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「ご機嫌ようエルド様。本日は一体どうされたのですか?」
エルド様は、挨拶をする私を見ると一瞬固まった様に動かない。
「マ、マリーナ嬢が、て、手紙で1人で行くと書いてあったので、もし宜しければ…あ、あの僕で良ければご一緒しても?」
「エルド様の御迷惑でなければ、どうぞ宜しくお願い致します」
私は皆に見送られ、エルド様と共に王宮へと向かう。
馬車の中でエルド様は、私の方を向いてくれず窓の外を眺めてばかりいる。
「エルド様。ご気分が悪いのですか?具合が悪いのでしたら屋敷にお戻りになられた方が…」
「い、いや気分は悪くないです」
「でしたら私と話したく無いのですか?では、ここで降ります。停めて下さい!」
『マリーナを泣かした!』
『コイツ懲らしめて良いよな?』
「ち、違います!その…マリーナ嬢があまりにも綺麗で…すみません。僕の様な者が…」
「私が綺麗ですか?」
「綺麗です!とても綺麗です!!」
「本当に?」
「本当です!!」
「ありがとうございます」
エルド様に綺麗と褒められるのは誰よりも嬉しく思う。
これが恋なのだろうか?
いつかは諦めなければならない恋だけれど…今だけはエルド様、貴方を好きで居させて下さい。
「マリーナ嬢?」
「エルド様。茶会の日に私に話し掛けて下さり、ありがとうございます」
エルド様は、照れた顔をして笑ってくれた。
王宮に着いてもエルド様は、私をエスコートしてくれる。
このまま私と一緒に居てはエルド様がご令嬢達に要らぬ誤解をされてしまうかもしれない。
折角の出逢いを私のせいで失くしてしまう。
私は化粧室に行く振りをしてエルド様の側を離れる。
「あれ?君は誰ぇ?君みたいな美人な令嬢いたかなぁ~?」
1人廊下を歩く私は、すれ違い様に腕を掴まれる。
痛い!誰と聞く貴方こそ誰!?
「王太子殿下…」
「う~ん、やっぱり見た事ないやぁ~。君、婚約者選びの茶会に来てなかったよね~?何で来なかったのぉ~?来ていたら僕は間違いなく君を選んだのになぁ~」
はぁ?何を言っているのだ、この人は!?
今日は、あなたとアイリスの婚約発表の日でしょう!?なぜ、この人は今私を口説いているのだ?
こんな人が王太子なの?この国の未来は大丈夫?
「そうだぁ!君さぁ~俺の側室にしてあげるよぉ~。さっき婚約発表しちゃったからさぁ~する前だったら正妻にしてあげれたんだけれどなぁ~。残念!でも君だったら側室でも、俺がたぁ~ぷり愛してあげるから心配しなくても大丈夫だよぉ~」
「け、結構です!お断り致します!!」
腕を振り払い、先に進もうとするが、王太子は、また私の腕を掴み無理矢理引っ張って空いている部屋へと連れ込んだ。
「王太子殿下!?あなた方の晴れの日に何をするおつもりですか!?」
「君が悪いんだよぉ~。俺が側室にしてあげると言っているのに断るからさぁ~。嫌がるなら既成事実を作ってしまおうかと思ってねぇ~♪」
「な、何を馬鹿な事を!貴方はこの国の王太子なのですよ!!」
「だから~俺が望んだ物で手に入らない物はないんじゃないかぁ~。俺はねぇ~君が欲しいんだよぉ~」
『なんて愚かな…。これが此の国の王太子とは…』
「グリース様…」
『マリーナ。お前が止めても私は、こやつに制裁を下すぞ』
「構いません。この様な人が国王になるなど在ってはなりません」
「お前、何をブツブツ言っているのだ?」
「貴方は妖精王グリース様を怒らせました」
「はぁぁ?何を言っ…!?ま、まさか、お前が妖精に愛されし者?ア、アイリスじゃなかったのか!?えっ?妖精王が怒ってる!?」
妖精王は、王太子に手を翳し吹っ飛ばした。
怒りを含んだ威力は凄まじく、王太子は壁を突き破りパーティー会場まで飛んでいった。
突然、気絶した王太子が壁を突き破り飛んで来た事で会場は大騒ぎになっている。
このままこの部屋に居ては不味いと急いで会場へと戻り何食わぬ顔をして騒ぎを見ていた。
「グリース様。王太子は、死んではいないのですよね?」
『死んではおらん。だが、頭は間違いなく死んだなっ』
気絶する王妃様。
泣き叫ぶアイリス。
倒れそうになりながらも気丈に指示を出す国王。
オロオロする両親。
遠目で見ている貴族達。
パーティーは、勿論お開きとなった。
エルド様は、挨拶をする私を見ると一瞬固まった様に動かない。
「マ、マリーナ嬢が、て、手紙で1人で行くと書いてあったので、もし宜しければ…あ、あの僕で良ければご一緒しても?」
「エルド様の御迷惑でなければ、どうぞ宜しくお願い致します」
私は皆に見送られ、エルド様と共に王宮へと向かう。
馬車の中でエルド様は、私の方を向いてくれず窓の外を眺めてばかりいる。
「エルド様。ご気分が悪いのですか?具合が悪いのでしたら屋敷にお戻りになられた方が…」
「い、いや気分は悪くないです」
「でしたら私と話したく無いのですか?では、ここで降ります。停めて下さい!」
『マリーナを泣かした!』
『コイツ懲らしめて良いよな?』
「ち、違います!その…マリーナ嬢があまりにも綺麗で…すみません。僕の様な者が…」
「私が綺麗ですか?」
「綺麗です!とても綺麗です!!」
「本当に?」
「本当です!!」
「ありがとうございます」
エルド様に綺麗と褒められるのは誰よりも嬉しく思う。
これが恋なのだろうか?
