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第1章 傭兵と軍人
第5話 兵隊崩れの最終兵器
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エーリッヒは最上階の部屋に身柄を拘束され監禁されていた。
「この子、なかなか可愛い顔してるなぁ~」
「カシラ、念のため言っておくけどその子は男ですぜ」
兵隊崩れのボスと部下達がエーリッヒを物色していた。女の子のように可愛らしいエーリッヒの虜になっているようだ。
その時、マティアスとハンニバルが階段を上り、長い通路を抜けて駆けつけてきた。
「エーリッヒ、大丈夫か!? 助けに来たぞ」
「俺達が来たからにはもう大丈夫だぜ!」
「お兄さん達、来てくれたんだ!」
エーリッヒは嬉しそうに立ち上がった。兵隊崩れのボスは悔しそうな表情で部下達に命令する。
「ぐぬぬ……野郎ども! やっちまえ!」
「ひっ! ひいぃぃぃぃ!!」
部下の2人はその場から逃げ出すが、ハンニバルは逃げようとする部下2人をすれ違いざまに捕らえ、2人まとめてひねり殺した。
「エーリッヒに手を出した奴は一匹たりとも生かして返さねぇぜ」
「残るは貴様1人だけだ。覚悟は出来ているんだろうな?」
マティアスとハンニバルは戦闘体勢に入る。兵隊崩れのボスは他の部下達とさほど変わらない外見だ。
しかもこちらを見て怯えている。こんな男が本当に強敵なのだろうか?
「なめんなよ! こっちには切り札があるってんだ!」
兵隊崩れのボスが壁のスイッチを押すと、奥の機械式の扉が開いた。
扉の奥からは巨大な武装ロボットが現れた。白い戦車のような外見で、中心部には砲台、右腕には機関砲、左腕にはブレードが装着されている。
「いくらお前らが強くても、この最終兵器には勝てまい! 死ね!」
兵隊崩れのボスは武装ロボに飛び乗り、中の操縦席に入った。
マティアスは機関銃による銃撃、ハンニバルはバズーカによる砲撃を放つが、武装ロボには傷一つ付いていない。
「銃撃は効かないってことか。厄介な敵が現れたな」
「なら殴ってぶち壊してやろうぜ」
ハンニバルはバズーカを武装ロボ目掛けて振り落とした。
だが武装ロボの強靭な装甲の前ではバズーカも弾き返され、傷一つ負わせることも叶わない。
「ちぃっ! なんて硬さだ!」
一瞬怯んだハンニバルに向かって、武装ロボは左腕のブレードで斬りかかってきた。
ハンニバルが間一髪のところで攻撃を避けると、ブレードはハンニバルの背後にあったオブジェを両断した。
「ふぅ、危ねぇ……。あんなもんまともに食らっちまったら、いくら俺でも無傷じゃ済まねぇぜ」
ハンニバルは生まれて初めて自分が劣勢に陥ったことを悟り、その表情からはいつもの余裕が感じられない。
武装ロボはすぐさま砲撃で追撃する。2人とも直撃は逃れたが、砲撃が壁に命中した衝撃で吹き飛ばされ、壁は大きく凹んだ。
「くそっ! これじゃ手も足も出ねぇじゃねーか! どうすりゃ勝てるんだ!?」
「どこかに弱点が隠されているかもしれない。今は回避に専念して敵の様子を窺うんだ」
ハンニバルが形勢不利の状況で苛立っている一方、マティアスは冷静に敵の動きを観察していた。
武装ロボは今度は右腕の機関砲で弾丸を乱射してきた。
今までの敵が使っていた機関銃の弾丸よりも威力が高く、機関銃に撃たれても無傷だったハンニバルでさえダメージを受けていた。
機関砲から放たれる無数の弾丸は回避することも出来ず、2人の体力を削っていく。
「おい、マティアス! このままじゃやられっぱなしじゃねーか! どうするんだよ!?」
「ハンニバル、今だ! 右腕のコアが現れたから攻撃するぞ!」
武装ロボの装甲は2人の攻撃をも寄せ付けないほど頑丈だ。
しかし、攻撃している間だけは攻撃部位の機械の内部が露出しているのをマティアスは見逃さなかった。
