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コンバット侯爵家の侍医であるジギルド医師は、直ぐに駆け付けて来てくれた。
「おや、これは…。モルク伯爵令嬢、最近口にした物で違和感を覚えた事は御座いませんでしたか?例えば、パンやナッツ類それと果物など。口にした後に今までとは違う違和感を感じた食べ物です。御座いませんでしたか?」
「そう言えば、昨日一口クッキーを食べると口の中に違和感を感じました。直ぐにお茶を飲んでだのですが、気が付いたら蕁麻疹が出ていたので驚いたのです。まさかクッキーに何か問題が?」
前の時は明日の夜のクッキーだったのに、今回は昨日のクッキーに毒が入っていたの?
今回は一口だけだったから致死量に至らなかったのかしら?
「小麦か?いや。パンを食べても違和感はないのですね?では、クッキーの中には何か入っていましたか?」
すると私に付き添って来ていたリナが答えた。
「お嬢様が昨日食べられたクッキーの中にはピーナッツが入っておりました。」
「成る程。モルク伯爵令嬢はピーナッツアレルギーで間違いないかと。ピーナッツアレルギーは重症になると死に至る時も有ります。これからは摂取しない様に気を付けて下さい。」
ピーナッツアレルギー?
「先生、お嬢様は、今までピーナッツを食べてもアレルギー反応など在りませんでした。」
「突然アレルギーが発症する人も居れば、突然治る人も居ます。ご令嬢もいつかは治るかも知れない。けれど今のご令嬢は間違いなくアレルギー反応が出ています。ピーナッツアレルギーだと分からずに口にし続ければアナフィラキシーショックをおこし死ぬ可能性だってあるのです。」
アナフィラキシーショックで死ぬ!?
じゃあ私が死んだのは、毒殺されたのではなくピーナッツクッキーを食べたから?
誰かに恨みを買って殺された訳では無いのね。
「はぁー、良かった。」
「何も良くない!ソフィアが死んでしまうかも知れなかったんだぞ。ジギルド医師、ピーナッツを食べなければ問題ないんだな?サム、我が家にあるピーナッツが入っている物は全て捨てさせろ。間違ってソフィアの口に入らぬ様に全てだ。分かったなっ!!」
「お嬢様、モルク伯爵家も旦那様にお願いして全て捨てて貰いましょう。ピーナッツ好きの旦那様もソフィアお嬢様の為ならば捨ててくれます!」
お父様は、ピーナッツが大好物なのだ。
だから我が家のクッキーには、ピーナッツが入っている事が多い。
殺されるほど人に恨まれてなくて良かったけれど、死亡原因がピーナッツとは…。
前回もリナが医者を呼ぶと言ったのを止めなければ死ななかったのかもしれない。
今回も息苦しさで蹲る私を見て焦るリナを止めてしまった。
今日、ジルフィード様に会っていなければ、また私は死んでいたかもしれない。
明日の夜にクッキーを食べなくても、これから先もピーナッツを口にしていただろうから。
「お、お嬢様、コンバット侯爵子息様。大変申し訳御座いませんでした。私がもっと気を付けていればこんな事には…お嬢様を殺してしまう所でした。本当に本当に申し訳御座いませんでした。」
「何を言っているの。リナが悪い訳ではないわ。突然アレルギーになってしまったんですもの。もし咎められるのならリナの言う事を聞かなかった私でしょう?」
「でも、でも大切なお嬢様が…お嬢様が死んでしまっていたかも知れないなんて…」
泣きながら謝るリナ。
私が巻き戻らなければ、リナは間違いなく第一発見者だ。
死んでいる私を見付けた彼女はパニックに陥ったに違いない。
死因がピーナッツだと知ったなら、リナは自分を責めただろう。
お父様は、自分がピーナッツ好きな為に娘を死なせてしまったと嘆いただろう。
なぜ神様が私を巻き戻したのか、私の死で悲しみ苦しみ、もしかしたら後を追う人が居たのかも知れない。
「リナ、私の事を大事に思ってくれて、ありがとう。これからはリナの忠告は素直に聞くから、私がジルフィード様の元に嫁いでも一緒に来てくれる?お父様には私から頼むから、お願い。」
「お嬢様が嫌と言っても、リナはお嬢様と共にコンバット侯爵家に来るつもりでおりました。宜しいでしょうか?」
「勿論、大歓迎だ。ソフィアが悲しむ事は決してしない。」
こうしてリナは私と一緒にコンバット侯爵家に付いて来る事が決まった。
「おや、これは…。モルク伯爵令嬢、最近口にした物で違和感を覚えた事は御座いませんでしたか?例えば、パンやナッツ類それと果物など。口にした後に今までとは違う違和感を感じた食べ物です。御座いませんでしたか?」
「そう言えば、昨日一口クッキーを食べると口の中に違和感を感じました。直ぐにお茶を飲んでだのですが、気が付いたら蕁麻疹が出ていたので驚いたのです。まさかクッキーに何か問題が?」
前の時は明日の夜のクッキーだったのに、今回は昨日のクッキーに毒が入っていたの?
