10 / 13
10
しおりを挟む
それから少し過ぎた頃。
エバン殿下は、王位継承権を放棄し卒業後はザイザル公爵と名乗り臣下降下すると発表された。
領地はブランガ侯爵領地だった所と、高齢で跡取りも無く爵位を返上したいと申し出た伯爵領地。
たまたま2人の領地が隣同士だったので広大な領地をエバン殿下が受け継ぐ事になった。
現国王は、王妃以外の側室を娶らなかった。
自分が王太子時代、国王となるまでに側室との子…自分の腹違いとはいえ兄弟達と争い傷付いた。
命を狙われたのも数えきれない位に…。
そんな争いは自分の子にはさせたくなかったのと、王妃を心から愛していた。
国王としてどうなのか?と問われた事も有ったが、国王は誰にも流されず側室を持つ事を翻す事は無かった。
そのお陰で王子は3人授かったが、長子が王位は継ぐものと2人の王子は何の疑問も持たず、争う事も無かったのだ。
まぁ国王陛下の愛情が深いせいか、王妃様は王子3人王女2人の5人の子供を産んだ。
側室が居た前国王は正妃と側妃を合わせても4人。
誰にも文句は言わせなかった。
学園から屋敷に戻れば玄関ホールでニコニコと微笑むブランが待って居た。
こんなに顔を緩ませて…不気味で気持ち悪い。
お父様が呼んでいると言われ、着替えをしに部屋に向かおうとしたが、直ぐに応接室へと向かう様に言われてしまった。
そんなに急ぎの用事なのだろうか?
それも執務室でなく応接室?と思いながらもブランと応接室に向かう。
「ただいま戻りま…「おかえり、マリー!」
エバン殿下?なぜ我が家に?
まだ報告し忘れた事でも有ったのだろうか?
「エバン殿下、公爵の爵位を賜り、おめでとう御座います。慎んで御祝い申し上げます」
ありがとう。と言いながら、ポンポンとソファーを叩く。
隣に座れと?この前と違ってソファーは空いている。
どうしたものかと困っていると、お父様より気にせずに座らせて貰いなさい!と言われ席に着く。
「グランド伯爵には先程話し了承を貰ったのだが…………」
いつまで経っても、その続きが聞こえて来ない。
不敬と思いながらも、隣に座るエバン殿下を覗き見れば顔が真っ赤になりモジモジしている!?
な、なに?どうしたの?熱!?医師を呼ばないと!
私は殿下の後ろに立つマルコを振り返り目で訴えた。
「はぁーエバン様、マリー様が狼狽えております。これ以上ヘタレますと王妃とソフィア様、キャシー様に、また馬鹿にされますが宜しいのですか!?」
王妃や王女にエバン殿下が馬鹿にされるの?
しかもヘタレ???
「マリー・グランド伯爵令嬢、どうか私エバン・リンドラーグと結婚してくれないか!?」
殿下は私が知らないだけでヘタレなのか?なんて思っていると、とんでもない言葉が聞こえて来た様な?
殿下は今なんて?結婚?マリー・グランドは私だよね?
私はお父様とお母様を見れば、2人はニコニコとしウンウンと頷いている。
「ちょ、ちょっと待って下さい!先日、私はカイン様に婚約破棄されたばかりです。まして傷者の私がエバン殿下と結婚など相応しくありません。エバン殿下にはもっと相応しいご令嬢がおります。王族として恥ずかしくない方をどうぞお選び下さい」
「私は9ヶ月後には臣下降下し国王である父上と次期国王となる兄上に使え支えていくつもりだ。兄上と違い、私は王位継承権も放棄したのもあり、結婚相手は高位貴族で在るならば縛りはない。それにもう父上にもグランド伯爵にも結婚の承諾は取ってある。あとはマリーの返事だけなんだ」
そんな…国王が認めた婚姻に異議申し立てなど出来るはずもない。
「マリー、王子だとか婚約破棄だとか考えずに、私の事をどう思っているかだけ考えてくれ。君の出した答えに私は従う……まぁ断わられたからといって直ぐに諦める気は無いけれど…」
最後の方が良く聞こえなかったけれど、エバン殿下をどう思っているかだけ考えて。
殿下は何時も私を助けてくれて、一緒に居て楽しいし…心がポカポカしているのにドキドキもして…これって…。
私は自分の顔が火照るのを感じた。
エバン殿下は、王位継承権を放棄し卒業後はザイザル公爵と名乗り臣下降下すると発表された。
領地はブランガ侯爵領地だった所と、高齢で跡取りも無く爵位を返上したいと申し出た伯爵領地。
たまたま2人の領地が隣同士だったので広大な領地をエバン殿下が受け継ぐ事になった。
現国王は、王妃以外の側室を娶らなかった。
自分が王太子時代、国王となるまでに側室との子…自分の腹違いとはいえ兄弟達と争い傷付いた。
命を狙われたのも数えきれない位に…。
そんな争いは自分の子にはさせたくなかったのと、王妃を心から愛していた。
国王としてどうなのか?と問われた事も有ったが、国王は誰にも流されず側室を持つ事を翻す事は無かった。
そのお陰で王子は3人授かったが、長子が王位は継ぐものと2人の王子は何の疑問も持たず、争う事も無かったのだ。
まぁ国王陛下の愛情が深いせいか、王妃様は王子3人王女2人の5人の子供を産んだ。
側室が居た前国王は正妃と側妃を合わせても4人。
誰にも文句は言わせなかった。
学園から屋敷に戻れば玄関ホールでニコニコと微笑むブランが待って居た。
こんなに顔を緩ませて…不気味で気持ち悪い。
お父様が呼んでいると言われ、着替えをしに部屋に向かおうとしたが、直ぐに応接室へと向かう様に言われてしまった。
そんなに急ぎの用事なのだろうか?
