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「ああシンシア、待っていたわよ!すっかり大きくなって。若かりし頃のお姉様にそっくりになってきたわね!」
「レジーナ王妃、この度は「レジーナ叔母様でしょう!もうそんなに畏まらないで頂戴な。あぁ貴女を、あの時に引き取っていれば、こんな辛い目にあわせずにすんだのに…」
「シ、シンシア嬢。レジーナ王妃から話しを聞いたのだが、わが息子ランバルドが、余の許可もなく勝手にシンシア嬢との婚約を解消したというのはまことの事か?」
「恐れながら国王陛下、婚約解消ではなく婚約破棄をされたので御座います。その上、ランバルド殿下は義妹のマリアーナと婚約するとわたくしに告げました。2人が婚約する為に、私の存在が邪魔だと、父であったジラルダ侯爵に勘当され屋敷を追い出されたので御座います。わたくしとしても、愛し合う二人の仲を引き裂くほど非道では御座いませんが、婚約破棄の理由が、わたくしの義妹への虐待と身に覚えの無い事でしたので、ランバルド殿下にお伝えしたところ信じては頂けませんでした。国王陛下、ランバルド殿下との婚約破棄は、わたくしもお受けいたしたいと存じます。」
「長年に渡り、シンシアは、ジラルダ侯爵家で虐待を受けていた。ドレンホス国王、私はシンシアの事を頼むとお願いしたはずだったが…私の願いをそなたは聞いておらなかったのか?なんの為に、お主の息子とシンシアを婚約させたのかのう?そなたの息子も王族で在りながら王命の責務を果たせぬとはのう。」
それを聞いていた国王陛下の顔は青ざめたが、直ぐに怒りで顔を赤くし、側近にランバルド殿下とジラルダ侯爵家の者達を王宮に連れて来る様に命じた。
4人が王宮に連れて来られるまでの間、私とレジーナ叔母様は、ゆっくりと美味しいお茶を飲んで待つ事にした。
少しすると、ランバルド殿下達が謁見の間に到着したとの知らせが入る。
私達は、王の謁見の間の隣にある控え室にて中の様子を伺っていた。
「面を上げよ。さてランバルド、少しおかしな話を聞いたのだが、余に許可もなくシンシア・ジラルダ侯爵令嬢との婚約を破棄したとか。まさか余に許可なく、その様な愚かな行いなど…「父上!シンシアは、ここに居るシンシアの義妹であるマリアーナを虐待していたのです。そんな愚かな者は、王族である私の婚約者には相応しくありません。よって私はシンシアとの婚約は破棄しましたが、父上の希望であるジラルダ侯爵家との縁はそのままに、次女であるマリアーナと結婚したいと思っております。父上には事後報告になってしまいましたが、私がジラルダ侯爵家へ婿入する事に変わりありません。私は、マリアーナ・ジラルダを心より愛しております。どうか私とマリアーナの婚約をお許し下さい!」
国王陛下は、ランバルドの言葉に返事をする事なく、ジラルダ侯爵の方に目線を移した。
「……さてジラルダ。お主は、娘であるシンシア嬢を、ランバルドとの婚約を破棄させ、ジラルダ侯爵家から除籍し、屋敷から着の身着のままで金銭も渡さずに追い出したと聞いたのだが、それに間違いないか?」
「恐れながら、我が娘であったシンシアは、妹であるマリアーナを虐待しておりました。マリアーナは毎日、怯え生活をしていたので御座います。それに気が付いたランバルド殿下がマリアーナをシンシアよりお救い下さったので御座います。妹を虐める醜いシンシアよりも、愛くるしく心優しいマリアーナをランバルド殿下が好意を寄せるのは誰にも止められません。私共も、愛する2人が一緒になる方が幸せだと思いシンシアとランバルド殿下との婚約を解消し、マリアーナとの婚約を了承致しました。しかし、愛するランバルド殿下を取られたシンシアが、嫉妬からマリアーナに酷い事をするのではと思い、心を鬼にしシンシアを勘当したので御座います。」
