私の好きなお兄様

山葵

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もう何の事か分からないでは済まされない。

お兄様に聞いても大丈夫よね。

手を繋ぎ足早にスーザンから離れるアルベルトの背を見ながらリリアナは覚悟を決めた。

湖の畔まで行くとお兄様は、私の顔を見て「大丈夫か?」と尋ねてきた。

「お兄様…スーザン様が言っていた、わたくしとお兄様が他人というのは本当ですか?」

「…他人ではない。ただ兄妹ではない…俺達はいとこだ」

「いとこ?ではお父様とお母様は?」

「……俺から話して良いものか…」

お兄様は、どうしたものかと考えてしまった。

「お兄様から話して頂けないのであれば、屋敷に戻りお父様と話したいと思います」

「そうだな…だが、直ぐには戻らないよ!もう少しリリアナと過ごしたい。良いだろう!?」

お兄様が甘えたような顔をして聞いてくる。

そんな顔をされたら駄目とは言えない…。

ずるいです!

「では、お兄様の長期休暇が終わる前まで…。学園にはお戻り下さいね!」

「えぇー」

お兄様は、拗ねたようにほっぺを膨らませている。

「可愛く拗ねても駄目ですよ!」

膨らませたほっぺを突っいていると手を握られリリアナはドキッとした。

リリアナを見るアルベルトの目が兄ではなく、男の目だったから…。

もう1つの手がリリアナの顎を上げる。

アルベルトの顔が近付きリリアナの心臓が破裂しそうな程うるさい。

唇が触れ合う…。

私…お兄様とキスをしている…。

「リリアナ、好きだよ」

再び、キスをされる。

「わ、わたくしも…好きです」

「本当に!?」

リリアナは、こくりと頷く。

「やったー!!」

アルベルトはそう叫ぶと、リリアナをギュと抱き締めた。
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