マティアスは銃撃、ハンニバルは砲撃を武装ロボの右腕のコア目掛けて放つ。すると、武装ロボの右腕がショートを起こして機関砲ごと爆発した。
武装ロボは右腕を失うと、次は左腕のブレードで攻撃を仕掛けてきた。
「ハンニバル、あのブレードを受け止められるか?」
「あぁ、やってみるぜ!」
武装ロボがハンニバル目掛けてブレードを振り落とすと、ハンニバルは両手でそれを受け止め、動かないように強く掴んだ。
右腕と同じく、左腕も弱点となるコアが露出していた。その隙にマティアスが左腕のコアに向けて銃を連射した。左腕も爆発し、ブレードの破片が床に飛び散る。
残るは中心部のコアを破壊するだけだ。2人は敵の攻撃が来るのを待っていると、武装ロボは2人に向かって勢いよく突進してきた。
2人が左右に分かれて突進を避けると、武装ロボが壁にぶつかった衝撃で建物全体が大きく揺れる。
2人は武装ロボの背後に回ると、背中に3つめのコアがあるのが見えた。
「よし、とどめは俺が決めてやるぜ!」
ハンニバルは武装ロボの背中に飛び乗り、コアに向かって渾身のパンチを繰り出す。
コアをぶち抜くと、武装ロボの内部から電流が流れた。そして内部が爆発し、武装ロボを操作していた兵隊崩れのボスが機体の外へ放り出された。
「ひぃぃぃぃぃ! 助けてくれぇぇぇ!!」
「これだけやったからには、当然やられる覚悟は出来ているんだろうなぁ?」
ハンニバルは怯える兵隊崩れのボスの頭部を掴んで壁に叩きつけ、頭を原形を止めないほどに磨り潰して殺害した。
「終わったな。エーリッヒ、もう大丈夫だぞ」
マティアスが声をかけると、安全な場所に隠れていたエーリッヒは姿を現した。
マティアスとハンニバルはエーリッヒの元へ向かい、エーリッヒの身体を拘束していたロープをナイフで切る。
「お兄さん達、ありがとう!」
エーリッヒが2人に飛びつくと、マティアスとハンニバルもエーリッヒに身を寄せて頭を撫でる。
エーリッヒは安心したが、今までの恐怖からか体が震えていた。
「怖かったか? もう大丈夫だから、お父さんとお母さんの元へ帰ろう」
「こんな小せぇガキが拉致なんてされたら怖いよなぁ」
「うん。さらわれたのも怖かったけど、もっと怖かったのはお兄さん達が危ない目に合うことだよ。お兄さん達、凄い怪我してるから……」
「なぁに、俺はこの程度で倒れるほどヤワじゃねぇから安心しな! ……だが、マティアスがちょっとヤベェみてぇだな。おい、大丈夫か?」
ハンニバルもマティアスの身を心配していた。マティアスはかなりダメージを受けていて今にも倒れそうな状態だ。
「エーリッヒ、お前は優しいんだな。私はそんなことは考えすらしないことだ」
「マティアスさんだって優しい人だよ。だって命を懸けて僕を助けてくれたのだから」
エーリッヒが優しい言葉をかけると、マティアスは一瞬戸惑いながらも照れた顔を見せた。
「なんだ、お前も意外と可愛いところあるじゃねーか。ずっと硬い表情でいるよりも、そっちの方が愛嬌あるぜ?」
「フン、茶化すな! 目的は果たしたからさっさと帰るぞ!」
マティアスはすぐさま元の表情に戻るが、その直後マティアスは地面に倒れてしまった。
全身は無数の弾丸を浴びて血だらけだ。相当なダメージを負っているのは明らかだった。
「おい、マティアス! しっかりしろ! こんなところで死ぬんじゃねーぞ!」
「ハンニバル、お前と出会えて本当に良かった。エーリッヒのことを頼んだ……ぞ……」
(――これでまた家族と一緒に幸せに暮らせるかな……)
マティアスは死んでいった家族のことを思い出しながら、徐々に意識を失っていく。その表情は、まるで楽しい夢を見ている子供のような顔だった。
「マティアスさん、しっかりして! また僕の家に帰ってきてくれるよね!?」
「馬鹿野郎! 死ぬみたいなこと言ってんじゃねーよ! お前は俺の軍に入って一緒に働くって約束しただろうが! 軍事基地に行く前にくたばってどうする!」
