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ロバート様はお父様に挨拶と祝辞を述べる。
「今日は、セザンヌの婚約者としてヒビト殿とマリア嬢の結婚式に参列させて頂きました」
「「「「こ、婚約者!?」」」」
「私は聞いていないぞ?」
「傷者の貴女に婚約者なんて、どういう事なの!?」
「ちょっとお義姉様!!今、気が付きましたが、そのドレスはブリアンナ様の所の新作ドレスでは無いですか!?なぜ領地へ引き込もっていたお義姉様がブリアンナ様の新作ドレスを着ているの!?」
あー次から次へと五月蝿いですわね!
「お父様、わたくしの誕生日を覚えておりますか?」
「お前の誕生日?えぇーっと来月?再来月の20日?21日だったか?」
「わたくしの誕生日は6月18日。昨日が、わたくしの誕生日でしたわ。では、わたくしの歳は、お分かりですか?」
「ん?マリアの1つ上?2つか?」
「はぁー。昨日で18歳になりました。つまり昨日で わたくしは成人しましたのよ。わたくしが自分の意思で婚約しても何の問題も御座いませんわよね?」
「そ、そうだが親の私に何の相談もなく…」
「1年前に、わたくしを王都から追い出し、その後は何の連絡も寄越さず、てっきり縁を切られたのかと思っておりましたわ。お父様は、この1年わたくしの事を思い出しましたか?」
「………」
「マリア。このドレスは貴女が言う様に、ブリアンナ様が、わたくしの為に作って下さった物です。ブリアンナ様は、気に入った方にはドレスを作る。気に入らなければ、どんなにお金を積まれ様と決して作らない。貴女はブリアンナ様に認められていない。それだけです」
「何よ、偉そうに!!お父様、もうセザンヌなんか要らないんだから除籍しましょう!」
「そうよ、あなた。マリアもヒビト様と結婚し、娘婿も出来たんだもの」
「あぁ…そうだな、そうしよう!」
はぁー。やはりお父様は忘れてしまったのね…。
「お父様…とても残念ですわ」
「今更、泣き付いても遅いぞ!スザンヌお前は除籍だ」
「わたくしは別に構いませんよ。ガルダナの娘でなくなるだけの事。寧ろ、感謝致しますわ」
「そうかっ!ならば即刻、除籍届けを出そう。ボランチ侯爵領の屋敷からも直ぐに出ていけ!!」
「はぁー。ガルダカ様、先程、わたくしは成人したと申し上げましたよね?」
周りで聞いていた高位貴族の方々は、そこである事に思い出しざわついている。
周りの貴族が気が付いたというのに、ガルダナは、まだ思い出していない様だ。
「ご都合の悪い事はお忘れになってしまう性格は、いい加減直した方がよろしいですよ。それともボケてしまわれたのかしら?ガルダナ様、良く聞いて思い出して下さいね。わたくしが成人した事によりボランチ侯爵の当主が変わりました。昨日から、わ、た、く、し、セザンヌが当主です」
お父様は、やっと思い出したのか顔が蒼白している。
「貴女が当主?何を言っているの!?」
「どういう事だよ、マリア!?僕を次期当主にしてくれると言ったじゃないか!だから僕はセザンヌから君に乗り換えたのだぞ」
「こ、この女が嘘を言っているのよ!」
「嘘など言っておりませんよ。ボランチ侯爵家は、元々わたくしのお母様の家。お父様は婿養子です。ボランチ侯爵家の当主は、母グレイスでしたのよ。その母が亡く前に次期当主をわたくしに譲ると書類に残し亡くなりました。成人するまで父であるガルダナが後見人として当主代理を務めると約束して。昨日、当主としての手続きを行いました」
「「「そ、そんな…」」」
