イケメンと体が入れ替わってラッキーと思ったらそのイケメンがゲイだった

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19. 教室の情事

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「ふああぁあ」

キン、とした冷たい空気が肺に届いても眠いものは眠いし、欠伸も出る。冬休みですっかり崩れた生活リズムの影響は登校初日に顕著に表れた。

「ぷっ、締まりのねぇ顔してんなぁ~」
「お前も俺と大して変わらないだろ……」

一馬は俺に「ふあああ」と欠伸で返事をするとパタパタと大学の門へ逆走する女子を目で追った。

「なんだ、あれ?」

一馬の視線の先を見ると十数人の女子が何かを待ち構えるかのように門の前に立っている。

「さぁ、そんなことより早く学内に入ろうぜ。寒ぃったらねぇわ」

体をすぼめて足早に歩き始めた時、キャッと高い声が聞こえたような気がしたが情報の誘惑よりも寒さに負けた俺たちは学内へと逃げ込んだ。




【圭太さん、3限目の休み時間に西3の第5教室に来れますか?】

  阿川からそんなメッセージが届いたのは1限目の講義中だった。いつもは講義中にメッセージなんか送って来ないのに珍しいなと思いつつ、顔がにやけてしまう。

阿川とはクリスマスに会ったきり会えていない。年末年始は毎年、海外に赴任している母親のもとで過ごすらしく、クリスマス直後に旅立ったのだ。こんなメッセージを送ってくるという事は日本に帰ってきて大学にも来ているということだ。

そわそわと講義をやり過ごし第5教室に急ぐと阿川はまだ来ていなくて、机に腰を下ろして阿川を待つ。休み時間は15分。5分経っても来ない。6分、7分、久しぶりに会う事の緊張と、時間が減ることへのがっかりした気持ちを抱いていると、ガラッとドアが開いて阿川が飛び込んできた。

「阿川っ」
「しっ、こっち」

腕をつかまれて教卓の下に連れ込まれる。近づく距離、阿川の匂いがする。阿川は、しーっと今も唇に人差し指を当てたままで、耳を澄ましているとパタパタと人の足音が聴こえた。

「阿川くーんっ」
ガラっと教室のドアが開いて阿川を呼ぶ声。

なるほど、これから逃げていたのか。阿川と目が合う。目が合……。吸い寄せられるとはこういうことを言うのだろうか。阿川の目がすっと細められて俺の唇を捉えているのを感じた瞬間、同じように目を細めて重ねていた。

柔らかい感触、舌の温度、少し冷たかった阿川の舌は俺と重なることで同じ温度になっていく。

「こっちに来たと思ったんだけどなー」

そんな声とドアの締まる音を聞きながら唇を重ね続けて、久しぶりの阿川に頭がクラクラした。

「ん……もう……あ、阿川っ、もう、行ったってば!!」

阿川の体を押し離して机の下から這い出した。

「久しぶりだってのに圭太さんは冷たい。僕はこんなにも会いたかったのに」

「冷たくなんかないだろ。ちゃんとこうして来たし。ってか、俺だって会いたかったよ」

「やば……今のって煽ってましたよね?」
「は?」
「圭太さんが会いたいって言うなんて……」

「なんだよ、思ったこと言っただけで煽ってなんかない」
「でも、僕は煽られました」

「は?」
「圭太さん、次の講義は休んで下さいね」

「お前、何言って」

阿川の手がするりと身体の表面を滑り服の上から敏感な部分を撫でる。先ほどのキスで熱を持ち始めていたソコは簡単に欲望を主張した。

ベルトを外して阿川の手が直接ペニスに触れる。聞こえるはずなどないのにヌチュと濡れた音が聞えた気がして、体の温度が上がった。

「やめろよっ。こんなところじゃ嫌だ」
「嫌だって言われても、このまま終わって大丈夫なんですか?」

痛いところを突かれて、言葉を飲み込む。

「僕は一刻も早く、圭太さんの中に入りたい」

耳元で強烈な言葉をささやかれて、「あ……」と湿った声が漏れた。俺だって阿川と繋がりたい。でも教室でシテいる時に誰かが入ってきたら隠れようもないのだ。

「阿川ぁ、やだぁ」
「そんなに人に見つかるのが嫌ですか?」
「当り前だろっ」

阿川の手が執拗にペニスを擦り、掌で亀頭を撫でる。ピリピリとした刺激が体を襲い、射精感が高まって腰が揺れた。

「あ、あ……あ」
「ダメですよ、まだ、イかせない」

久しぶりに会ったっていうのにどうしてこいつはこんな意地悪をするのだろう。ぎゅっと唇を噛んで阿川を見上げた。

「涙目になってますね。可愛い」
「どうして……あっ」

阿川の長い指が内壁を押し広げながらアナルの中を突き進む。アナルに阿川の指が挿入されているというだけで頭が熱くなった。指が二本に増やされて三本に増やされて、物欲しそうに開く口の中に阿川の指が入る。

腹ばいになって机に上半身を預けて、ジーンズと下着は太ももまで下ろされた。こんな場所でなんて嫌なのに、体は昂ることをやめない。

「挿れるよ、圭太」
「ひっ……ん、んんんんっ」

声を出さない様にギュッと歯を食いしばると、口の中に血の味が広がった。阿川の指っ!

「阿川、ごめんっ」
「何が?」

俺の口から引き抜いた指を舐めると、阿川は「そんなこと気にしてていいんですか?」と囁いた。阿川の腰が内部を抉る様に動く。

「あっ……ああっ」
「声、我慢しなくていいんですか?」

言われて慌てて袖口を噛んだ。

「気付いてました? この位置、誰かが入ってきたら僕たちが繋がっている所がはっきり見えますね」

視線を移動させて阿川の言葉が真実だと知ると、ぎゅっと内部が収縮した。

「そんなに喜ばないでくださいよ」

苦しそうな息を吐いた阿川が呟く。

「あがわ……はや、く……終わら……せて」
「嫌です」
「ど……して?」
「圭太さんが可愛いから」

ぬちゅ、ぬちゅと一定のペースで突くペニスは穏やかな波のような快楽を俺に与える。片足を高く上げられて机にしがみ付いたまま体を捻った。

「ここも触ってあげましょうか?」

阿川の手が俺のペニスに伸びる。先端をヌルヌルにして、したたり落ちるほどのそこは少しの刺激でも破裂してしまいそうだ。これ以上の刺激は耐えられない。嫌だ、嫌だと首を振る。

「そんな顔されたら、もっと気持ち良くしたくなる」

阿川の手が俺のペニスの先端を包むようにして触れた瞬間、ハアアアっと押し殺した息を吐き出しながらペニスが白濁を吐き出した。

「くす、たくさん出ましたね。もっと出ると悪いから、ゴムつけておきますか」

ヒクヒクと体を痙攣させたまま嘘だろ?と思った。

「ハァ……まだ、やるつもりかよ」
「僕、まだイってないし、圭太さんも足りないでしょ」

直ぐに動かされて熱が冷める暇がない。パタパタパタと廊下を走る音が聞こえて緊張で体が強張った。

「危なかったですね。股を大きく開いて僕を受け入れているいやらしい圭太さんを誰かに見られるところでした」

感情が高ぶって涙が零れると、ほほ笑んだ阿川が俺の涙を舐める。

「そんな顔、誰にも見せないでくださいね」

見せるかよ!との言葉は喉を過ぎる時に、あん……といういやらしい声に変換され、もう一度袖を強く噛んだ。
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