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第1章 民間伝承研究部編
転生少女と卒業試験7
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卒業試験から1週間後、私たちは卒業式を迎えました。卒業生代表の挨拶はカール君が完遂し、形式じみた諸々は特にハプニングも無く終わりました。
あ、ちなみに私たちのクラスは全員合格したらしいですよ。
母さんと父さんが私たち3人を指導した後、今度は私たち(特にカール君)が中心となってクラスメイトを指導したため全体の力が底上げされた模様です。
で、ここからが問題です。
私は以前こう言いました。学園の卒業生となると冒険者としてステータスになると。
つまり今この大講堂では……
「君、うちのパーティーに来ないかい!」
「卒業試験見てたわ。Aランク相手にすごいじゃない!」
「リリィちゃん、ぜひうちの新人たちの指導役に!」
ルーキー狩りが始まってるんどぅえええす!
「リリィーー!息をしてくれぇぇぇ!!!」
「リリィちゃあああああああん!!!!!」
「アウウウウウウウウウウウ!!!!!!」
特に私なんかもみくちゃですよ!しかも何で新人の私が指導役にならなきゃいけないんですか!
く、苦しい……息が…………
「あらー、リリィちゃん!」
その時、救世主が現れました。
「ぷはぁ!り、リムノさん!」
史上最年少Aランク冒険者の登場に場が静まりかえります。
「リリィちゃん、それにみんなも卒業おめでとう!」
「はい!ありがとうございます!」
「試験ではお世話になりました」
「コヨ、挨拶」
「ワン!」
「リムノだと……⁉︎」
「あの魔弓士リムノか」
「ずっとソロでやってるって有名な?」
静まりかえりましたけどざわついてますね。有名人は辛そうです。
「リムノさんもスカウトですか?ずっとソロで活動してらっしゃったのに」
「ええ、今まではね。でも、パーティーを組みたい子が現れたから」
ああもう、会場うるさいです。リムノさんが話しかけてきた時点でこうなるとは思ってましたけど。
「その……パーティーを組みたい人というのは……まさか……」
「その通り。リリィちゃん、私と組まない?」
周りで様子を見ていた人たちは大騒ぎです。あのソロプレイで有名なリムノさんが今年卒業の新人をスカウトしに来たんですから。いきなりAランクの方と組めるなんて、こんな幸運は無いのでしょう。
「でも、お断りします」
「へぇ」
これまたすごいざわつき様ですね。
「それはどうして?」
「先約があるので」
この6年間で最も忘れがたい、そんな彼らの方を向きました。
「おいおいリリィ、目立ちすぎだぜ」
「でも、嬉しいちや」
「アウ!」
私には、彼らがいます。
「私は、この人たちとパーティーを組みます!だから、どなたのお誘いもお受けできません!」
講堂にいる全員に宣言するように私は叫びましたら。
きっとこれを私たちはずっと決めていたんでしょう。
「リムノさん、折角誘っていただいたのにごめんなさい。でもやっぱり私は、彼らと一緒にいたいんです」
迷いは無い。悔いなんて無い。私がぶつけた言葉は全て真実だ。
一方リムノさんですが、意外と平然としてますね。もっと驚くと思ってたんですけど。
「……ふふ、ふふふ、あははははは!」
わ、笑った⁉︎
「私だってあなたたちのことはよく見てるわ。そうくると思ったわよ!」
読まれてた⁉︎
「じゃあ何で……」
「あれくらい堂々と宣言したら流石にみんな手を引くでしょう?」
「あ……」
リムノさんなりの心遣いだったんですか。振り返るとカール君たちもびっくりしているようでした。
「そこで何だけどもう1つお願いがあるの。今度は本心よ」
「もう1つ……何ですか」
まあ多分全員まとめてスカウトとか……
「私をあなたたちのパーティーに入れてちょうだい」
「…………」
うん、きっと聞き間違いです!
「ごめんなさいリムノさん、ちゃんと聞き取れなかったみたいです。
なんかリムノさんが私たちのパーティーに入りたいって」
「それで合ってるわ。あなたたちのパーティーに入りたいの」
カール君とイデシメさんとも顔を見合わせます。よし、同じ気持ちですね。こんなときは息を大きく吸って、すぅ……
「「「ええええええええ!!!???」」」
「え、そんなにびっくりした?」
「当たり前です!」
「リムノさんAランクでしょ!何で俺たちのパーティーに入りたがるんですか⁉︎」
「楽しそうだから」
オーノー。
「これは本心よ。あなたたちのそのみんながいれば何も怖くないって感じ、羨ましくて」
「本当にそれだけですか?他に理由は……」
「うーん……無いことは無いんだけど、それはヒ・ミ・ツ」
小悪魔みたいなウィンク。ダメだ、あざといのにむかつかない。
「でもどうしても気になるなら……」
そう言いながらリムノさんは私に顔を近づけました。吐息が触れるほどに私の耳と彼女の顔が近づきます。
「リリィちゃんにだけ、後でこっそり教えてあげる」
「ヒィッ!」
「どうしたリリィ?」
「大丈夫かえ?」
「だ、大丈夫でしゅ!」
うおおおお煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散……
「それで、お返事は?」
私たちはまた互いに顔を見合わせました。やっぱり同じ気持ちですね。
ちょっと、いや、だいぶびっくりしましたけど、リムノさんがいてくれるならこんなに心強いことはありません。
「「「よろしくお願いします!!!」」」
この日、Aランク冒険者のリムノさんがパーティーに加入したことは王都中で話題になりました。
そしてそのパーティーはやがて王国中に名を轟かせていくことになるのでした。
あ、ちなみに私たちのクラスは全員合格したらしいですよ。
母さんと父さんが私たち3人を指導した後、今度は私たち(特にカール君)が中心となってクラスメイトを指導したため全体の力が底上げされた模様です。
で、ここからが問題です。
私は以前こう言いました。学園の卒業生となると冒険者としてステータスになると。
つまり今この大講堂では……
「君、うちのパーティーに来ないかい!」
「卒業試験見てたわ。Aランク相手にすごいじゃない!」
「リリィちゃん、ぜひうちの新人たちの指導役に!」
ルーキー狩りが始まってるんどぅえええす!
