁ……」

恥ずかしくて助けを求めるように阿川の名前を呼ぶ。

「そんな声出してもダメですよ。ほら、ちゃんと見せて下さい」

阿川の目に追い詰められて恐る恐る浴衣の合わせ目を開いた。脚に空気の動きを感じる。

「灰色のボクサーパンツだから真ん中の染みが目立ちますね」

阿川の指が俺の下着の濡れている部分なぞって、ぬるっとしてる、と呟いた。

「もう、隠していいか?」
「どうして? 隠してこのまま終わりにして良いの?」

阿川の言葉が俺を追い詰めていく。どうすればいいか分かりますよね? と囁かれてゆっくりと下着を脱いだ。恥ずかしくて恥ずかしくて、どうにかなりそうなほど恥ずかしいのに、体のあちこちに火がつく。

「どうして欲しいですか?」
「……触って欲しい」
「どこを? 前? それとも後ろ?」

「いじわる……」
「意地悪じゃないですよ、可愛がってるんです。体全部を使って圭太さんに好きだって伝えてるんですよ」

そんな言い方をされたら俺は何も言えなくなって、「後ろを触って欲しい」とだけ囁いた。


「あっ……はぁっ……」

ぐちゅ、ぐちゅと淫らな音をさせてアナルが押し広げられる。かき混ぜられて広げられて阿川の視線が熱い。

「こんなにヒクヒクさせてそんなに欲しいですか?」
「あっ……もっと……そこぉ」

もっと強い刺激が欲しくて腰を揺らすのに阿川の指は肝心なところをわざと避けているみたいだ。指じゃもどかしい。もっと決定的なモノで俺を貫いて快楽に落として欲しいのに。

「ねぇ、圭太さん。僕、この旅行から戻ったら仕事で10日くらい海外に行くんですよ」

「かい、が、い?」

四つん這いになった俺のアナルから3本の指を引っこ抜いて阿川が言う。

「帰って来る頃にはここの痕、キレイに消えちゃいますね」

浴衣を引っ張って俺の肩を露出させると、薄くなった咬み痕に触れた。

「消えない僕の印、欲しくないですか?」

阿川が俺の目の前に白い箱のような物を見せる。それから俺の体をそっと抱き起すと乳首に舌を這わせた。

「あっ」
「ねぇ、ここに飾りをつけていい?」

怪しい空気に俺の表情が強張る。

「それって……」
「ここにね、ピアスつけないかなって。ニップルピアスって言うんだけど」

「だっ、だめっ、嫌だっ」

「どうして? 毎回咬んでたら圭太の体が傷だらけになっちゃうよ。圭太は僕のモノだって言う印が欲しいんでしょう?」

阿川の言葉は魅惑的だ。消えない印、阿川のモノだって言う証。

「阿川は俺につけたいの?」
「つけたい」

迷いもなく阿川が即答する。

「圭太が俺のものだって忘れない様に」

こういうとき、阿川はズルい。やんわりと優しい言葉で俺の逃げ道を塞いでいく。そして俺も、それを許しているから同罪だ。

「痛いのは怖い」

「違うよ圭太。圭太にとって痛いは気持ちいいでしょう?」


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