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17.不満 ☆
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そう言えば、付き合って知ったことが二つある。
一つは高見がものすごくエロいということ。会う日は必ずセックスをするし、1回で終わらないことも多い。僕も高見を気持ち良くしたいと思っているのに、いつも高見に翻弄されて気持ち良くなってしまう。もし高見と別れることになったらと思うとゾッとするほどに快楽を体に教え込まれているのだ。
付き合っている相手にそうするのは高見にとっては普通のことなのかもしれないけど、時々、怖くなる。
もう一つは束縛魔だということだ。流石に何十件も着信があるなんてことは無いが、僕の仕事が終わるであろう時間にはエインが来るし、その後の予定も毎日聞かれる。家に着いたら必ずエインをするという決まりも出来上がり、うっかり忘れた日には7件のエインと3件の着信があった。
一度、そんなにエインを送らなくてもという話をしたが、ごめんとキスをされたままセックスになだれ込み、なあなあになってしまった。
「たまにはセックスなしでまったり過ごしたいなぁ」
学生時代、よく女の子たちが「会うたび毎回セックスって、ただヤりたいだけなんじゃないの!?」なんて言っているのを聞いたけど、確かにそう言いたくなる気持ちもわかる。
「よし、今日はセックスなしにしてやる。誘われても断固拒否だ!」
そう、心に決めたのに。
お風呂からあがった高見はいつものようにベッドの前に座っている僕の隣に座り、臭いをかぐみたいに僕の首に顔を埋めた。
「ん、高見。待って」
首筋を吸いながら僕の服の中に手を入れてきた高見の手を掴む。
「なに?」
「今日はやめよう? たまには、まったりテレビでも観ようよ」
「俺とするの嫌いですか?」
「嫌いじゃないよ。嫌いじゃないけど……」
「気持ち良くない?」
「そっ……そんなわけ……」
「ないですよね?乳首を弄るとすぐに呼吸が粗くなって、アナルの入り口を揉まれると期待で腰が揺れちゃいますもんね」
「なっ、そんなんじゃない」
「嘘。指一本なら素直に飲み込むし、二本にするといやらしい音でいっぱいになりますよね? 俺のものを入れると涎垂らして喜んで、もっと、もっとってナカをひくつかせるじゃないですか?」
「やっ、それ以上は……」
高見の言葉にゾクリ、ゾクリと鳥肌が立つような感覚が起こる。
「もしかして、言葉だけで立っちゃいました?」
高見の手が僕のペニスに伸びて亀頭をゆっくりと撫でた。
「あっ、高見……やだ……」
「素直じゃないですね。そんなんだから、つい意地悪したくなっちゃうんですよ」
その先は高見の手で翻弄され、舌で弄ばれ、「高見のモノを入れてほしい」と口にするまで散々喘えがされた。
チーン……。作戦は失敗である。
「羽山さん、げっそりした顔してどうしたんですか? せっかくの温泉あんだから、楽ひみまひょうよ」
僕の隣の席で池田はポテチを食べながら随分とご機嫌である。
「池田、言っておくけどこれも仕事だからね」
今日はうちの会社でリーダーとして頑張ってくれているアルバイト、23人を連れての慰安旅行だ。イベントは会場の大きさにもよるが大抵ひと現場50人~100人ほどのアルバイトを使う。そのアルバイト達をまとめるのがアルバイトリーダーだ。一つの現場に社員が二人、アルバイトリーダーが5人~12人、つまりアルバイトリーダーたちがいないと現場は回らない。アルバイトの身でありながら時には社員の様に動く彼らを労う意味でこの旅行は毎年不定期に行われているのだ。
「でも、高見さんは楽しそうにしてますよ?」
集合先からこのバスに乗り込んだ時、高見はバイトリーダーの女の子たちに攫われるようにして奥の席へと連れていかれた。僕が高見を覗き見ると、女の子たちにお菓子を貰って何やら楽しそうに談笑している。
「高見は相変わらず人気があるよなぁ」
「本当にズルいですよね。僕、この間、アルバイトの子に告白されてるの見ちゃいましたもん」
