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第1章 民間伝承研究部編
転生遺族と自称ライバル6
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「「「微、縦軸、お誕生日おめでとー!」」」
「「…………あれ?」」
縦軸と微は互いに困惑した。
「な、何で私まで⁉︎今日は縦軸君のためのサプライズでしょ?」
「え、僕のための?先輩のためではなくて?」
「わ、私のため⁉︎」
顔を見合わせて戸惑いあう縦軸と微。
「おやおや、その様子だとまだよくわかってないようねえ」
ドヤ顔の作子が話しかけてくる。そして縦軸と微が訊く前にそのまま話し始めた。
「あんたたちが誕生日一緒って聞いて、『じゃあ2人まとめてサプライズしてやろう』ってことになったんだよ。あんたたちにはお互いのための誕生日パーティーだって伝えてね」
ここまで来て2人はやっと理解した。つまり生徒会の面々が縦軸に「微のためのサプライズだ」と言っていたところから既に罠。ターゲットには縦軸本人も含まれており、縦軸は自分もびっくりさせる側だと思い込まされていた。そして微にも同じ方法を使ったのだろう。
「縦軸、びっくりした?」
珍しくにこやかな表情のていりがそう訊いてくる。予想はしていたが、ここでも恋人設定は貫くようだ。
「うん、びっくりしたし嬉しいよ」
素子が調子に乗ったのか、ケーキはもちろんその他の食事もやけに豪華だった。普段の人数ならば確実に食べ切れなかっただろう。
その後は音が知り合いに勧められたという哲学者を美少女化した謎のMMORPGが予想以上に盛り上がったりととにかく騒がしかった(ちなみにプラトンが強かった)。
「ふにゃ~」
1人だけビールを楽しんでいた作子が寝てしまった。本日の主役である縦軸と微よりもはしゃいでいたせいで途中で生徒会の3人は呆れてしまった。
「原前先生、普段はこんななんだね。」
「授業の時はそれなりにしっかりしてるってのに。これあれか、ギャップ萌えってやつか?」
「対、それは萌えるときに使いましょう」
そんな生徒会を他所目に縦軸は作子を肩で担いでせっせと介抱を始めた。
「母さん、もうこのまま泊めた方がいいんじゃないかな?」
「そうね。私の部屋に運んでくれる?」
「わかった」
「虚、なんか落ち着いてるな」
「まあ、作子は酒弱いし、姉の誕生日のときもこうやってはしゃいだ挙句に寝ちゃったことがあったんで」
「なるほど、そういえば君たちは幼馴染なんだっけ」
「はい、彼女が姉の友人なので」
そこで現在形を使う縦軸、しかしその顔は何故か闇を感じられなかった。無理のない自然な明るさの笑顔。
「虚、あんたなんかあったわけ?」
一緒に暮らしている所為か、音が縦軸の変化を真っ先に感じ取った。
「何でも。強いて言うなら……積元先輩のおかげ、かな」
優しい笑顔。楽しい思い出でも話しているかのような縦軸をみてある人物が少し機嫌を斜めにした。
「縦軸」
「ん?どうしたのていり?」
「縦軸は私のものなんだからね。」
「え、ええっと……ごめん。僕もていりのことが大好き……あ」
瞬間、素子を筆頭に事情を知らない者約1名が硬直した。音は「やってしまったな」と言わんばかりに頭を抱え、微は状況が分からずボケーっとしている。
「たぁーとぅぇーずぃーくぅー」
その声は確かに母素子のそれだ。だが今目に映っているのは素子ではない。年頃の息子からあれやこれやと話を聞きたいだけの魔物だ。
「か、母さん、ええと、その」
肩を掴まれた。逃げられない。
「ねえねえねえ、ていりちゃんと付き合ってたの⁉︎いったいいつから。普段どんなかんじなの?学校行くときに手をつないだりしちゃってるの?きゃあー青春ね。私も若い頃お父さんとああこの話は今はどうでもいいわ。それでそれで、ていりちゃんのどんなところが好きなの?全部ってのは無しよ。気持ちはわかるけど私はそんなんじゃ満足しないんだから。そうだていりちゃん、後で2人っきりで話さない?縦軸のこと色々聞きたいわ」
「素子さん落ち着いて!う、虚のやつ意識がない!三角、呆然としてないであんたもどうにかしなさいよ!こら生徒会、帰ろうとすんなーーーー!」
「……わあ、にぎやかだなあ」
「空気読めせんぱぁーーーーーーーい!」
音曰く、「疲れた」とのことであった。
ちなみにその後ていりも素子から質問攻めに遭ったが全て余裕の笑顔で躱したという。
「「…………あれ?」」
縦軸と微は互いに困惑した。
「な、何で私まで⁉︎今日は縦軸君のためのサプライズでしょ?」
「え、僕のための?先輩のためではなくて?」
「わ、私のため⁉︎」
顔を見合わせて戸惑いあう縦軸と微。
「おやおや、その様子だとまだよくわかってないようねえ」
ドヤ顔の作子が話しかけてくる。そして縦軸と微が訊く前にそのまま話し始めた。
「あんたたちが誕生日一緒って聞いて、『じゃあ2人まとめてサプライズしてやろう』ってことになったんだよ。あんたたちにはお互いのための誕生日パーティーだって伝えてね」
ここまで来て2人はやっと理解した。つまり生徒会の面々が縦軸に「微のためのサプライズだ」と言っていたところから既に罠。ターゲットには縦軸本人も含まれており、縦軸は自分もびっくりさせる側だと思い込まされていた。そして微にも同じ方法を使ったのだろう。
「縦軸、びっくりした?」
珍しくにこやかな表情のていりがそう訊いてくる。予想はしていたが、ここでも恋人設定は貫くようだ。
「うん、びっくりしたし嬉しいよ」
素子が調子に乗ったのか、ケーキはもちろんその他の食事もやけに豪華だった。普段の人数ならば確実に食べ切れなかっただろう。
その後は音が知り合いに勧められたという哲学者を美少女化した謎のMMORPGが予想以上に盛り上がったりととにかく騒がしかった(ちなみにプラトンが強かった)。
「ふにゃ~」
1人だけビールを楽しんでいた作子が寝てしまった。本日の主役である縦軸と微よりもはしゃいでいたせいで途中で生徒会の3人は呆れてしまった。
「原前先生、普段はこんななんだね。」
「授業の時はそれなりにしっかりしてるってのに。これあれか、ギャップ萌えってやつか?」
「対、それは萌えるときに使いましょう」
そんな生徒会を他所目に縦軸は作子を肩で担いでせっせと介抱を始めた。
「母さん、もうこのまま泊めた方がいいんじゃないかな?」
「そうね。私の部屋に運んでくれる?」
「わかった」
「虚、なんか落ち着いてるな」
「まあ、作子は酒弱いし、姉の誕生日のときもこうやってはしゃいだ挙句に寝ちゃったことがあったんで」
「なるほど、そういえば君たちは幼馴染なんだっけ」
「はい、彼女が姉の友人なので」
そこで現在形を使う縦軸、しかしその顔は何故か闇を感じられなかった。無理のない自然な明るさの笑顔。
「虚、あんたなんかあったわけ?」
一緒に暮らしている所為か、音が縦軸の変化を真っ先に感じ取った。
「何でも。強いて言うなら……積元先輩のおかげ、かな」
優しい笑顔。楽しい思い出でも話しているかのような縦軸をみてある人物が少し機嫌を斜めにした。
「縦軸」
「ん?どうしたのていり?」
「縦軸は私のものなんだからね。」
「え、ええっと……ごめん。僕もていりのことが大好き……あ」
瞬間、素子を筆頭に事情を知らない者約1名が硬直した。音は「やってしまったな」と言わんばかりに頭を抱え、微は状況が分からずボケーっとしている。
「たぁーとぅぇーずぃーくぅー」
その声は確かに母素子のそれだ。だが今目に映っているのは素子ではない。年頃の息子からあれやこれやと話を聞きたいだけの魔物だ。
「か、母さん、ええと、その」
肩を掴まれた。逃げられない。
「ねえねえねえ、ていりちゃんと付き合ってたの⁉︎いったいいつから。普段どんなかんじなの?学校行くときに手をつないだりしちゃってるの?きゃあー青春ね。私も若い頃お父さんとああこの話は今はどうでもいいわ。それでそれで、ていりちゃんのどんなところが好きなの?全部ってのは無しよ。気持ちはわかるけど私はそんなんじゃ満足しないんだから。そうだていりちゃん、後で2人っきりで話さない?縦軸のこと色々聞きたいわ」
「素子さん落ち着いて!う、虚のやつ意識がない!三角、呆然としてないであんたもどうにかしなさいよ!こら生徒会、帰ろうとすんなーーーー!」
「……わあ、にぎやかだなあ」
「空気読めせんぱぁーーーーーーーい!」
音曰く、「疲れた」とのことであった。
ちなみにその後ていりも素子から質問攻めに遭ったが全て余裕の笑顔で躱したという。
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