「リリィーー!息をしてくれぇぇぇ!!!」
「リリィちゃあああああああん!!!!!」
「アウウウウウウウウウウウ!!!!!!」
特に私なんかもみくちゃですよ!しかも何で新人の私が指導役にならなきゃいけないんですか!
く、苦しい……息が…………
「あらー、リリィちゃん!」
その時、救世主が現れました。
「ぷはぁ!り、リムノさん!」
史上最年少Aランク冒険者の登場に場が静まりかえります。
「リリィちゃん、それにみんなも卒業おめでとう!」
「はい!ありがとうございます!」
「試験ではお世話になりました」
「コヨ、挨拶」
「ワン!」
「リムノだと……⁉︎」
「あの魔弓士リムノか」
「ずっとソロでやってるって有名な?」
静まりかえりましたけどざわついてますね。有名人は辛そうです。
「リムノさんもスカウトですか?ずっとソロで活動してらっしゃったのに」
「ええ、今まではね。でも、パーティーを組みたい子が現れたから」
ああもう、会場うるさいです。リムノさんが話しかけてきた時点でこうなるとは思ってましたけど。
「その……パーティーを組みたい人というのは……まさか……」
「その通り。リリィちゃん、私と組まない?」
周りで様子を見ていた人たちは大騒ぎです。あのソロプレイで有名なリムノさんが今年卒業の新人をスカウトしに来たんですから。いきなりAランクの方と組めるなんて、こんな幸運は無いのでしょう。
「でも、お断りします」
「へぇ」
これまたすごいざわつき様ですね。
「それはどうして?」
「先約があるので」
この6年間で最も忘れがたい、そんな彼らの方を向きました。
「おいおいリリィ、目立ちすぎだぜ」
「でも、嬉しいちや」
「アウ!」
私には、彼らがいます。
「私は、この人たちとパーティーを組みます!だから、どなたのお誘いもお受けできません!」
講堂にいる全員に宣言するように私は叫びましたら。
きっとこれを私たちはずっと決めていたんでしょう。
「リムノさん、折角誘っていただいたのにごめんなさい。でもやっぱり私は、彼らと一緒にいたいんです」
迷いは無い。悔いなんて無い。私がぶつけた言葉は全て真実だ。
一方リムノさんですが、意外と平然としてますね。もっと驚くと思ってたんですけど。
「……ふふ、ふふふ、あははははは!」
わ、笑った⁉︎
「私だってあなたたちのことはよく見てるわ。そうくると思ったわよ!」
読まれてた⁉︎
「じゃあ何で……」
「あれくらい堂々と宣言したら流石にみんな手を引くでしょう?」
「あ……」
リムノさんなりの心遣いだったんですか。振り返るとカール君たちもびっくりしているようでした。
「そこで何だけどもう1つお願いがあるの。今度は本心よ」
「もう1つ……何ですか」
まあ多分全員まとめてスカウトとか……
「私をあなたたちのパーティーに入れてちょうだい」
「…………」
うん、きっと聞き間違いです!
「ごめんなさいリムノさん、ちゃんと聞き取れなかったみたいです。
なんかリムノさんが私たちのパーティーに入りたいって」
「それで合ってるわ。あなたたちのパーティーに入りたいの」
カール君とイデシメさんとも顔を見合わせます。よし、同じ気持ちですね。こんなときは息を大きく吸って、すぅ……
「「「ええええええええ!!!???」」」
「え、そんなにびっくりした?」
「当たり前です!」
「リムノさんAランクでしょ!何で俺たちのパーティーに入りたがるんですか⁉︎」
「楽しそうだから」
オーノー。
「これは本心よ。あなたたちのそのみんながいれば何も怖くないって感じ、羨ましくて」
「本当にそれだけですか?他に理由は……」
「うーん……無いことは無いんだけど、それはヒ・ミ・ツ」
小悪魔みたいなウィンク。ダメだ、あざといのにむかつかない。
「でもどうしても気になるなら……」
そう言いながらリムノさんは私に顔を近づけました。吐息が触れるほどに私の耳と彼女の顔が近づきます。
「リリィちゃんにだけ、後でこっそり教えてあげる」
「ヒィッ!」
「どうしたリリィ?」
「大丈夫かえ?」
「だ、大丈夫でしゅ!」
うおおおお煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散……
「それで、お返事は?」
私たちはまた互いに顔を見合わせました。やっぱり同じ気持ちですね。
ちょっと、いや、だいぶびっくりしましたけど、リムノさんがいてくれるならこんなに心強いことはありません。
「「「よろしくお願いします!!!」」」
この日、Aランク冒険者のリムノさんがパーティーに加入したことは王都中で話題になりました。
そしてそのパーティーはやがて王国中に名を轟かせていくことになるのでした。
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