【完結】私を殺したのは誰?

山葵

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あの日の騒動以来、アリアナが私達のお茶会に同席する事はなくなった。
けれど遠くから私達の様子を見ている事に、私は勿論、ジルフィード様も気が付いている様だ。

仲の良い姉妹だったのに、あれ以来会話はするけれど、どこかぎこちなくなってしまった。

巻き戻る前は仲の良い姉妹と評判だったのに、今となっては本当に仲が良かったのかも分からない。
私だけが、そう思っていただけなのかも…。


アリアナの事だけでも考えすぎて頭が痛いのに、今年は学園に入学する。

今まで数回しか会う事のなかったガバラ子爵令嬢のアリスさんも入学してくる。

ジルフィード様は私達よりも1学年上なので、私がアリスさんから嫌がらせをされている事に気が付くのに3ヶ月位掛かった。

でも今度の私は違うわ!
もう黙って耐えないからね!!
昔の大人しかったソフィアは、もう居ない。

「あっ!あんた、ジルに引っ付いてるお邪魔虫じゃんっ!!」

柄が余りよろしくないご令嬢達と一緒に私に向かってアリスさんがやって来た。

「………」

「あんたさぁージルが困っているのに、いつまで引っ付いてるつもり!?ほんと空気読めないよね?ジルは、優しいから本当は嫌でも、あんたに付き合ってやっているのよ!?前にも言ったと思うけれど、ジルにはねぇ~本当に心から愛する人が居るのよ。それが誰だか分かるでしょう?」

「………」

「ちょっと聞いているのだから何とか言いなさいよ!あっ、まさか本当に気が付いてなかったとか?アハハ、本当に自分の事しか考えられないのね!」

私は一緒に歩いていた令嬢達に大丈夫だから先に教室に行く様に告げると、アリスさんに向き合った。

「失礼ですが、あなたは、どちら様でしたかしら?いくら学園では身分に分け隔てなくと言われていても、貴族ならば礼儀は弁えませんと。名も名乗らず、挨拶もせず、格上の家の者に物申す態度は流石に頂けませんね。ねぇ貴女はそう思いませんか?バクラ男爵令嬢。」

急に私に振られて驚いたバクラ男爵令嬢だが、モルク伯爵令嬢の私が男爵令嬢の自分を知っている事にも驚いた様だ。

ならば。

「貴女達は、どう思いまして?サガン男爵令嬢にダン男爵令嬢。」

やはり2人も驚いている。

なぜ知っているかって?
前の時に知ったからよ。
この3人共、私へのアリスさんの嫌がらせには加担しなかったけれど、止めることもなく傍観していたという事で学園を退学になり修道院に送られる。

この3人はガバラ子爵家と取り引きがある家の者達で、取り引きが切られては困るからアリスさんの御機嫌を取る為に取り巻きをしていたと言った。

土下座し泣きながら私に謝る3人。

ジルフィード様には甘い!と言われたが、当主には勘当しない様にお願いして、3年間の修道院送りにして貰った。

勘当の上の王都からの追放から、3年間という期限付きの修道院生活にしたんだもの、殺したいと思うほど憎まれてはいなかったわよね、きっと。

「ア、アリス様、モルク伯爵令嬢の言っている事は正しいと思います。この学園は、平民も通っていますが、貴族としての嗜みは…」

そう言って止める3人を睨みながらもアリスさんは引き下がった。

「良いこと、ジルが本当に好きなら身を引くのも愛ですわよモルク伯爵令嬢。ジルが本当に結ばれたい人は誰なのか、よ~くお考えになってね♪」

う~ん、間違ってもあなたではないわよ!と言いたいのだけれど、我慢、我慢。

ジルフィード様が本当に結ばれたい人???
私だと思うのは自惚れかしら?
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