「へぇー。イケメンだもんなー」
「そうなんですよ。イケメンなのに優しいとかどんだけですか! イケメンなら性格悪いとか、ものすごいオタクで二次元の女の子にしか興味を持てないとか、欠点を持っていて欲しい。世の中の残念メンの為に!!」
「残念メンって……。ってか池田、お前彼女がいるだろ?」
「……この間振られました」
「そうか、そうか。今日は飲もうな」
急にしょぼくれて萎れたようになった池田の肩を叩いた。
「いらっしゃいませ! コネクトJ様。ようこそおいでくださいました。お部屋は係の者が案内いたします」
「よろしくお願いします」
的場さんの後に続いてみんなも挨拶をした。部屋はアルバイトリーダー用の6人部屋が4部屋、社員用に2人部屋とってある。社員用の部屋は向かい合うようにして用意してあり、その隣に2部屋ずつバイトリーダー用の部屋があった。
「じゃ、俺と羽山がこっち。高見と池田はそっちな」
「え? くじ引きとかそういうので決めるんじゃないですか?」
「俺と池田が一緒になったら池田が泣くだろ。高見、お前がしっかり面倒見てやれ」
「……分かりました」
「高見さぁんっ」
「池田、お前、嘘でも「そんなことないですよ。的場さんと一緒になるならむしろ光栄です」くらい言えよ」
目を輝かせた池田の隣で高見が少しガッカリした様な声を出した気がしたのは僕の思い違いだろうか。
「どれ、夕食の前に風呂でもいくかぁ」
「そうですね~」
温泉といえば風呂だ。旅館に着いたら風呂、ご飯食べてお風呂、早朝にもう一回、元気があれば朝食後にもう一回、これが僕の温泉ルーティンだ。
「あ、羽山さん、その前にちょっといいですか? 夕食の後にビンゴ大会のことで羽山さんに相談があって」
「えー、それって早く終わるんだろうな?」
「あんまり時間はかからないと思います」
「ならいいけど」
「よし、じゃあ、池田は俺と先に風呂に入るぞ」
「えぇーっ」
「えぇーっじゃないだろ!そこは「はい」って言ってしっぽ振ってついてこいよ」
「は、はい~。優しくしてくださいよぅ」
「なんだよ、それ。荷物もって5分後部屋の前に集合な」
一つは高見がものすごくエロいということ。会う日は必ずセックスをするし、1回で終わらないことも多い。僕も高見を気持ち良くしたいと思っているのに、いつも高見に翻弄されて気持ち良くなってしまう。もし高見と別れることになったらと思うとゾッとするほどに快楽を体に教え込まれているのだ。
付き合っている相手にそうするのは高見にとっては普通のことなのかもしれないけど、時々、怖くなる。
もう一つは束縛魔だということだ。流石に何十件も着信があるなんてことは無いが、僕の仕事が終わるであろう時間にはエインが来るし、その後の予定も毎日聞かれる。家に着いたら必ずエインをするという決まりも出来上がり、うっかり忘れた日には7件のエインと3件の着信があった。
一度、そんなにエインを送らなくてもという話をしたが、ごめんとキスをされたままセックスになだれ込み、なあなあになってしまった。
「たまにはセックスなしでまったり過ごしたいなぁ」
学生時代、よく女の子たちが「会うたび毎回セックスって、ただヤりたいだけなんじゃないの!?」なんて言っているのを聞いたけど、確かにそう言いたくなる気持ちもわかる。
「よし、今日はセックスなしにしてやる。誘われても断固拒否だ!」
そう、心に決めたのに。
お風呂からあがった高見はいつものようにベッドの前に座っている僕の隣に座り、臭いをかぐみたいに僕の首に顔を埋めた。
「ん、高見。待って」
首筋を吸いながら僕の服の中に手を入れてきた高見の手を掴む。
「なに?」
「今日はやめよう? たまには、まったりテレビでも観ようよ」
「俺とするの嫌いですか?」
「嫌いじゃないよ。嫌いじゃないけど……」
「気持ち良くない?」
「そっ……そんなわけ……」
「ないですよね?乳首を弄るとすぐに呼吸が粗くなって、アナルの入り口を揉まれると期待で腰が揺れちゃいますもんね」
「なっ、そんなんじゃない」
