まさか貴方も!?

山葵

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行きたくないと思っていても、嫌でも寝れば登城する日はやって来る。

頭が痛い!お腹が痛い!気持ちが悪い!と言ってみようか…。

でもなぁー謁見する日が延びるだけで、婚約がなくなるわけではないのだ。

えぇーい!女は度胸だっ!!

「まぁシュリアーナお嬢様、今日はお早いお目覚めなのですね!第一王子殿下とお会いするのが楽しみで眠れなかったのですか?」

いつもは起こさないと起きない私が自ら起きていたせいか、侍女のリリーは、私がカルラス殿下に会うのが楽しみで早起きしたと勘違いしている様だ。

逆だから、登城するのが憂鬱で眠れなかっただけだからね。
はっきり言って寝不足です!

「皆様と朝食を済まされましたら、登城の準備に掛かる予定です。今日は、この前よりも更に可愛く仕上げますね♪」

リリーの気合いの入れ様に、いつも通りで普通で良いから。なんなら手抜きしても良いよ!なんて言えないよね…。


はい、もう磨きに磨かれ、髪も肌もツヤツヤになりましたよ!
私6歳よ。元から髪も肌もツヤツヤなのに、もうツヤツヤピカピカよ。

(おぉ~!なんて凄いの侍女達。)

「シュリ~なんて可愛いんだぁ~。カルラス殿下にやるのは勿体ないなぁ~」

「あなた、シュリが可愛いのは分かりますが、そんな事を言ったら不敬になりますわよ。」

「シュリ、シュリ、僕のシュリ!無理して嫁ぐ必要は無いんだよ。いつまでもリレッセロ家で兄様と一緒に暮らそう!」

「ルイ!あなたまでお父様と同じにならないで!そんな事を言っていると貴方の婚約者が見つかりませんよ!」

お母様は、呆れた様にお父様とルイお兄様を見ていた。

「さぁシュリ、こんな2人は放っておいて出掛けましよう!」

私達が歩き出すと、お父様は我に返り慌てて付いてきた。
今日もルイお兄様はお留守番だ。

馬車で揺れる事20分、着いて欲しくない王宮に到着する。

嫌だぁー!カルラス殿下に会いたくない!と顔が強張ってしまったせいか、お父様とお母様は、私が緊張していると勘違いしているみたい。

「シュリ、お父様もお母様も一緒に居るから大丈夫よ。」とお母様に優しく抱き締められて、泣きそうになりながらも頑張らないと行けないと自分に言い聞かせる。

(大丈夫!私は小説の中のシュリアーナと違う。)

謁見室に通されると思っていたら、連れて行かれたのは応接室。

国王陛下、王妃殿下、カルラス殿下が先に応接室で私達を待っていたのには驚いた。

慌てて礼をしようとする私達に国王陛下は「待っていたぞ!ジェル。あぁ礼は良い。」と友達と話している様な態度に更に驚く。

「あぁ~クラリス!もう貴方ったら全然会いに来てくれないんだもの、寂しかったわぁ~!」と王妃殿下は、お母様に抱きついている。

そして私をジッと見つめるカルラス殿下。
その瞳が、泣きそうに見えるのはなぜなのかしら?
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