「ほう、シンシア嬢が虐待とな…。もしそれが誠なら婚約破棄も頷けよう。だが、ランバルド。余がそなたとシンシア嬢を婚約させる時に告げた事は勿論覚えておるよのう?」
ランバルドは考えた。
何か大切な言われた気がするが、それが何だったのか思い出せない。
その後、母上にも、同じ事を言われたのは覚えているが、何度も煩いと思って聞き流した。
もう10年も前の事だ。
思い出せなくても仕方ないじゃないか。
一方、国王のランバルドへの問いでジラルダは思い出した。
『や、やばい。私は何故忘れていたのだ。シンシアを直ぐに連れ戻さなければ、俺は大変な事になる!』
「こ、国王陛下。私は、愚かにも愛する娘シンシアを屋敷より追い出してしまいました。今思えば何故その様な恐ろしい事が出来たのか…。あぁ直ぐにでも、私の愛する娘シンシアを探し出し、連れ戻さなせれば。陛下、どうか御前を失礼する事をお許し頂きたいのですが…」
「あなた、突然何を言っているの?やっと邪魔者が居なくなったと喜んでいたじゃないの!」
「そうよ、お父様。なぜあんな邪魔な女を連れ戻すなんて言うのよ!」
「うるさい、黙れ!俺の可愛いシンシアを悪く言うなっ!お前達のせいでシンシアは………」
3人は国王陛下の御前だというのに言い合いを始めた。
どうやらジラルダ侯爵は思い出したのだろう。
私がなぜランバルド殿下と婚約したのかを。
まあ今更思い出した所で、もう遅いのだけれどね。
国王陛下の合図で、私とレジーナ叔母様は謁見の間に姿を現した。
「シンシア!なぜお前が此処に居る!?」
「「「シンシア(お義姉様)」」」
レジーナ叔母様に直ぐに椅子が用意され、私は一段下がり横に立つ。
国王陛下と同じ玉座の高さに座る事が許される者。
つまりそれは国王陛下と同じ地位に居る者、もしくはそれ以上の立場の者になる。
「レジーナ王妃、この度は「レジーナ叔母様でしょう!もうそんなに畏まらないで頂戴な。あぁ貴女を、あの時に引き取っていれば、こんな辛い目にあわせずにすんだのに…」
「シ、シンシア嬢。レジーナ王妃から話しを聞いたのだが、わが息子ランバルドが、余の許可もなく勝手にシンシア嬢との婚約を解消したというのはまことの事か?」
「恐れながら国王陛下、婚約解消ではなく婚約破棄をされたので御座います。その上、ランバルド殿下は義妹のマリアーナと婚約するとわたくしに告げました。2人が婚約する為に、私の存在が邪魔だと、父であったジラルダ侯爵に勘当され屋敷を追い出されたので御座います。わたくしとしても、愛し合う二人の仲を引き裂くほど非道では御座いませんが、婚約破棄の理由が、わたくしの義妹への虐待と身に覚えの無い事でしたので、ランバルド殿下にお伝えしたところ信じては頂けませんでした。国王陛下、ランバルド殿下との婚約破棄は、わたくしもお受けいたしたいと存じます。」
「長年に渡り、シンシアは、ジラルダ侯爵家で虐待を受けていた。ドレンホス国王、私はシンシアの事を頼むとお願いしたはずだったが…私の願いをそなたは聞いておらなかったのか?なんの為に、お主の息子とシンシアを婚約させたのかのう?そなたの息子も王族で在りながら王命の責務を果たせぬとはのう。」
それを聞いていた国王陛下の顔は青ざめたが、直ぐに怒りで顔を赤くし、側近にランバルド殿下とジラルダ侯爵家の者達を王宮に連れて来る様に命じた。
4人が王宮に連れて来られるまでの間、私とレジーナ叔母様は、ゆっくりと美味しいお茶を飲んで待つ事にした。
少しすると、ランバルド殿下達が謁見の間に到着したとの知らせが入る。
私達は、王の謁見の間の隣にある控え室にて中の様子を伺っていた。
「面を上げよ。さてランバルド、少しおかしな話を聞いたのだが、余に許可もなくシンシア・ジラルダ侯爵令嬢との婚約を破棄したとか。まさか余に許可なく、その様な愚かな行いなど…「父上!シンシアは、ここに居るシンシアの義妹であるマリアーナを虐待していたのです。そんな愚かな者は、王族である私の婚約者には相応しくありません。よって私はシンシアとの婚約は破棄しましたが、父上の希望であるジラルダ侯爵家との縁はそのままに、次女であるマリアーナと結婚したいと思っております。父上には事後報告になってしまいましたが、私がジラルダ侯爵家へ婿入する事に変わりありません。私は、マリアーナ・ジラルダを心より愛しております。どうか私とマリアーナの婚約をお許し下さい!」
国王陛下は、ランバルドの言葉に返事をする事なく、ジラルダ侯爵の方に目線を移した。
「……さてジラルダ。お主は、娘であるシンシア嬢を、ランバルドとの婚約を破棄させ、ジラルダ侯爵家から除籍し、屋敷から着の身着のままで金銭も渡さずに追い出したと聞いたのだが、それに間違いないか?」
「恐れながら、我が娘であったシンシアは、妹であるマリアーナを虐待しておりました。マリアーナは毎日、怯え生活をしていたので御座います。それに気が付いたランバルド殿下がマリアーナをシンシアよりお救い下さったので御座います。妹を虐める醜いシンシアよりも、愛くるしく心優しいマリアーナをランバルド殿下が好意を寄せるのは誰にも止められません。私共も、愛する2人が一緒になる方が幸せだと思いシンシアとランバルド殿下との婚約を解消し、マリアーナとの婚約を了承致しました。しかし、愛するランバルド殿下を取られたシンシアが、嫉妬からマリアーナに酷い事をするのではと思い、心を鬼にしシンシアを勘当したので御座います。」
「ほう、シンシア嬢が虐待とな…。もしそれが誠なら婚約破棄も頷けよう。だが、ランバルド。余がそなたとシンシア嬢を婚約させる時に告げた事は勿論覚えておるよのう?」
ランバルドは考えた。
何か大切な言われた気がするが、それが何だったのか思い出せない。
その後、母上にも、同じ事を言われたのは覚えているが、何度も煩いと思って聞き流した。
もう10年も前の事だ。
思い出せなくても仕方ないじゃないか。
一方、国王のランバルドへの問いでジラルダは思い出した。
『や、やばい。私は何故忘れていたのだ。シンシアを直ぐに連れ戻さなければ、俺は大変な事になる!』
「こ、国王陛下。私は、愚かにも愛する娘シンシアを屋敷より追い出してしまいました。今思えば何故その様な恐ろしい事が出来たのか…。あぁ直ぐにでも、私の愛する娘シンシアを探し出し、連れ戻さなせれば。陛下、どうか御前を失礼する事をお許し頂きたいのですが…」
「あなた、突然何を言っているの?やっと邪魔者が居なくなったと喜んでいたじゃないの!」
「そうよ、お父様。なぜあんな邪魔な女を連れ戻すなんて言うのよ!」
「うるさい、黙れ!俺の可愛いシンシアを悪く言うなっ!お前達のせいでシンシアは………」
3人は国王陛下の御前だというのに言い合いを始めた。
どうやらジラルダ侯爵は思い出したのだろう。
私がなぜランバルド殿下と婚約したのかを。
まあ今更思い出した所で、もう遅いのだけれどね。
国王陛下の合図で、私とレジーナ叔母様は謁見の間に姿を現した。
「シンシア!なぜお前が此処に居る!?」
「「「シンシア(お義姉様)」」」
レジーナ叔母様に直ぐに椅子が用意され、私は一段下がり横に立つ。
国王陛下と同じ玉座の高さに座る事が許される者。
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