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テストも無事に終わり、もうすぐ長期休暇に入る。
私は休みの間は商会の仕事に力を入れるつもりだ。
この前、持ち帰った売り上げ報告書を見ていると執事のブランがお父様が呼んでいると伝えに来た。
お父様が私を執務室に呼ぶなんて珍しい。
前回、呼ばれたのは…ああカイン様との婚約の申し入れがあった時だ。
それを考えると何か今日も悪い予感しかしない。
扉をノックし、入室の許可を貰う。
「お呼びですか?」
「ああ、そこに座りなさい。マリー、カイン殿とは上手くいっているのか?」
「お父様は上手くいっていると思いますか?」
「……彼に寄り添う男爵令嬢がいると聞いたのだが、本当か?」
「コスガ男爵家のモニカさんですわ。家格差がありますから婚姻は無理だと分かっていると思いますので、仲良くされているだけかと…」
お父様には、そう言ってみたが、あのカイン様とモニカさんだ。
私の考えの上を行く。
もしかしたら貴族同士なら誰でも結婚出来ると思っていても可笑しくない。
勿論、決して結婚出来なくはない。
ただ愛を手に入れ愛する人と結婚したが、高位貴族夫人としての嗜みが出来なければイバラの道を歩く生活になるだけだ。
「それでもお前の前で…こちらから婚約解消を申し入れてみるか…」
「そんな事をしたら大変です。私は大丈夫ですわ。カイン様に婚約者として認めて貰える様に頑張っています。お父様、心配しないで下さい」
明日は終業式だ。
この学園は終業式を終えると学期末パーティーが行われる。
婚約者がいる女生徒は勿論、婚約者がエスコートをする。
居ない者は、居ない者同士で探し、連れだって来るのだ。
マリーもドレスに着替え、カインが来るのを待っていた。
だが、パーティーが始まる1時間前だというのに来ない。
何かトラブルでも?
執事のブランに頼み、ブランガ侯爵家に確認しに行かせた。
「な、何とブランガ侯爵家をとっくに出ていると…では何処に…まさかお嬢様をエスコートしないおつもりかっ!旦那様に直ぐにお知らせして…」
ブランは顔を赤くして憤慨していたが、旦那様に伝えマリーお嬢様のエスコート役を誰か探さないといけない。そう思い執務室に向かおうとした。
「ブ、ブランさん、大変です!!」
「何事です。私は急いでいるのですが、私でないと駄目な事ですか?」
駄目ですー!と涙目の従者を見て玄関へと向かう。
「迎えが遅くなって仕舞ったんだが、マリー嬢は、まだ待っていてくれているかな?」
第3王子のエバン殿下が何故?
ブランは、目を見開き驚いた。
今、マリーお嬢様を迎えに来たと言ったか?
「エバン殿下、申し訳御座いません。只今、マリーお嬢様をお呼び致しますので、もう少しお待ち頂けますでしょうか?」
ブランは侍女にお嬢様を呼ぶ様に伝え、旦那様の居る執務室へと急いだ。
私は休みの間は商会の仕事に力を入れるつもりだ。
この前、持ち帰った売り上げ報告書を見ていると執事のブランがお父様が呼んでいると伝えに来た。
お父様が私を執務室に呼ぶなんて珍しい。
前回、呼ばれたのは…ああカイン様との婚約の申し入れがあった時だ。
それを考えると何か今日も悪い予感しかしない。
扉をノックし、入室の許可を貰う。
「お呼びですか?」
「ああ、そこに座りなさい。マリー、カイン殿とは上手くいっているのか?」
「お父様は上手くいっていると思いますか?」
「……彼に寄り添う男爵令嬢がいると聞いたのだが、本当か?」
「コスガ男爵家のモニカさんですわ。家格差がありますから婚姻は無理だと分かっていると思いますので、仲良くされているだけかと…」
お父様には、そう言ってみたが、あのカイン様とモニカさんだ。
私の考えの上を行く。
もしかしたら貴族同士なら誰でも結婚出来ると思っていても可笑しくない。
勿論、決して結婚出来なくはない。
ただ愛を手に入れ愛する人と結婚したが、高位貴族夫人としての嗜みが出来なければイバラの道を歩く生活になるだけだ。
「それでもお前の前で…こちらから婚約解消を申し入れてみるか…」
「そんな事をしたら大変です。私は大丈夫ですわ。カイン様に婚約者として認めて貰える様に頑張っています。お父様、心配しないで下さい」
明日は終業式だ。
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居ない者は、居ない者同士で探し、連れだって来るのだ。
マリーもドレスに着替え、カインが来るのを待っていた。
だが、パーティーが始まる1時間前だというのに来ない。
何かトラブルでも?
執事のブランに頼み、ブランガ侯爵家に確認しに行かせた。
「な、何とブランガ侯爵家をとっくに出ていると…では何処に…まさかお嬢様をエスコートしないおつもりかっ!旦那様に直ぐにお知らせして…」
ブランは顔を赤くして憤慨していたが、旦那様に伝えマリーお嬢様のエスコート役を誰か探さないといけない。そう思い執務室に向かおうとした。
「ブ、ブランさん、大変です!!」
「何事です。私は急いでいるのですが、私でないと駄目な事ですか?」
駄目ですー!と涙目の従者を見て玄関へと向かう。
「迎えが遅くなって仕舞ったんだが、マリー嬢は、まだ待っていてくれているかな?」
第3王子のエバン殿下が何故?
ブランは、目を見開き驚いた。
今、マリーお嬢様を迎えに来たと言ったか?
「エバン殿下、申し訳御座いません。只今、マリーお嬢様をお呼び致しますので、もう少しお待ち頂けますでしょうか?」
ブランは侍女にお嬢様を呼ぶ様に伝え、旦那様の居る執務室へと急いだ。
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