2 / 6
2
しおりを挟む
「大神官長様、た、大変です!せ、聖女様が、聖女様が倒れましたぁ!!」
神官長が、青ざめた顔をして慌てて報告にやって来た。
聖女は、人は癒す事が出来ても自分を癒す事は出来ない。
聖女が倒れたという事は、後1年で御隠れになるという事。
御隠れになる前に、新聖女を探しだし聖女として育てなければ、この国は危機に見舞われる。
大神官長は、直ぐに国王陛下に謁見のお伺いを申し入れた。
新たな聖女は、聖女が倒れた年に成人した娘だ。
聖女は、身分を問わない。
この国の今年16歳になり成人した女性全てが対象なのだ。
国王陛下は、直ぐに御触れを出す様に指示をした。
少しでも思い当たる者が居れば報告する様に!
国王陛下の御触れに眼の色を変えた貴族当主達は、成人を迎えた娘に変化がないか確認した。
平民に関しては、自分の領地から聖女が出れば!と直ぐに確認を始めさせる。
王都に住んでいる者は、神殿が調べた。
国王陛下の御触れにバーロック侯爵家でも、娘のロゼリアが聖女では?と魔法の変化が無いか調べるが、今までと変わりなく水魔法しか使えなかった。
「ねえ貴方。もしもよ、もしもあの時に始末した子が聖女だったなどという事はないわよね?もし、仮によ。始末した子が聖女ならば、この国は、いえ、私達は、どうなってしまうの?」
「死んだ者に聖女の力があるわけ無い。神も生きている者に力を与えるのだ。ロゼリアが聖女であればバーロック侯爵家は更に力を持てたのに。まあ良い。もしも聖女が平民であったなら、直ぐに養女として迎え入れれば良い話。」
バーロックは、聖女の継承の事など知るわけもない。
ただ神が、聖女が倒れた時に成人した娘の中から適当に選んで力を与えていると考えている。
産まれながらに聖女として命を授かったなどと思っていないのだ。
「聖女の力は、産まれながらに持っているものではないのね?なら安心したわ。そうよね、忌子として産まれた子が聖女の力を持っているはずなど無いわよね。」
「そうだ。忌み嫌われた忌子が聖女であるはずがない。お前も2度とその話しなどするなっ。どこで誰が聞いているのか分からん。我がバーロック侯爵家には、娘はロゼリアしか居ない。その事を知っているのは、私とお前だけなのだ。お前も余計な事を言ってバーロック侯爵家に傷を付けるならば、産婆や、使用人達の様に口封じするぞっ!!」
グロリアは、夫であるギブロンを見て「ヒッー!」と悲鳴をあげた。
彼ならば妻である私をも簡単に殺すのだろうと。
ギブロンは、己の為なら人を人とも思わない。
使える者は死ぬまでこき使い、要らなくなれば簡単に切り捨てる。
その為、王族、貴族に疎まれている。
ギブロンは、従者に「どこよりも早く聖女を探し出せ!バーロック侯爵家を馬鹿にした者達に頭を下げさせるのだ。金はいくら掛けても構わない。何が何でも探し出すのだっ!!」と叫んだ。
それから3ヶ月が過ぎたが、聖女は、見付かっていない。
「大神官長、まだ新聖女は、見付からぬのか?」
「どうやら貴族令嬢の中には居なかった様です。平民で今年、成人を迎える者を一人一人当たっておりますが、まだ見付かったとの報告は来てはおりません。もう暫く時間が掛かるかと…」
「何としても聖女が亡くなる前に見つけ出すのだ。」
「御意」
神官長が、青ざめた顔をして慌てて報告にやって来た。
聖女は、人は癒す事が出来ても自分を癒す事は出来ない。
聖女が倒れたという事は、後1年で御隠れになるという事。
御隠れになる前に、新聖女を探しだし聖女として育てなければ、この国は危機に見舞われる。
大神官長は、直ぐに国王陛下に謁見のお伺いを申し入れた。
新たな聖女は、聖女が倒れた年に成人した娘だ。
聖女は、身分を問わない。
この国の今年16歳になり成人した女性全てが対象なのだ。
国王陛下は、直ぐに御触れを出す様に指示をした。
少しでも思い当たる者が居れば報告する様に!
国王陛下の御触れに眼の色を変えた貴族当主達は、成人を迎えた娘に変化がないか確認した。
平民に関しては、自分の領地から聖女が出れば!と直ぐに確認を始めさせる。
王都に住んでいる者は、神殿が調べた。
国王陛下の御触れにバーロック侯爵家でも、娘のロゼリアが聖女では?と魔法の変化が無いか調べるが、今までと変わりなく水魔法しか使えなかった。
「ねえ貴方。もしもよ、もしもあの時に始末した子が聖女だったなどという事はないわよね?もし、仮によ。始末した子が聖女ならば、この国は、いえ、私達は、どうなってしまうの?」
「死んだ者に聖女の力があるわけ無い。神も生きている者に力を与えるのだ。ロゼリアが聖女であればバーロック侯爵家は更に力を持てたのに。まあ良い。もしも聖女が平民であったなら、直ぐに養女として迎え入れれば良い話。」
バーロックは、聖女の継承の事など知るわけもない。
ただ神が、聖女が倒れた時に成人した娘の中から適当に選んで力を与えていると考えている。
産まれながらに聖女として命を授かったなどと思っていないのだ。
「聖女の力は、産まれながらに持っているものではないのね?なら安心したわ。そうよね、忌子として産まれた子が聖女の力を持っているはずなど無いわよね。」
「そうだ。忌み嫌われた忌子が聖女であるはずがない。お前も2度とその話しなどするなっ。どこで誰が聞いているのか分からん。我がバーロック侯爵家には、娘はロゼリアしか居ない。その事を知っているのは、私とお前だけなのだ。お前も余計な事を言ってバーロック侯爵家に傷を付けるならば、産婆や、使用人達の様に口封じするぞっ!!」
グロリアは、夫であるギブロンを見て「ヒッー!」と悲鳴をあげた。
彼ならば妻である私をも簡単に殺すのだろうと。
ギブロンは、己の為なら人を人とも思わない。
使える者は死ぬまでこき使い、要らなくなれば簡単に切り捨てる。
その為、王族、貴族に疎まれている。
ギブロンは、従者に「どこよりも早く聖女を探し出せ!バーロック侯爵家を馬鹿にした者達に頭を下げさせるのだ。金はいくら掛けても構わない。何が何でも探し出すのだっ!!」と叫んだ。
それから3ヶ月が過ぎたが、聖女は、見付かっていない。
「大神官長、まだ新聖女は、見付からぬのか?」
「どうやら貴族令嬢の中には居なかった様です。平民で今年、成人を迎える者を一人一人当たっておりますが、まだ見付かったとの報告は来てはおりません。もう暫く時間が掛かるかと…」
「何としても聖女が亡くなる前に見つけ出すのだ。」
「御意」
94
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。

妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……

芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる