私の好きなお兄様

山葵

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お兄様が王都の学園に入学する日が近付いて来た。

学園は、寮生活になる為、長期休暇になるまで会えなくなる。

「お兄様、身体に気を付けて、頑張って下さいね!」

「ああ、元気でな…」

素っ気なく言葉を返され、顔を剃らされる。

最後まで顔をちゃんと見せてはくれないのですね…。

そんなに嫌われてしまったのですね…。

夏の長期休暇に入ったがお兄様は、直ぐには帰って来なかった。

お父様の命令によって、渋々と休みが終わる1週間前に帰ってきた。

「はぁー、只今、戻りました…」

不貞腐れた顔をして、両親と、私に帰宅の挨拶をする。

お父様は、怒っていたが、お母様に「そういう年頃なのよ。」と言われて、何も言わなくなった。

お兄様は、相変わらず私には冷たい。

寮に戻る前の日に、両親と、にこやかに話をしているお兄様を見た。

久し振りのお兄様の笑顔に心がドキドキした。

隠れて見ていると使用人達とも笑顔で話している。

今日は機嫌が良いのかと、私が部屋に入った途端、お兄様の顔から笑みが消えた。

お兄様は、私が嫌いなのだ。
もう昔には戻れないのだと思い知らされた。
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