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「大神官長様!!大変です。空が、空がぁー!」

神に祈りを捧げていた大神官長は、慌て叫ぶ神官を見て、更に悪い事が起きたのかと消沈した。

「突然、空に光が差し出し魔物の動きが弱り、全ての魔物を倒せたそうです!」

大神官長は、神官の言葉に慌て神殿の外に出る。

「おお、結界が、結界が張られておる。聖女様が、聖女様が我らを救って下さった。聖女様は、我らを見捨てられてはいなかったのだ。ああ神よ、聖女様を疑った事をお詫び致します。そして心から感謝致します。」



王宮でも宰相が慌てていた。

「陛下。全ての魔物が無事に退治されたと騎士団長から連絡がありました。」

「な、何?全ての魔物がか!?」

「はい。急に黒い雲が消え去り光が差すと魔物が弱ったとの事です。神殿からの報告よりますと結界が復活したとの事。聖女様が結界を張り直して下さったとの報告を受けております。」

「聖女が?やはり聖女は、この国を出てはいなかったのか。直ぐに聖女を神殿から連れて来る様に騎士団に伝えろ。この状況になるまで姿を現さず隠れておって。余に謝罪も無しとはっ!!」

宰相は、そこは怒る所ではなく、感謝する所だと陛下に進言したかったが、今はそれどころではない。

「それが聖女様は神殿には現れていないとの事です。
何処からか結界を張って下さっている様で、それが何処からなのか、まだ分かっていないとの事です。」

その後も、国王は、聖女を探し出す様に言ったが、宰相も大神官長もそれを止めた。

もし聖女が王都への召還を拒み、結界を解き、逃げて隠れてしまえば、また暗雲の世界に戻ってしまう。
そうなれば今度こそ国が終わりを告げる事になると、国王を説得した。

今回の事で国王に不信感を抱いた国民が、同じ事が起これば暴動が起こるかもしれないと告げられると、国王もさすがに聖女探しを断念するより無かった。


さてさてバーロック侯爵家は、どうなったかというと、聖女探しに多額の資金を掛けたが見付からず、今回の騒動で一番被害が大きかった。
復興するにも資金がなく、没落し、爵位返上。
その後、バーロックも妻も不治の病に掛かり帰らぬ人となった。

同じ頃、筆頭侯爵家のビルダー侯爵家も、領地の被害がバーロック侯爵家並みに酷く財政難に陥っていた。そして夫妻も不治の病に掛かり苦しみながら儚くなった。
新しく当主になった子息は、ロビンにそっくりな顔をしていた。
彼は、魔法の能力も、頭脳も、素行も悪く、筆頭侯爵家ビルダーの未来は暗い。

そして何故か国王と側妃までも…。



デイジー達は、森を出て家に戻っていた。

アリッサの腕の中には産まれて間もない男の子が抱かれていた。
その子は、ランスと名付けられた。

「ランスが大きくなる頃には、双子だからと我が子を捨てに来る馬鹿な貴族が居ない世の中になっていると良いねぇ。」

「もし捨てるなら、魔森じゃなくて、うちの前に捨てて行ってくれれば良いのに。そしたら、あたし達が育てるのにねぇ。そうだっ!あたし、新国王と神殿に手紙を書くわ。双子が産まれたら忌子として捨てたり、殺したら重罪に処すると法を定めろと、従わなければ、結界を消滅される!と脅すわ♪」

「「「怖い聖女様だ!」」」と皆で笑った。



End

*****

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