イケメンと体が入れ替わってラッキーと思ったらそのイケメンがゲイだった

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29. 伝えたい想い

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 電車が最寄り駅に着いて俺たちは電車を降りた。阿川の家は駅の南側、俺の家は北側で、ここで別れたらもう終わりになる。

「これでもう入れ替わることが無いですね」
「そう、だな」

「じゃ、僕そろそろ」
「阿川っ!!」

我ながら必死な声だと思った。思ったけどもう止められなかった。

「俺、お前と別れたくない。……って、もう別れてるのに別れたくないってのもおかしいか……、俺、俺……うっ」

伝えたい言葉はあるのに、涙が後から後から零れてくる。

「悪い、俺なんか、泣いて……、あっ、ちがくて、あぁ」

こんなところでこんなに泣いたら目立って仕方がない。ただでさえ阿川は目立つし、モデルだし、変な噂が立ったらどうしよう。

泣き止まないと。泣き止んで、それから阿川に人のいないところに来てもらって。

色々な感情が一気に押し寄せてどうしようもなくなっていると、阿川が俺の腕をつかんで走り出した。駅を抜けて人気のない道で立ち止まる。

はぁ、はぁと呼吸を整えてから阿川を見た。



「阿川が好きだ」

ちゃんと伝えよう。結果がどうなったとしても。

「俺、お前とやり直したい」

阿川の腕が俺を包む。ギュッと力の入った腕が苦しくて嬉しくて、俺も阿川を抱きしめた。

「言うの、遅いですよ。ずっとその言葉を待ってました」

俺を抱きしめる手が緩んで、阿川が俺の顔を覗き込むようにした。阿川の目を見たらもう我慢なんかできなくて、襟元を掴んでそっと唇を重ねた。

「このままホテルに行ってもいいですか?」
「……そんなこと、聞くなよ。俺だって阿川と」

したい、の言葉は恥ずかしさのあまりに阿川の胸に顔を埋めて呟いた。

 

 無言のまま早歩きでホテルに入る俺たちは、外から見たら相当滑稽だと思う。だけど、そんなことに構っていられないほど俺たちはお互いしか見えていなくて、ホテルの部屋のドアを閉めた瞬間から唇を重ねたまま服を脱ぎ始めた。

「んっ……、ふ……」
唇を重ねただけで電気のような快感が走る。阿川に腕を引っ張られてベッドに寝転がった。

「待って、風呂、風呂入らないと」
「要らない、そんなの」
「だ、だめだって。ちゃんと洗ってから、その、阿川をいっぱい感じたいから……たのむ」

この時、阿川の舌打ちを初めて聞いた。

「あ、阿川?」
「あんまり煽らないでくれますか。結構限界なんで」

そう言いながら阿川が自分の唇を舐める。
こいつのこういう仕草、わざとやってるんじゃないかと思う。

「それは俺のセリフだ」


 シャワーの音をBGMにして阿川が俺の中に入ってくる。洗浄と言う目的で解されたソコはゆっくりと確実に阿川を飲み込み、喜びに締め付けた。

「はっ……あがわ、あつい」
「ナカに入ってますよ。全部」

奥まで入っているのに更に奥にペニスを進められて内側に阿川の先端を感じる。横向きに体を壁に預けて片足を阿川に抱えられたまま、ゆっくりと突き上げられた。

「はっ、あんっ…なんか、きょう、ああっ、やばいっ」
「何がヤバイんですか?」

「うれ、しくて、ああっ、どうに、か……なりそ」
「どうにかなっちゃだめですよ。ちゃんと見て、憶えて。僕がどんな風に圭太さんに触れるのか」

阿川の人差し指と中指が俺の乳首を挟む。甘い疼きが生まれて、あ、と声が漏れた瞬間に引っ張られ痛みに変換される。そのまま前立腺を突き上げられれば、痛みに熱がともり痺れが快感に変わった。

「ああっ、やだっ、キモチいいっ、ああんっ、全部っ、きもちいいっ」

脚の力が抜けて崩れそうになって阿川に支えられた。
「ベッドに移動しましょ」


体を拭いてベッドに上ろうと足をかけた体勢で後ろから挿入される。ぬちゅん、と鳴った音がイヤラシイ。

「ああっ、やっ」

快楽に前のめりに崩れると阿川の舌が背中を這った。

阿川が俺の背中を舐めている。うそ……。

信じられない行動に脳が何かを思う前に体が反り返って腰が揺れた。

「あがわぁ……」
「僕がどんなに圭太さんを好きか伝わりますか?」

グッと体重をかけられて今度はうつ伏せになって繋がった。阿川のお腹が俺の背中にぴったりとくっつき、顔は俺の横にある。

ズンっ、ズンっと深く貫かれて、耳元に阿川の息を感じる。
「僕がこんな風に抱きたいと思うのは圭太さんだけですよ」

つながったまま体をひっくり返され、阿川の視線とぶつかった。片足を高く上げられながら貫かれて、だらしなく口が開いた顔を阿川が見ている。

「やっ、あんま、り、みる……な」
「やだ」
「ひっ、だめ、ああっ」

足の指の間にぬめりとした温かさを感じる。ぴちゃっと音を立てて阿川が俺の足の指を舐めていた。奇麗な阿川の顔、形の良い唇に俺の足が埋まる。

「きたな、いからぁっ」

止めて欲しくて引き抜こうとしても、内部を深く貫かれれば快楽に身を震わせてしまうだけだ。立て続けに貫かれて、足の指の爪を噛まれる。

「あんっ、あっ、あああ、あああんっ」

声が止まらなくて中心に高まった熱が破裂しそうだ。

「いくっ、ああっ、いくぅううっ」

びくっ、びくっと身体を震わせている最中も阿川は容赦なくて、俺が何度も何度も体を震わせるとようやく阿川も少し苦しそうに呻いた。

「くっ……はぁ、はぁ。まだ足りないですよね。ここから溢れて飲み込めなくなるくらい、僕が欲しいでしょう?」

あぁ、もう本当に。
くっついて、絡まって、体を繋いで、こんなにしているのにもっと繋がりたい。頭がどうかしてしまったんじゃないかってくらい阿川が欲しくて、注がれているのに渇いていくみたいだ。

「阿川……なんか、もう、ほんと、全然足り、ねぇ」

阿川を押し倒すと今度は自分から阿川を飲み込んだ。

「ここ、誰の歯型? まさか、あいつじゃないよね?」

俺の肩に触れて阿川の目がキュッと冷たく細められる。

「もう触るなってはっきり断ったはずなんだけど」
「ちがっ、あっ、ちがうっ」

腰を突き上げられて気持ち良さに崩れてしまいそうだ。ちゃんと言葉にしたいのに阿川が俺を貫くから、体を揺さぶられながら阿川に口づけた。そのまま阿川にしがみ付く。

「断った、からあっ。俺も、ちゃんと、ああっん、ことわった」

阿川の動きが止まる。

「じゃあ、この歯形は何?」
「……俺の」
「え?」
「自分でやった」

「どうして?」

ぎゅっと口を結べば、ちゃんと言ってと言うように阿川が腰を動かす。

「ひっ、あっ…がわの印……消えて、はっ、あんっ、さ、みしく、て」

阿川が優しく微笑んで体を起こした。俺の歯型にうっとりと舌を這わす。

「圭太さん、好きです。だから、僕が別れるって言っても分かったなんて言わないで」



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