いつかは諦めなければならない恋だけれど…今だけはエルド様、貴方を好きで居させて下さい。
「マリーナ嬢?」
「エルド様。茶会の日に私に話し掛けて下さり、ありがとうございます」
エルド様は、照れた顔をして笑ってくれた。
王宮に着いてもエルド様は、私をエスコートしてくれる。
このまま私と一緒に居てはエルド様がご令嬢達に要らぬ誤解をされてしまうかもしれない。
折角の出逢いを私のせいで失くしてしまう。
私は化粧室に行く振りをしてエルド様の側を離れる。
「あれ?君は誰ぇ?君みたいな美人な令嬢いたかなぁ~?」
1人廊下を歩く私は、すれ違い様に腕を掴まれる。
痛い!誰と聞く貴方こそ誰!?
「王太子殿下…」
「う~ん、やっぱり見た事ないやぁ~。君、婚約者選びの茶会に来てなかったよね~?何で来なかったのぉ~?来ていたら僕は間違いなく君を選んだのになぁ~」
はぁ?何を言っているのだ、この人は!?
今日は、あなたとアイリスの婚約発表の日でしょう!?なぜ、この人は今私を口説いているのだ?
こんな人が王太子なの?この国の未来は大丈夫?
「そうだぁ!君さぁ~俺の側室にしてあげるよぉ~。さっき婚約発表しちゃったからさぁ~する前だったら正妻にしてあげれたんだけれどなぁ~。残念!でも君だったら側室でも、俺がたぁ~ぷり愛してあげるから心配しなくても大丈夫だよぉ~」
「け、結構です!お断り致します!!」
腕を振り払い、先に進もうとするが、王太子は、また私の腕を掴み無理矢理引っ張って空いている部屋へと連れ込んだ。
「王太子殿下!?あなた方の晴れの日に何をするおつもりですか!?」
「君が悪いんだよぉ~。俺が側室にしてあげると言っているのに断るからさぁ~。嫌がるなら既成事実を作ってしまおうかと思ってねぇ~♪」
「な、何を馬鹿な事を!貴方はこの国の王太子なのですよ!!」
「だから~俺が望んだ物で手に入らない物はないんじゃないかぁ~。俺はねぇ~君が欲しいんだよぉ~」
『なんて愚かな…。これが此の国の王太子とは…』
「グリース様…」
『マリーナ。お前が止めても私は、こやつに制裁を下すぞ』
「構いません。この様な人が国王になるなど在ってはなりません」
「お前、何をブツブツ言っているのだ?」
「貴方は妖精王グリース様を怒らせました」
「はぁぁ?何を言っ…!?ま、まさか、お前が妖精に愛されし者?ア、アイリスじゃなかったのか!?えっ?妖精王が怒ってる!?」
妖精王は、王太子に手を翳し吹っ飛ばした。
怒りを含んだ威力は凄まじく、王太子は壁を突き破りパーティー会場まで飛んでいった。
突然、気絶した王太子が壁を突き破り飛んで来た事で会場は大騒ぎになっている。
このままこの部屋に居ては不味いと急いで会場へと戻り何食わぬ顔をして騒ぎを見ていた。
「グリース様。王太子は、死んではいないのですよね?」
『死んではおらん。だが、頭は間違いなく死んだなっ』
気絶する王妃様。
泣き叫ぶアイリス。
倒れそうになりながらも気丈に指示を出す国王。
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