今回は一口だけだったから致死量に至らなかったのかしら?
「小麦か?いや。パンを食べても違和感はないのですね?では、クッキーの中には何か入っていましたか?」
すると私に付き添って来ていたリナが答えた。
「お嬢様が昨日食べられたクッキーの中にはピーナッツが入っておりました。」
「成る程。モルク伯爵令嬢はピーナッツアレルギーで間違いないかと。ピーナッツアレルギーは重症になると死に至る時も有ります。これからは摂取しない様に気を付けて下さい。」
ピーナッツアレルギー?
「先生、お嬢様は、今までピーナッツを食べてもアレルギー反応など在りませんでした。」
「突然アレルギーが発症する人も居れば、突然治る人も居ます。ご令嬢もいつかは治るかも知れない。けれど今のご令嬢は間違いなくアレルギー反応が出ています。ピーナッツアレルギーだと分からずに口にし続ければアナフィラキシーショックをおこし死ぬ可能性だってあるのです。」
アナフィラキシーショックで死ぬ!?
じゃあ私が死んだのは、毒殺されたのではなくピーナッツクッキーを食べたから?
誰かに恨みを買って殺された訳では無いのね。
「はぁー、良かった。」
「何も良くない!ソフィアが死んでしまうかも知れなかったんだぞ。ジギルド医師、ピーナッツを食べなければ問題ないんだな?サム、我が家にあるピーナッツが入っている物は全て捨てさせろ。間違ってソフィアの口に入らぬ様に全てだ。分かったなっ!!」
「お嬢様、モルク伯爵家も旦那様にお願いして全て捨てて貰いましょう。ピーナッツ好きの旦那様もソフィアお嬢様の為ならば捨ててくれます!」
お父様は、ピーナッツが大好物なのだ。
だから我が家のクッキーには、ピーナッツが入っている事が多い。
殺されるほど人に恨まれてなくて良かったけれど、死亡原因がピーナッツとは…。
前回もリナが医者を呼ぶと言ったのを止めなければ死ななかったのかもしれない。
今回も息苦しさで蹲る私を見て焦るリナを止めてしまった。
今日、ジルフィード様に会っていなければ、また私は死んでいたかもしれない。
明日の夜にクッキーを食べなくても、これから先もピーナッツを口にしていただろうから。
「お、お嬢様、コンバット侯爵子息様。大変申し訳御座いませんでした。私がもっと気を付けていればこんな事には…お嬢様を殺してしまう所でした。本当に本当に申し訳御座いませんでした。」
「何を言っているの。リナが悪い訳ではないわ。突然アレルギーになってしまったんですもの。もし咎められるのならリナの言う事を聞かなかった私でしょう?」
「でも、でも大切なお嬢様が…お嬢様が死んでしまっていたかも知れないなんて…」
泣きながら謝るリナ。
私が巻き戻らなければ、リナは間違いなく第一発見者だ。
死んでいる私を見付けた彼女はパニックに陥ったに違いない。
死因がピーナッツだと知ったなら、リナは自分を責めただろう。
お父様は、自分がピーナッツ好きな為に娘を死なせてしまったと嘆いただろう。
なぜ神様が私を巻き戻したのか、私の死で悲しみ苦しみ、もしかしたら後を追う人が居たのかも知れない。
「リナ、私の事を大事に思ってくれて、ありがとう。これからはリナの忠告は素直に聞くから、私がジルフィード様の元に嫁いでも一緒に来てくれる?お父様には私から頼むから、お願い。」
「お嬢様が嫌と言っても、リナはお嬢様と共にコンバット侯爵家に来るつもりでおりました。宜しいでしょうか?」
「勿論、大歓迎だ。ソフィアが悲しむ事は決してしない。」
こうしてリナは私と一緒にコンバット侯爵家に付いて来る事が決まった。
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