【完結】私を殺したのは誰?

山葵

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「3ヶ月後に開かれるコンバット侯爵家嫡男ジルフィード殿の誕生日パーティーに我が家も招待された。どうやら誕生日パーティーには嫡男殿と見合うご令嬢が招待されている様だ。」

お父様の言葉に、そう言えば前もジルフィード様の誕生日パーティーに家族で出席したんだっけ。あの日にジルフィード様に見初められて婚約したんだと思い出す。

あー。私を恨んでいる人、1人居たわ。

ジルフィード様の幼馴染みで彼に恋しているガバラ子爵家のアリスさん。
家格の違いからジルフィード様の婚約者候補にも挙げられなかった彼女だが、ジルフィード様と婚約が出来ないのは私が邪魔をしているせいだと勘違いからの逆恨みをして、学園に入学して私と会う様になると嫌がらせをし始めた。それがジルフィード様にバレて子爵家からも追い出された。

あの後追い出されたアリスさんは、どうなったのかしら?

彼女が屋敷の誰かと内通して私に毒を?
自分の事をジルフィード様が愛していると思い込んでいた彼女は、激怒したジルフィード様からの暴言に心が壊れてしまった様に見えた。
そんな彼女が人を使う?


「コンバット侯爵家のジルフィード様は確か、まだ婚約者は決まってないんですよね?ではお姉様や私がジルフィード様と婚約する事もあるんですよね?お母様、私のドレスは会場で一番目立つデザインにして欲しいです。他のご令嬢に負けないドレスにして下さい!」

アリアナは、ジルフィード様の目に留まろうとしていたんだ…。

私なんて、侯爵家のパーティーに出席出来ると聞いて楽しみで浮かれていただけだったのに。

アリアナは、リボンを沢山付けたローズピンクのフリフリドレスを、私はリボンは控え目のレースを取り入れたクリーム色のドレスを作ってもらった。
前回は、アリアナと似たデザインでオレンジで2人で目立って居たっけ。

婚約者となったジルフィード様の事は会う度に彼を知り好きになっていった。
だが命を掛けてまで婚約したいかといえば否。
私は自分が可愛い、死にたくないのだ。

犯人が誰であるか分からない以上、アリスさんとの関係は避けたい。

それに私が気が付いていなかっただけで、ジルフィード様との婚約で恨みを買っていた可能性もある。

皆に祝福されていたと思っていたが、腹黒な貴族ほど笑顔でおべっかを使ってくる。
ジルフィード様との婚約で舞い上がっていた私は周りが見えず本当に馬鹿だったわ。

でも、もし…もしも地味な私でもジルフィード様がまた見初めてくれたのならと淡い期待を抱いてしまうのは、彼を好きだという気持ちを捨てきれないから…駄目ね。


偶然、私に嫌がらせをするアリスさんとの場に現れたジルフィード様は、アリスさんの言い訳も聞く事なく私を抱き締めながら、彼女に罵声を浴びせていた。
幼馴染みの彼女よりも私を庇ってくれた事が嬉しく泣いてしまった。

後日、モルク伯爵家を訪ねてきたジルフィード様から、改めて謝罪された。

「ソフィア、ごめん。僕がもっと早く気が付いていれば。アリスの好意には気が付いていた。だけど僕はアリスに幼馴染み以上の感情は持てなくて、アリスにもそれとなく伝えていたんだ。こんな事になるなら、もっとハッキリとアリスに伝えていれば良かった。まさかソフィアに危害を加えるなんて。どこをどう捉えれば、伯爵家の君が侯爵家の僕を脅して無理矢理婚約者になったなんて事になるんだ?僕が本当はアリスを愛しているのに泣く泣くソフィアと結婚するんだとなるんだ?父上が子爵家には抗議文を送ったからアリスが僕達の前に現れる事は2度とない。ソフィア、こんな事が合ったからと婚約解消なんて思わないで。僕はソフィアが好きなんだ。もう2度と君を傷付けさせない。必ず守るから、どうか側に居て欲しい!」

そう言って、私に跪き手の項に口付けをしてくれたジルフィード様。
そんな彼が私を殺すとは思えないし、思いたくもなかった。
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