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明日は婚約発表のパーティーがあるので、今日は王子妃教育もお休み。
学園からエバン殿下に送られて屋敷へと向かう。
「明日からはマリーの婚約者として堂々と出来るね。婚約までの2ヶ月がこんなに長く感じたんだ。結婚式までの9ヶ月が遥か遠くに感じられるよー」
「エバン様は、私との婚約が決まったら馬車で送り迎えはするし、お昼は一緒に食べるしと私が困るくらいに堂々として私はどうして良いか対応に困っていたわ。多分もう学園で私達が婚約する事を知らない人はいないと思うわ」
学園で知られたら、子息と令嬢から親に伝わり、エバン殿下の婚約者はマリー・グランドで決まりだと噂になっていた。
しかし正式な発表前だから覆せると思っていたのか、エバン様が居ない所では高位貴族令嬢達に「身の程を弁えなさい!」「エバン殿下は優しいから同情から婚約すると言ってしまわれたのよ」「きっと今頃、後悔されているわ。貴女から婚約は止めようと言われたら一つ返事でお止めになるわよ!」と数々のお言葉を頂きました。
「エバン様、本当に私で良いの?後悔してない?」
「マリーは嫌なの?本当は私と婚約したくないから、そんな事を言うのかな?」
「私はエバン様が婚約者なら、とても嬉しいわ。一生エバン様と共に歩んで行けたらと思うけれど」
「本当に!?私もマリーと共に歩んで行きたい!マリー、君が好きだ!愛してる」
エバン様の顔を見れば、彼は真剣な目をして私を好きだと言っている。
彼を信じ付いて行こう。
屋敷に着くとエバン様は私をエスコートして降ろしてくれた。
明日は、家族と共に王宮へ向かう。
「明日は王宮で待っている」
そう言って馬車に乗り込み帰って行った。
私は屋敷に入ろうと歩き始めた時に声を掛けられた。
振り返るとそこに居たのは元婚約者のカイン。
門番が慌ててカインが入る前に門を閉めた。
「カインさん、なぜ貴方がここに居るのですか?」
「マリーと話がしたくて来たんだ。マリー、俺が悪かった、どうか許して欲しい!」
「許すも許さないも貴方とはもう会う事はないと思っておりました。謝罪の為に来られたのなら結構です」
「ま、待ってくれ!!母上もマチルダも居なくなってしまったんだ。俺は1人になってしまった…マリー、俺を助けてくれ。お願いだマリー、もう1度、俺とやり直してくれ。頼む」
「カインさん、今の貴方は平民です。伯爵家の私と付き合えると思っているのですか?それに名前を呼ばないで下さい!」
「君は俺が好きだっただろう?俺が戻って来てやると言っているんだぞ!?」
私がカインを好きだと思っていたのか?
もし仮にそうだとしたなら、私がカインを好きだと分かっていてモニカさんと浮気していたのか、この男は!?
「おい、私の婚約者に何か用か?」
「はぁ!?誰だ!?…えっ?エ、エバン殿下!えっ!?婚約者?誰の?」
「マリーは私の婚約者だ。それで平民になったカインが伯爵令嬢のマリーに何の用なんだ?」
「え、えーと、エバン殿下には関係の無い事で…」
「そうか、マルコ。カインがマリーに話があるそうだから代わりに聞いておいてくれ」
エバン様は門番に門を開けさせると自分だけ中に入り、また閉めさせた。
マルコは1時間したら迎えに来ると言って、カインを連れて何処かへ行ってしまった。
「エバン様、どうして戻って来たのです?何か忘れ物でも?」
「マルコが人影に気が付いてね。気になったので戻って来たんだ。まさかカインだとは思わなかった。怖い思いをさせてしまったね。もう大丈夫だよ」
無意識に私はエバン様の袖をギュと掴み震えていた。
私を安心させ落ち着かせる様にエバン様は私を優しく抱き締めてくれた。
…コホンッ。
「チッ、ブランか…」
「エバン殿下、先程はお嬢様を助けて頂き、心から御礼を申し上げます。ですが、婚約発表もまだしておりませんので、外での抱擁はお控え下さい!」
エバン殿下の舌打ちにも怯まず、行動を注意するブラン。
流石だわ!
お茶を淹れますので…と言ってエバン殿下を応接室に案内する。
エバン殿下は、マルコが迎えに来るまで私を落ち着かせる様に側に居てくれた。
学園からエバン殿下に送られて屋敷へと向かう。
「明日からはマリーの婚約者として堂々と出来るね。婚約までの2ヶ月がこんなに長く感じたんだ。結婚式までの9ヶ月が遥か遠くに感じられるよー」
「エバン様は、私との婚約が決まったら馬車で送り迎えはするし、お昼は一緒に食べるしと私が困るくらいに堂々として私はどうして良いか対応に困っていたわ。多分もう学園で私達が婚約する事を知らない人はいないと思うわ」
学園で知られたら、子息と令嬢から親に伝わり、エバン殿下の婚約者はマリー・グランドで決まりだと噂になっていた。
しかし正式な発表前だから覆せると思っていたのか、エバン様が居ない所では高位貴族令嬢達に「身の程を弁えなさい!」「エバン殿下は優しいから同情から婚約すると言ってしまわれたのよ」「きっと今頃、後悔されているわ。貴女から婚約は止めようと言われたら一つ返事でお止めになるわよ!」と数々のお言葉を頂きました。
「エバン様、本当に私で良いの?後悔してない?」
「マリーは嫌なの?本当は私と婚約したくないから、そんな事を言うのかな?」
「私はエバン様が婚約者なら、とても嬉しいわ。一生エバン様と共に歩んで行けたらと思うけれど」
「本当に!?私もマリーと共に歩んで行きたい!マリー、君が好きだ!愛してる」
エバン様の顔を見れば、彼は真剣な目をして私を好きだと言っている。
彼を信じ付いて行こう。
屋敷に着くとエバン様は私をエスコートして降ろしてくれた。
明日は、家族と共に王宮へ向かう。
「明日は王宮で待っている」
そう言って馬車に乗り込み帰って行った。
私は屋敷に入ろうと歩き始めた時に声を掛けられた。
振り返るとそこに居たのは元婚約者のカイン。
門番が慌ててカインが入る前に門を閉めた。
「カインさん、なぜ貴方がここに居るのですか?」
「マリーと話がしたくて来たんだ。マリー、俺が悪かった、どうか許して欲しい!」
「許すも許さないも貴方とはもう会う事はないと思っておりました。謝罪の為に来られたのなら結構です」
「ま、待ってくれ!!母上もマチルダも居なくなってしまったんだ。俺は1人になってしまった…マリー、俺を助けてくれ。お願いだマリー、もう1度、俺とやり直してくれ。頼む」
「カインさん、今の貴方は平民です。伯爵家の私と付き合えると思っているのですか?それに名前を呼ばないで下さい!」
「君は俺が好きだっただろう?俺が戻って来てやると言っているんだぞ!?」
私がカインを好きだと思っていたのか?
もし仮にそうだとしたなら、私がカインを好きだと分かっていてモニカさんと浮気していたのか、この男は!?
「おい、私の婚約者に何か用か?」
「はぁ!?誰だ!?…えっ?エ、エバン殿下!えっ!?婚約者?誰の?」
「マリーは私の婚約者だ。それで平民になったカインが伯爵令嬢のマリーに何の用なんだ?」
「え、えーと、エバン殿下には関係の無い事で…」
「そうか、マルコ。カインがマリーに話があるそうだから代わりに聞いておいてくれ」
エバン様は門番に門を開けさせると自分だけ中に入り、また閉めさせた。
マルコは1時間したら迎えに来ると言って、カインを連れて何処かへ行ってしまった。
「エバン様、どうして戻って来たのです?何か忘れ物でも?」
「マルコが人影に気が付いてね。気になったので戻って来たんだ。まさかカインだとは思わなかった。怖い思いをさせてしまったね。もう大丈夫だよ」
無意識に私はエバン様の袖をギュと掴み震えていた。
私を安心させ落ち着かせる様にエバン様は私を優しく抱き締めてくれた。
…コホンッ。
「チッ、ブランか…」
「エバン殿下、先程はお嬢様を助けて頂き、心から御礼を申し上げます。ですが、婚約発表もまだしておりませんので、外での抱擁はお控え下さい!」
エバン殿下の舌打ちにも怯まず、行動を注意するブラン。
流石だわ!
お茶を淹れますので…と言ってエバン殿下を応接室に案内する。
エバン殿下は、マルコが迎えに来るまで私を落ち着かせる様に側に居てくれた。
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