【SF×BL】碧の世界線 

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第二章 N+捜査官

49. どうしようもない夜 ☆

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 思考が止まらない。今日の出来事がぐるぐる回って感情も平にはならない。嵐の中で海に出て振り落とされまいと船体に必死にしがみ付いているみたいだ。捜査官の身でありながらDの存在を隠している。誰にも話せない秘密があるという事は思いの外、樹の足元をグラつかせた。

考えたくない、今日はもう……。

疲労感を抱えたままお日さま寮の屋上でムカデを降りると、思いがけない人物が立っていた。

「こんな日に出かけて、体は大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。アオさんこそ屋上で何を?」
「何となく外の空気を吸いに」
「そうですか」

「上地卓也、犯行動機が本当なら情状酌量の余地がありそうだ」

「そうなんですね」
「犯行動機、聞かないのか?」

青砥の視線が樹を捉える。こうしている間にも青砥の脳は沢山の情報を処理し、あらゆる可能性を導き出しているはずだ。

今は何も考えずにゆっくり眠りたいのに……。

そう思うと同時にこのままでは眠れないだろうということも分かっていた。それならいっそ、そう思いついた樹は青砥を見つめ返すとほんの少しだけほほ笑んだ。

「もしかして、俺が帰ってくるのを待っててくれたんですか?」

「どうかな……」

樹は青砥との距離を詰めると、耳元で「そろそろしたいんじゃないですか?」と囁いた。そして青砥が何かを言う前に素早く言葉を続けた。

「いいですよ、俺はしても」



  前回よりも寮に近い場所にあるホテル、部屋に入るなり青砥に手首をつかまれた。そのまま壁に押し付けられて唇が重なる。口内への侵入を許した舌が縦横無尽に樹を貪ると、樹は小さく声を上げた。

「ちょっと待って、準備とかあるし。まず、風呂」

青砥を押しのけるようにして浴室に入ると、熱めのシャワーを出した。シャワーの熱が冷えた樹の体を這う。あんな言い方をすれば、青砥は樹の気持ちを汲んで断らないと樹には分かっていた。分かっていて青砥の優しさを利用したのだ。

「卑怯だな、おれ……」

俯いてシャワーの熱を受ける。髪の毛の先から落ちる雫を見ていると、浴室のドアが開いた。

「ちょっ、どうしたんですか、急にっ!」
「おてつだい」

咄嗟に体を捻る様にして下半身を隠した樹に「今更」と青砥が笑う。シャワーに手を伸ばした青砥がスイッチをソープに切り替えると、流れ出た液体が体に留まって泡になった。その泡の中に手を埋めて青砥の指が樹の体を撫でる。

「じ、自分で洗えるんで」
「だーめ、俺がしたいの」

後ろから樹を抱きかかえるようにして青砥の指が樹の首元、肩、胸、お腹と場所を移動しながら這う。指が這うたびに、今までは何とも思わなかった部位から甘い痺れが生まれた。声を出すでもなく、下を向いて唇を噛む。

「入れるよ」
「えっ、何? あっ……」

樹の後ろにあてがわれて入ってきたのは女性の親指サイズくらいのカプセルだ。カプセルは細かく振動しながら自ら奥へと進んでいく。

「な、にっ、これっ……」

鼻から抜けるような息と共に言葉を吐きだすと、青砥が樹の頬に頬を寄せた。

「アナル洗浄用のおもちゃ。洗浄が終わると消滅して消える、後は流すだけ。気持ち良くて手軽、便利だろ」

青砥の声が頬から響きで伝わる。その甘くて優しい旋律に脳が溶けてしまいそうだ。樹の体を支えていた手が樹の一番敏感な部分に触れスライドする。

「ここも綺麗にしような」

あぁっ、と高くなった声を一瞬にして抑え込んだ。内部にある洗浄機がその身を一層激しく震わせ、シャワーの音の合間にバイブ音が聞こえる。青砥がふっと笑ったのが分かった。青砥の親指が先端を押しつぶすようにして刺激を咥え、尿道に爪を立てる。チクッとした痛みは尿意に近い快楽の電気を走らせ、樹は体をくの字に曲げた。

「あっ、やぁっ」
「洗浄が終わったみたいだな、あとは流すだけか」

あと少しのところで全ての刺激を取り除かれた樹は熱い呼吸を残したまま内部にお湯を受け入れた。


 体を拭くのももどかしいくらいに何度も唇を重ねながら樹は青砥をベッドに押し倒した。軋んだベッドの音が行動に艶めかしさを与える。青砥の体に跨ると表情の読めない青砥の目が樹を見ていた。

「見ないでくださいよ……」

俺はこの人を裏切っている。アオさんだけじゃない、捜査官の皆を……。

「随分積極的だなと思って」

罪悪感に駆られるたびにユーリの悲しみが思い起こされ、身動きが取れなくなる。いつになく自傷的な気分だった。樹は自分の人差し指と中指を唾液で濡らすと、自身の後ろに深く沈めた。指を左右に押し開き、拡張する。

「いつの間にそんなにいやらしくなったんだ?」

「そんなこと、は、いい、から、早くいれて」

入れて、と言っておきながら樹は自身の腰を浮かせると青砥の熱を自ら飲み込んだ。くっ、と小さく息を吐きながら根元まで全部飲み込んだ樹は、間髪を入れずに腰を揺らし始めた。

「一人で気持ち良くなるつもり?」
「俺が動いたら、どうせ気持ちいいでしょ」
「言うなぁ、じゃあ俺が動いたら?」

ぐんと下から突き上げられて樹のお尻が浮いた。そして浮いた分だけ青砥の熱が強く前立腺を打ち、逸れる。あっと甲高い声を上げた樹が体を前に倒して青砥の顔の横に手をついた。

「もっと気持ち良く、して」

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