婚約者を少しでも好きになる様に頑張ってみましたが、父を侮辱したので婚約破棄を受け入れます!

山葵

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ブランが冷めてしまったお茶を取り替える様に新しくお茶を淹れてくれ、殿下と私の前にもお茶が置かれる。

「それでブランガ侯爵は、ご子息を連れて謝罪と婚約破棄の手続きをしに来たんだよね?じゃあさっさと始めようか?」

「エバン王子、何か誤解をしておりますな?愚息がパーティーでマリー嬢を怒らせた謝罪はさせますが、婚約破棄などと滅相も御座いません。ほら、お前もマリー嬢に謝らんかっ!!」

ブランガ侯爵は、足でカインを蹴っ飛ばすと謝罪するように促した。

「マ、マリー…ご、ごめん」

「その謝罪は父を侮辱した事にですか?」

「き、君だって、父上を…」

そう言ったモゴモゴと何か言っていたが、こんな言わされて仕方無くの謝罪など要らない。

「謝罪は結構です。それよりもブランガ侯爵に婚約破棄の事は、きちんとお話をしたのですか?貴方が言い出した事ですよ?」

「その事なんだが、どうやら愚息は、マリー嬢に言い返されてつい憤慨し心にも無い事を言って仕舞った様なんだ。婚約破棄は本心では無い。許してやってくれないだろうか?」

こちらの方が格下だからと無かった事にするつもりなのだろう。

嫌だ!私はカイン様と親しくなろうとしたし少しでも好意を抱いてくれたらと頑張った。
なのにカイン様は、私よりもモニカさんと親しくし私を冷たく足らっていた。

「嫌で…「ブランガ侯爵、それは無理があるよ。カインは貴族のご子息、ご令嬢が多く集まるパーティー会場でマリー嬢に婚約破棄を言い渡したんだよ。私も聞いていた。あんな公の場で宣言されたのだ。気の迷いだったでは済まされない事は貴殿でも分かるだろう?さぁとっとと書類にサインしろ」

マルコ様に差し出されて私とカイン様の婚約解消の書類をテーブルの上に置く。

ブランは、その横にペンを置いた。

「なっ!いくら王族とはいえ、ここまでの踏み込みはご遠慮う願いたい」

「はぁー。カインがコイド男爵令嬢と親密にしていたのは知っているよね!?今日もカインは、マリーではなく彼女をエスコートしていた。マリーに婚約破棄した時も彼女はカイトと腕を組み笑っていたよ。まったくマリーという婚約者が居るのにエスコートもせずに別のご令嬢を伴い婚約破棄するなんてブランガ侯爵家の教育はどうなっているの?ああそうだ!コイド男爵令嬢だけれど、どうやら妊娠しているみたいだよ?聞いてない?まぁ中絶出来なくなるまで言わないつもりなんだろうけれど…もう中絶は無理な時期になるはず。ブランガ侯爵は、おじいちゃんになるんだよ。良かったね!」

エバン殿下、マルコ様以外の部屋に居る者は驚いた。モニカさんが妊娠。
この国では中絶期間が決められている。
それを過ぎた中絶は犯罪になり捕まり処罰される。
それは中絶を強要した方も同罪だ。

「男爵令嬢を我が家に受け入れるなど家格からも有り得ない…えぇい、カイン、お前は勘当だ!!」

「ああそれなら大丈夫。君は爵位を剥奪される。ブランガ侯爵家は取り潰しね。逆にコイド男爵がカインとの結婚を拒否するかなぁ~!?男爵と言えども貴族、かたや平民だもんね。モニカ嬢も勘当かな?」

「なっ!何を馬鹿な事を!いくら王子と言えども国王の許可無く我が家を取り潰し爵位の剥奪など…」

またまたマルコ様が取り出した書類をエバン殿下は受け取り、にこやかにブランガ様の前に差し出す。

「はい、これね♪ちゃんと父…国王のサインも入っている。君さぁー色々とやっちゃっているよねぇー。バレないと思っていたの?家族は知らなかった様だけれどさぁー。君は処分が出るまで牢屋ね♪」

その言葉を合図に騎士団の方が入って来られ暴れるブランガを縛り上げて連れて行った。

呆然と見ていたカインも顔を青くし慌てた様に父親を追い掛けて出て行った。
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