「嘘。指一本なら素直に飲み込むし、二本にするといやらしい音でいっぱいになりますよね? 俺のものを入れると涎垂らして喜んで、もっと、もっとってナカをひくつかせるじゃないですか?」
「やっ、それ以上は……」
高見の言葉にゾクリ、ゾクリと鳥肌が立つような感覚が起こる。
「もしかして、言葉だけで立っちゃいました?」
高見の手が僕のペニスに伸びて亀頭をゆっくりと撫でた。
「あっ、高見……やだ……」
「素直じゃないですね。そんなんだから、つい意地悪したくなっちゃうんですよ」
その先は高見の手で翻弄され、舌で弄ばれ、「高見のモノを入れてほしい」と口にするまで散々喘えがされた。
チーン……。作戦は失敗である。
「羽山さん、げっそりした顔してどうしたんですか? せっかくの温泉あんだから、楽ひみまひょうよ」
僕の隣の席で池田はポテチを食べながら随分とご機嫌である。
「池田、言っておくけどこれも仕事だからね」
今日はうちの会社でリーダーとして頑張ってくれているアルバイト、23人を連れての慰安旅行だ。イベントは会場の大きさにもよるが大抵ひと現場50人~100人ほどのアルバイトを使う。そのアルバイト達をまとめるのがアルバイトリーダーだ。一つの現場に社員が二人、アルバイトリーダーが5人~12人、つまりアルバイトリーダーたちがいないと現場は回らない。アルバイトの身でありながら時には社員の様に動く彼らを労う意味でこの旅行は毎年不定期に行われているのだ。
「でも、高見さんは楽しそうにしてますよ?」
集合先からこのバスに乗り込んだ時、高見はバイトリーダーの女の子たちに攫われるようにして奥の席へと連れていかれた。僕が高見を覗き見ると、女の子たちにお菓子を貰って何やら楽しそうに談笑している。
「高見は相変わらず人気があるよなぁ」
「本当にズルいですよね。僕、この間、アルバイトの子に告白されてるの見ちゃいましたもん」
「へぇー。イケメンだもんなー」
「そうなんですよ。イケメンなのに優しいとかどんだけですか! イケメンなら性格悪いとか、ものすごいオタクで二次元の女の子にしか興味を持てないとか、欠点を持っていて欲しい。世の中の残念メンの為に!!」
「残念メンって……。ってか池田、お前彼女がいるだろ?」
「……この間振られました」
「そうか、そうか。今日は飲もうな」
急にしょぼくれて萎れたようになった池田の肩を叩いた。
「いらっしゃいませ! コネクトJ様。ようこそおいでくださいました。お部屋は係の者が案内いたします」
「よろしくお願いします」
的場さんの後に続いてみんなも挨拶をした。部屋はアルバイトリーダー用の6人部屋が4部屋、社員用に2人部屋とってある。社員用の部屋は向かい合うようにして用意してあり、その隣に2部屋ずつバイトリーダー用の部屋があった。
「じゃ、俺と羽山がこっち。高見と池田はそっちな」
「え? くじ引きとかそういうので決めるんじゃないですか?」
「俺と池田が一緒になったら池田が泣くだろ。高見、お前がしっかり面倒見てやれ」
「……分かりました」
「高見さぁんっ」
「池田、お前、嘘でも「そんなことないですよ。的場さんと一緒になるならむしろ光栄です」くらい言えよ」
目を輝かせた池田の隣で高見が少しガッカリした様な声を出した気がしたのは僕の思い違いだろうか。
「どれ、夕食の前に風呂でもいくかぁ」
「そうですね~」
温泉といえば風呂だ。旅館に着いたら風呂、ご飯食べてお風呂、早朝にもう一回、元気があれば朝食後にもう一回、これが僕の温泉ルーティンだ。
「あ、羽山さん、その前にちょっといいですか? 夕食の後にビンゴ大会のことで羽山さんに相談があって」
「えー、それって早く終わるんだろうな?」
「あんまり時間はかからないと思います」
「ならいいけど」
「よし、じゃあ、池田は俺と先に風呂に入るぞ」
「えぇーっ」
「えぇーっじゃないだろ!そこは「はい」って言ってしっぽ振ってついてこいよ」
「は、はい~。優しくしてくださいよぅ」
「なんだよ、それ。荷物もって5分後部屋の前に集合な」
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