それも執務室でなく応接室?と思いながらもブランと応接室に向かう。
「ただいま戻りま…「おかえり、マリー!」
エバン殿下?なぜ我が家に?
まだ報告し忘れた事でも有ったのだろうか?
「エバン殿下、公爵の爵位を賜り、おめでとう御座います。慎んで御祝い申し上げます」
ありがとう。と言いながら、ポンポンとソファーを叩く。
隣に座れと?この前と違ってソファーは空いている。
どうしたものかと困っていると、お父様より気にせずに座らせて貰いなさい!と言われ席に着く。
「グランド伯爵には先程話し了承を貰ったのだが…………」
いつまで経っても、その続きが聞こえて来ない。
不敬と思いながらも、隣に座るエバン殿下を覗き見れば顔が真っ赤になりモジモジしている!?
な、なに?どうしたの?熱!?医師を呼ばないと!
私は殿下の後ろに立つマルコを振り返り目で訴えた。
「はぁーエバン様、マリー様が狼狽えております。これ以上ヘタレますと王妃とソフィア様、キャシー様に、また馬鹿にされますが宜しいのですか!?」
王妃や王女にエバン殿下が馬鹿にされるの?
しかもヘタレ???
「マリー・グランド伯爵令嬢、どうか私エバン・リンドラーグと結婚してくれないか!?」
殿下は私が知らないだけでヘタレなのか?なんて思っていると、とんでもない言葉が聞こえて来た様な?
殿下は今なんて?結婚?マリー・グランドは私だよね?
私はお父様とお母様を見れば、2人はニコニコとしウンウンと頷いている。
「ちょ、ちょっと待って下さい!先日、私はカイン様に婚約破棄されたばかりです。まして傷者の私がエバン殿下と結婚など相応しくありません。エバン殿下にはもっと相応しいご令嬢がおります。王族として恥ずかしくない方をどうぞお選び下さい」
「私は9ヶ月後には臣下降下し国王である父上と次期国王となる兄上に使え支えていくつもりだ。兄上と違い、私は王位継承権も放棄したのもあり、結婚相手は高位貴族で在るならば縛りはない。それにもう父上にもグランド伯爵にも結婚の承諾は取ってある。あとはマリーの返事だけなんだ」
そんな…国王が認めた婚姻に異議申し立てなど出来るはずもない。
「マリー、王子だとか婚約破棄だとか考えずに、私の事をどう思っているかだけ考えてくれ。君の出した答えに私は従う……まぁ断わられたからといって直ぐに諦める気は無いけれど…」
最後の方が良く聞こえなかったけれど、エバン殿下をどう思っているかだけ考えて。
殿下は何時も私を助けてくれて、一緒に居て楽しいし…心がポカポカしているのにドキドキもして…これって…。
私は自分の顔が火照るのを感じた。
74
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

もうあなた様の事は選びませんので
新野乃花(大舟)
恋愛
ロベルト男爵はエリクシアに対して思いを告げ、二人は婚約関係となった。しかし、ロベルトはその後幼馴染であるルアラの事ばかりを気にかけるようになり、エリクシアの事を放っておいてしまう。その後ルアラにたぶらかされる形でロベルトはエリクシアに婚約破棄を告げ、そのまま追放してしまう。…しかしそれから間もなくして、ロベルトはエリクシアに対して一通の手紙を送る。そこには、頼むから自分と復縁してほしい旨の言葉が記載されており…。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる