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「ラガン男爵令嬢。何度も申している様に、ここは学ぶ為の学園です。男漁…ご子息達と必要以上に話し、密着する場では有りませんよ。お分かりになったのならクーレン殿下の膝の上から降りなさい。周りのイソギンチャ…コホンッ、ご子息様達も、ラガン男爵令嬢が淑女らしからぬ行動をしたのならば注意するべきなのでは?勿論、ご子息様達も秩序を持った行動をして下さいませ…。婚約者の方々が心を傷めぬ様にお願い致しますわ!」

「ひ、酷ぉ~い!マリアが元平民だからって見下しているのねぇ~。クーレン様ぁ~マリア…この人、嫌ぁ~い!こ~んな顔して目を吊り上げちゃってぇ~」

マリアは、人を馬鹿にした様に、自分の目を指で引き上げて怖い顔してクーレン殿下達にして見せた。

「アハハ!マリア、ブラヴァス侯爵令嬢のマネかい?う~ん、そんな顔してもマリアの顔は可愛いね♡」

私や他の生徒の存在など気にならないのか、クーレン殿下は、マリアの頰を撫でている。
周りのイソギンチャクも、頭や肩を撫でて愛おしそうに笑っていた。

涙目に成りながらデレ顔の婚約者を見ていられずに立ち去るイソギンチャクの婚約者や何かを決意した表情の婚約者もいた。

「お姉様?」と可愛いマーガレットの声が聞こえて、私は直ぐに振り返り後ろの後景が見えない様にマーガレットに近付く。

こんな堕落な人達の姿を可愛いマーガレットには見せる必要がない。
こんな奴らの為に、可愛いマーガレットが傷付く必要など無いのだ。

出来るなら穏便に婚約解消されれば良いのに、こんな愚息でも情をかけて国王陛下が首を縦に振らないから。
マーガレットとの婚姻を望むので有れば、このクズ馬鹿王子を何とかして欲しい。
まぁ言っても聞かないから、こんなのが出来上がったのでしょうけれどね。

クズ馬鹿でもこの国の王族。
頭はどうにもならなくても、クズな行動は本人の問題。
王族だから何をしても許される訳では無い。
王族だからこそ、貴族達の手本になる様な行動をしなくては行けないのだ。

周りのご子息達も、クーレン殿下を嗜める事なく一緒に同じ事をする…将来、この国を支え、国王を支えて行く事を目指していた筈だったのに、マリアに関わった事で夢が途絶える。

それからも私はマリアの行動を何度も注意した。
いつからか誰かに階段で背中を押されたり、廊下で突き飛ばされたり、すれ違い樣に嫌味を言われたりもしたが、私はクズな方々へ注意するのを止めなかった。

私は間違った事はしていない。
マリアさんに貴族令嬢の嗜みを口にすれども、手や足は出していない。

忙しいお父様が珍しく早く帰宅された。

「シャーリア、大丈夫か?無理をしているのではないか?」

「無理ですか?これと言って…」

「マーガレットの為に行動するのは良いが、自分の身も考えないと行けない。王妃は自分の息子のクーレン殿下を溺愛している。はっきり言ってクーレン殿下の言い成りだ。最近のクーレン殿下は、お前の事が目障りな様だ。もちろん、私も我が娘に何か合っては黙っているつもりもない。陛下にも逐一報告はしている。ただ学園の中だけはどうにも出来ない。学園長もクーレン殿下の行動に何度も警告してくれているが、聞き入れて貰えず頭を悩ませているよ。まあ、これ以上の目に余る様な破廉恥な行動をすれば、殿下と言えど退学処分も有りと陛下には許可を貰っている。」

学園内は、どんなに高位貴族といえど従者や護衛騎士が付けられない。
その為、心配な親は低位貴族の子を幼少の頃から引取り育てる。

クーレン殿下の周りに居る者達は高位貴族の子息。
彼らは、殿下と同い年に生まれた幸運な子と親は喜んだ。
幼少より王子を学園内で守る側近となる様に勉強に武力に厳しく育てられた。

その親達も、今ではクーレン殿下と親しくさせた事を後悔しているらしい…。

とは言え、何を言っても王族。
クーレン殿下は、覚えているかは分からないけれど、学園内とはいえ影は付いている。
警備の薄い学園内での暗殺も有るかも知れないからね。

だから学園内のクーレン殿下の行動は、全て国王陛下も知っている。
知っているから、学園内でこれ以上の破廉恥な事をすれば退学処分も致し方無いと判断したのだ。

王族の者が学びの場の学園で…本当に馬鹿じゃないの?
本当にそんな事をするのであれば、ただのクズじゃない。
そんな男は私の可愛いマーガレットに相応しくない!

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