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執務室に移動し、書類に目を通していると、離婚届の準備が出来たと執事のイルスが呼びに来る。

「奥…お嬢様、やっとで御座いますね」

「ふふっイルス、気が早いわよ。まだ離婚届が受理されていないのだから、一応まだ奥様よ」

「そうで御座いました。署名後は、我が家で1番の早馬で役所に届けさせます」

「頼んだわよ!」

居間に入るとリンベルとジェンナが手を握り笑っているのが見えた。

「離婚届が準備出来たと聞きましたが?」

「ああ俺は、もう既に署名した。あとはお前が署名すれば、全て終わりだ」

私は席に着くと、イルスに渡されたペンで署名する。

書き終えた離婚届をイルスが確認し、間違いがないと確認すると直ぐに使用人に渡し役所に届ける様に指示を出した。

イルスは早馬に乗り、使用人が門を出たのを窓から確認する。

それと入れ違いで馬車が入って来た。

アモス伯爵家の馬車だ。

馬車から降りたアモス伯爵は、使用人が制止するのも振り切ってノックもせずに居間へと走って入って来た。

「リンベルっ!離婚とはどういう事だぁー!!」

凄い剣幕でリンベルに向かって行く。

「ち、父上。お、落ち着いて下さい。おい、父上にお茶を淹れろ」

たが使用人は、誰も動かない。

「聞こえないのか?父上にお茶を淹れろと言っているのだ」

それでも誰も動かない。

ジェンナは、仕方なくお茶を淹れてアモス伯爵に出す。

お茶を差し出した侍女ジェンナの顔を見たアモス伯爵は驚愕した。

「お、お前…なぜ、なぜお前がここに居るんだ!?ま、まさか、リンベル、お前達は、別れていなかったのかっ!?」

息子が不貞を働いていたと理解し、激怒したアモス伯爵は、リンベルの胸ぐらを掴み殴り付けた。

「お前は、お前は、わしを騙していたのかっ!
ミシェルと結婚出来たのは誰のお陰だと思っているのだ!お前なんぞが、結婚出来る相手ではなかったのだぞっ!それを、よくもわしの顔に泥を塗りおってっ!!」

アモス伯爵の怒りは収まらず、リンベルに跨がり殴り付けていた。

「ち、父上、や、止めて下さい!!いた、痛いですー!!」

「アモス伯爵。それ以上は、お止め下さいませ。絨毯が血で汚れてしまいますわ」

この絨毯、高かったのよね。
リンベルへの慰謝料に上乗せしても良いかしら?

そこに先程の使用人が戻り、無事に離婚届が受理された事を告げた。
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