私の好きなお兄様

山葵

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「アルベルト、リリアナに一体、何が有ったのだ?」

「スーザンが、リリアナに本当の家族では無い事を言ってしまった様です」

「はっ?何故スーザン嬢が、その様な事を!?」

「分かりません」

母上は、驚き泣き崩れた。

俺達家族とリリアナは、血が繋がってはいない。

リリアナは、前フリーマン侯爵当主の娘だ。

リリアナが、まだ赤子の時に馬車の転落事故で前フリーマン侯爵夫妻は亡くなった。

奇跡的にリリアナだけが生き延びた。

馬車の下敷きになった時に夫妻はリリアナを庇うように亡くなっていたという。

前フリーマン侯爵の妹である母上しか身内が居なかった為、俺達家族がリリアナを引き取り、成人して爵位を次げる歳まで父上がフリーマン侯爵家とレイノルズ侯爵家を治めている。

リリアナには、学園に入る前に話をする予定だった。

まさか赤の他人である、スーザンから告げられるなんて。

「父上、グリル伯爵家との縁談は無かった事として下さい。リリアナを貶める様な人と添い遂げる事など出来ません」

「勿論だ!レイノルズ侯爵家も随分と舐められたものだ。潰してやる!!」

父上も母上もリリアナの事を我が子の様に育て溺愛してきた。

それは俺も…嫌、俺の愛は家族愛ではない。

いつからリリアナを妹として見れなくなったのだろう…。

リリアナ、ごめんね。

俺はお前の「お兄様」にはなれない。
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