私の好きなお兄様

山葵

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ある日、お兄様に会いに来ていたスーザン様と廊下で会った。

わたくしを見るスーザン様の目は冷たく、いつもお兄様に見せる愛らしい顔ではない。

「はぁー…赤の他人の貴女が、この家に何、図々しくお嬢様気取りで居るのかしら?早く出て行かれてはどうかしら?」

「…えっ?」

「あら嫌だ、まさか知らなかったの?」

まぁ!?とわざとらしく嫌みな顔をする。

どういう事…赤の他人…?

「何をしている?」

お兄様の声にスーザン様が焦っていた。

何か一生懸命に言い訳をしている様だが、今のわたくしの耳には聞こえない…。

フラフラとしながら「部屋に戻らなければ…」と思い制するお兄様の声にも気が付かずに階段を登り始めた。

わたくしの様子が気になり後を追おうとするお兄様を言い訳をしながら縋り、腕を離さないスーザン。

赤の他人…その言葉が頭の中で響き続ける。

あぁそう言う事だったのね…。

頭の中で最後のピースが填まった気がした。

お兄様が冷たくなった理由。

わたくしを嫌いになった理由。

全てが解決した…。

わたくしとお兄様は、兄妹ではなかった。

それを知ってから、お兄様は、わたくしに冷たくなったのね…。

フラフラと階段を登りながら、目から流れ出る涙を止めることは出来なかった。

あっ…落ちる!

「きゃあー!お嬢様!!」

身体が宙に浮いたような気がした。

ドスンッ!!

階段を踏み外し、床に落ちて気を失った。
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