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「マリーナ嬢、貴女が妖精に愛されし者だったのですね」
「黙っていて、ごめんなさい。妖精王グリース様と誰にも言わないと約束したのです…」
エルド様と会うのも今日が最後になるかもしれない。
妖精に愛されし者など嫌に決まっている。
もう少しで屋敷にも着く。
最後はエルド様と笑って別れたい。
「エルド様。今まで私の様な者と仲良くして頂き、文通までしていただいて、ありがとう御座いました。どうかこれからもお身体に気を…「ちょ、ちょっと待って下さい!マリーナ嬢は何を言っているのですか?それではまるで、もう会わない様な言い方ではないですか?僕…マリーナ嬢に嫌われる様な事をしてしまいましたか?それなら謝ります」
「エルド様は何も悪い事をしていません。ただ私の様な者がエルド様の側に居ると他のご令嬢達も近寄って来れませんし…」
「僕は貴女以外の女性に近付かれては困ります。マリーナ嬢こそ綺麗なのですから僕よりお似合いの方が居るかもしれません。ですが、僕はマリーナ嬢と一緒に居たい。僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
『わぁ~とうとう言ったよ』
『マリーナおめでとう』
『俺のマリーナを…ぶっ飛ばして良いか?』
「私…私で良いのですか?」
「マリーナ嬢が良いのです。貴女が好きです」
マリーナはエルド様の言葉に喜び涙したが、ハッ!と家族の事を思い出す。
私は、ロザリオ侯爵家で使用人として生きてきた。
エルド様と結婚すると言って、あの人達が認めてくれるのだろうか?
もし嫌がらせで直ぐに勘当され放り出されたらエルド様とは結婚は出来ない。
マリーナは、エルド様に全てを話す事に決めた。
「エルド様、少し長くなるのですがお話したい事が御座います。屋敷ですと、いつお父様が帰ってくるか…」
「ならばアルス伯爵家で良いですか?」
私達は、侯爵家を通り過ぎアルス伯爵家へと向かった。
伯爵家の応接室で私は、今までの侯爵家の事を全て話した。
エルド様はうっすらと眼を赤くし聞いていた。
「…マリーナ嬢…辛い目に合いましたね…」
『エルドが泣いてるぞ』
『マリーナ泣かした』
「マリーナ嬢、僕はアルス伯爵家の次男です。このアルス伯爵家は兄上が継ぎます。まぁ本人は嫌がって居ますが…。お父様は、僕の為に子爵家の爵位もそのままにして貰って居ます。貴女が僕の所に嫁いできても何も問題はないのですが、貴女は家を出られた後の事を決められていたのではないですか?」
「…私は旅に出ようかと思っていました。ロザリオ侯爵家を出たらエルド様と一緒に居られないと思っておりました。ですが貴方と一緒に居られるのなら私は貴方と一緒に居たい」
私が、この国を出れば妖精達も減ってしまう。
妖精王もこの国から離れるかもしれない。
それでもエルド様が誰かと幸せになるのは見たくなかった。
だから、自分勝手だけれど自分を捨てた侯爵家や顔で選ぶ王太子の居る国などに未練など無かった。
エルド様は、従者に父上に話をしたいと伝えに行かせた。
戻って来た従者からアルス伯爵は執務室に居ると伝えられる。
執務室に入ると、伯爵はエルドの他に私も一緒に居る事に驚いた。
「父上、兄上、僕はマリーナ嬢と結婚をしたいと思います。どうか許可して下さい」
私達は、頭を下げて頼んだ。
「マリーナ嬢、我がアルス伯爵家は、この前まで子爵家であった家です。侯爵家の貴女が嫁ぐなど…」
「それなのですが…マリーナ嬢、話して良いですか?」
私は頷く。
エルド様は、私が先程話した事を伯爵に話した。
「まさか…そんな事が…」
伯爵もジルタ様も黙ってしまった。
「黙っていて、ごめんなさい。妖精王グリース様と誰にも言わないと約束したのです…」
エルド様と会うのも今日が最後になるかもしれない。
妖精に愛されし者など嫌に決まっている。
もう少しで屋敷にも着く。
最後はエルド様と笑って別れたい。
「エルド様。今まで私の様な者と仲良くして頂き、文通までしていただいて、ありがとう御座いました。どうかこれからもお身体に気を…「ちょ、ちょっと待って下さい!マリーナ嬢は何を言っているのですか?それではまるで、もう会わない様な言い方ではないですか?僕…マリーナ嬢に嫌われる様な事をしてしまいましたか?それなら謝ります」
「エルド様は何も悪い事をしていません。ただ私の様な者がエルド様の側に居ると他のご令嬢達も近寄って来れませんし…」
「僕は貴女以外の女性に近付かれては困ります。マリーナ嬢こそ綺麗なのですから僕よりお似合いの方が居るかもしれません。ですが、僕はマリーナ嬢と一緒に居たい。僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
『わぁ~とうとう言ったよ』
『マリーナおめでとう』
『俺のマリーナを…ぶっ飛ばして良いか?』
「私…私で良いのですか?」
「マリーナ嬢が良いのです。貴女が好きです」
マリーナはエルド様の言葉に喜び涙したが、ハッ!と家族の事を思い出す。
私は、ロザリオ侯爵家で使用人として生きてきた。
エルド様と結婚すると言って、あの人達が認めてくれるのだろうか?
もし嫌がらせで直ぐに勘当され放り出されたらエルド様とは結婚は出来ない。
マリーナは、エルド様に全てを話す事に決めた。
「エルド様、少し長くなるのですがお話したい事が御座います。屋敷ですと、いつお父様が帰ってくるか…」
「ならばアルス伯爵家で良いですか?」
私達は、侯爵家を通り過ぎアルス伯爵家へと向かった。
伯爵家の応接室で私は、今までの侯爵家の事を全て話した。
エルド様はうっすらと眼を赤くし聞いていた。
「…マリーナ嬢…辛い目に合いましたね…」
『エルドが泣いてるぞ』
『マリーナ泣かした』
「マリーナ嬢、僕はアルス伯爵家の次男です。このアルス伯爵家は兄上が継ぎます。まぁ本人は嫌がって居ますが…。お父様は、僕の為に子爵家の爵位もそのままにして貰って居ます。貴女が僕の所に嫁いできても何も問題はないのですが、貴女は家を出られた後の事を決められていたのではないですか?」
「…私は旅に出ようかと思っていました。ロザリオ侯爵家を出たらエルド様と一緒に居られないと思っておりました。ですが貴方と一緒に居られるのなら私は貴方と一緒に居たい」
私が、この国を出れば妖精達も減ってしまう。
妖精王もこの国から離れるかもしれない。
それでもエルド様が誰かと幸せになるのは見たくなかった。
だから、自分勝手だけれど自分を捨てた侯爵家や顔で選ぶ王太子の居る国などに未練など無かった。
エルド様は、従者に父上に話をしたいと伝えに行かせた。
戻って来た従者からアルス伯爵は執務室に居ると伝えられる。
執務室に入ると、伯爵はエルドの他に私も一緒に居る事に驚いた。
「父上、兄上、僕はマリーナ嬢と結婚をしたいと思います。どうか許可して下さい」
私達は、頭を下げて頼んだ。
「マリーナ嬢、我がアルス伯爵家は、この前まで子爵家であった家です。侯爵家の貴女が嫁ぐなど…」
「それなのですが…マリーナ嬢、話して良いですか?」
私は頷く。
エルド様は、私が先程話した事を伯爵に話した。
「まさか…そんな事が…」
伯爵もジルタ様も黙ってしまった。
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