ハンニバルはマティアスの傷の手当てをした後、彼の体を抱きかかえながらエーリッヒと共に敵のアジトを後にした。
「この子、なかなか可愛い顔してるなぁ~」
「カシラ、念のため言っておくけどその子は男ですぜ」
兵隊崩れのボスと部下達がエーリッヒを物色していた。女の子のように可愛らしいエーリッヒの虜になっているようだ。
その時、マティアスとハンニバルが階段を上り、長い通路を抜けて駆けつけてきた。
「エーリッヒ、大丈夫か!? 助けに来たぞ」
「俺達が来たからにはもう大丈夫だぜ!」
「お兄さん達、来てくれたんだ!」
エーリッヒは嬉しそうに立ち上がった。兵隊崩れのボスは悔しそうな表情で部下達に命令する。
「ぐぬぬ……野郎ども! やっちまえ!」
「ひっ! ひいぃぃぃぃ!!」
部下の2人はその場から逃げ出すが、ハンニバルは逃げようとする部下2人をすれ違いざまに捕らえ、2人まとめてひねり殺した。
「エーリッヒに手を出した奴は一匹たりとも生かして返さねぇぜ」
「残るは貴様1人だけだ。覚悟は出来ているんだろうな?」
マティアスとハンニバルは戦闘体勢に入る。兵隊崩れのボスは他の部下達とさほど変わらない外見だ。
しかもこちらを見て怯えている。こんな男が本当に強敵なのだろうか?
「なめんなよ! こっちには切り札があるってんだ!」
兵隊崩れのボスが壁のスイッチを押すと、奥の機械式の扉が開いた。
扉の奥からは巨大な武装ロボットが現れた。白い戦車のような外見で、中心部には砲台、右腕には機関砲、左腕にはブレードが装着されている。
「いくらお前らが強くても、この最終兵器には勝てまい! 死ね!」
兵隊崩れのボスは武装ロボに飛び乗り、中の操縦席に入った。
マティアスは機関銃による銃撃、ハンニバルはバズーカによる砲撃を放つが、武装ロボには傷一つ付いていない。
「銃撃は効かないってことか。厄介な敵が現れたな」
「なら殴ってぶち壊してやろうぜ」
ハンニバルはバズーカを武装ロボ目掛けて振り落とした。
だが武装ロボの強靭な装甲の前ではバズーカも弾き返され、傷一つ負わせることも叶わない。
「ちぃっ! なんて硬さだ!」
一瞬怯んだハンニバルに向かって、武装ロボは左腕のブレードで斬りかかってきた。
ハンニバルが間一髪のところで攻撃を避けると、ブレードはハンニバルの背後にあったオブジェを両断した。
「ふぅ、危ねぇ……。あんなもんまともに食らっちまったら、いくら俺でも無傷じゃ済まねぇぜ」
ハンニバルは生まれて初めて自分が劣勢に陥ったことを悟り、その表情からはいつもの余裕が感じられない。
武装ロボはすぐさま砲撃で追撃する。2人とも直撃は逃れたが、砲撃が壁に命中した衝撃で吹き飛ばされ、壁は大きく凹んだ。
「くそっ! これじゃ手も足も出ねぇじゃねーか! どうすりゃ勝てるんだ!?」
「どこかに弱点が隠されているかもしれない。今は回避に専念して敵の様子を窺うんだ」
ハンニバルが形勢不利の状況で苛立っている一方、マティアスは冷静に敵の動きを観察していた。
武装ロボは今度は右腕の機関砲で弾丸を乱射してきた。
今までの敵が使っていた機関銃の弾丸よりも威力が高く、機関銃に撃たれても無傷だったハンニバルでさえダメージを受けていた。
機関砲から放たれる無数の弾丸は回避することも出来ず、2人の体力を削っていく。
「おい、マティアス! このままじゃやられっぱなしじゃねーか! どうするんだよ!?」
「ハンニバル、今だ! 右腕のコアが現れたから攻撃するぞ!」
武装ロボの装甲は2人の攻撃をも寄せ付けないほど頑丈だ。
しかし、攻撃している間だけは攻撃部位の機械の内部が露出しているのをマティアスは見逃さなかった。
マティアスは銃撃、ハンニバルは砲撃を武装ロボの右腕のコア目掛けて放つ。すると、武装ロボの右腕がショートを起こして機関砲ごと爆発した。
武装ロボは右腕を失うと、次は左腕のブレードで攻撃を仕掛けてきた。
「ハンニバル、あのブレードを受け止められるか?」
「あぁ、やってみるぜ!」
武装ロボがハンニバル目掛けてブレードを振り落とすと、ハンニバルは両手でそれを受け止め、動かないように強く掴んだ。
右腕と同じく、左腕も弱点となるコアが露出していた。その隙にマティアスが左腕のコアに向けて銃を連射した。左腕も爆発し、ブレードの破片が床に飛び散る。
残るは中心部のコアを破壊するだけだ。2人は敵の攻撃が来るのを待っていると、武装ロボは2人に向かって勢いよく突進してきた。
2人が左右に分かれて突進を避けると、武装ロボが壁にぶつかった衝撃で建物全体が大きく揺れる。
2人は武装ロボの背後に回ると、背中に3つめのコアがあるのが見えた。
「よし、とどめは俺が決めてやるぜ!」
ハンニバルは武装ロボの背中に飛び乗り、コアに向かって渾身のパンチを繰り出す。
コアをぶち抜くと、武装ロボの内部から電流が流れた。そして内部が爆発し、武装ロボを操作していた兵隊崩れのボスが機体の外へ放り出された。
「ひぃぃぃぃぃ! 助けてくれぇぇぇ!!」
「これだけやったからには、当然やられる覚悟は出来ているんだろうなぁ?」
ハンニバルは怯える兵隊崩れのボスの頭部を掴んで壁に叩きつけ、頭を原形を止めないほどに磨り潰して殺害した。
「終わったな。エーリッヒ、もう大丈夫だぞ」
マティアスが声をかけると、安全な場所に隠れていたエーリッヒは姿を現した。
マティアスとハンニバルはエーリッヒの元へ向かい、エーリッヒの身体を拘束していたロープをナイフで切る。
「お兄さん達、ありがとう!」
エーリッヒが2人に飛びつくと、マティアスとハンニバルもエーリッヒに身を寄せて頭を撫でる。
エーリッヒは安心したが、今までの恐怖からか体が震えていた。
「怖かったか? もう大丈夫だから、お父さんとお母さんの元へ帰ろう」
「こんな小せぇガキが拉致なんてされたら怖いよなぁ」
「うん。さらわれたのも怖かったけど、もっと怖かったのはお兄さん達が危ない目に合うことだよ。お兄さん達、凄い怪我してるから……」
「なぁに、俺はこの程度で倒れるほどヤワじゃねぇから安心しな! ……だが、マティアスがちょっとヤベェみてぇだな。おい、大丈夫か?」
ハンニバルもマティアスの身を心配していた。マティアスはかなりダメージを受けていて今にも倒れそうな状態だ。
「エーリッヒ、お前は優しいんだな。私はそんなことは考えすらしないことだ」
「マティアスさんだって優しい人だよ。だって命を懸けて僕を助けてくれたのだから」
エーリッヒが優しい言葉をかけると、マティアスは一瞬戸惑いながらも照れた顔を見せた。
「なんだ、お前も意外と可愛いところあるじゃねーか。ずっと硬い表情でいるよりも、そっちの方が愛嬌あるぜ?」
「フン、茶化すな! 目的は果たしたからさっさと帰るぞ!」
マティアスはすぐさま元の表情に戻るが、その直後マティアスは地面に倒れてしまった。
全身は無数の弾丸を浴びて血だらけだ。相当なダメージを負っているのは明らかだった。
「おい、マティアス! しっかりしろ! こんなところで死ぬんじゃねーぞ!」
「ハンニバル、お前と出会えて本当に良かった。エーリッヒのことを頼んだ……ぞ……」
(――これでまた家族と一緒に幸せに暮らせるかな……)
マティアスは死んでいった家族のことを思い出しながら、徐々に意識を失っていく。その表情は、まるで楽しい夢を見ている子供のような顔だった。
「マティアスさん、しっかりして! また僕の家に帰ってきてくれるよね!?」
「馬鹿野郎! 死ぬみたいなこと言ってんじゃねーよ! お前は俺の軍に入って一緒に働くって約束しただろうが! 軍事基地に行く前にくたばってどうする!」
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