私の好きなお兄様

山葵

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父上の執務室で仕事の手伝いをしていると、執事がリリアナが倒れたと知らせに来た。

「医者は呼んだのか?何故また倒れたのだ!?」

「医者は、すでに呼びに行かせております。奥様と庭でお茶を召し上がっていてお倒れになったようです」

庭?まだ外に出すには早いだろう!?

リリアナの部屋へと急ぐ。

「母上、リリアナが倒れたと…」

「ア、アルベルト…ごめんなさい…まさか倒れるなんて…」

母上は、泣きながらアルベルトに謝ってきた。

「何があったのですか?」

「リリアナの余所余所しい態度に記憶が無いからと言ってしまったの…。リリアナは、自分を責めた様な顔をしていたわ…。わたくしが追い詰めてしまったの…」

父上は、母上を抱き寄せ慰めている。

チッ、母上は、リリアナに何をしてくれたのだ!

リリアナ、俺の可愛いリリアナ。

そっと頬に触れた。

「…ん…」

「リリアナ、気が付いたのかい?」

気が付いたと思ったが、まだ反応は無かった。

執事が医者を連れて入ってきた。

「一体どうなっているのだ?頭を打った時の後遺症か?」

「奥様からの話で推測しますと、記憶を取り戻そうとされ、脳が拒否反応を起こされたのでは無いかと思われます。余り無理をさせずに自然に戻るのを待つのがよろしいかと…」

「焦りは禁物か…分かった」

記憶を取り戻す。

家族で無い事が分かってしまう。

その時に、リリアナは、俺達を受け入れてくれるのだろうか…。

いや、たとえ拒絶されようが、もう俺はリリアナを離す事は絶対にしない!
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