「理解出来た様ですね。貴方達には即刻ボランチ侯爵家から出て行って貰います。今回の結婚式で使った費用は、ガルダナ様への手切れ金と義理とは言え妹だったマリアへの祝儀という事でボランチ侯爵家が負担しますわ!」
わたくしが合図すると、使用人が4人の荷物を持って入ってきた。
「これで貴方達は、わたくしとの縁が切れますわ。良かったですわね!では最後まで楽しくパーティーをお過ごし下さい。さぁ用事も済みましたし歓迎されない私達は帰りましょうか、ロバート様」
「セザンヌ。ボランチ侯爵家まで送ろう」
ロバート様が差し出した腕に手を差し入れ私は微笑み歩き出す。
他の貴族達も、私達の後に続き会場を後にする。
会場に残ったのは、顔面蒼白で座り込む4人と、ヒビト様の家族だけ。
「ヒビト、お前とは縁を切る。ボランチ侯爵家とダイナ伯爵家を敵に回すなど、我が家を潰すつもりかっ!」とヒビト様に告げて帰って行ったそうだ。
1年振りの我が家。
「おかえりなさいませ!」
「セバス、心配を掛けました。それでネズミは駆除は出来たのかしら?」
「はい。この屋敷に当主に噛み付くネズミはおりません」
「ありがとう。これからロバート様と2人でボランチ侯爵家を立て直すわ。貴方にも手伝って貰うから宜しくね」
「畏まりました」
お義母様と再婚されてから、我が家の資産はお義母様とマリアの散財のせいで大分減った。
「まだまだ遣る事は山積みね…」
机に向かい書類に眼を通すセザンヌの顔は母グレイスの様にとても美しく輝いていた。
END
*****
最後まで読んで頂き ありがとうございます。
「今日は、セザンヌの婚約者としてヒビト殿とマリア嬢の結婚式に参列させて頂きました」
「「「「こ、婚約者!?」」」」
「私は聞いていないぞ?」
「傷者の貴女に婚約者なんて、どういう事なの!?」
「ちょっとお義姉様!!今、気が付きましたが、そのドレスはブリアンナ様の所の新作ドレスでは無いですか!?なぜ領地へ引き込もっていたお義姉様がブリアンナ様の新作ドレスを着ているの!?」
あー次から次へと五月蝿いですわね!
「お父様、わたくしの誕生日を覚えておりますか?」
「お前の誕生日?えぇーっと来月?再来月の20日?21日だったか?」
「わたくしの誕生日は6月18日。昨日が、わたくしの誕生日でしたわ。では、わたくしの歳は、お分かりですか?」
「ん?マリアの1つ上?2つか?」
「はぁー。昨日で18歳になりました。つまり昨日で わたくしは成人しましたのよ。わたくしが自分の意思で婚約しても何の問題も御座いませんわよね?」
「そ、そうだが親の私に何の相談もなく…」
「1年前に、わたくしを王都から追い出し、その後は何の連絡も寄越さず、てっきり縁を切られたのかと思っておりましたわ。お父様は、この1年わたくしの事を思い出しましたか?」
「………」
「マリア。このドレスは貴女が言う様に、ブリアンナ様が、わたくしの為に作って下さった物です。ブリアンナ様は、気に入った方にはドレスを作る。気に入らなければ、どんなにお金を積まれ様と決して作らない。貴女はブリアンナ様に認められていない。それだけです」
「何よ、偉そうに!!お父様、もうセザンヌなんか要らないんだから除籍しましょう!」
「そうよ、あなた。マリアもヒビト様と結婚し、娘婿も出来たんだもの」
「あぁ…そうだな、そうしよう!」
はぁー。やはりお父様は忘れてしまったのね…。
「お父様…とても残念ですわ」
「今更、泣き付いても遅いぞ!スザンヌお前は除籍だ」
「わたくしは別に構いませんよ。ガルダナの娘でなくなるだけの事。寧ろ、感謝致しますわ」
「そうかっ!ならば即刻、除籍届けを出そう。ボランチ侯爵領の屋敷からも直ぐに出ていけ!!」
「はぁー。ガルダカ様、先程、わたくしは成人したと申し上げましたよね?」
周りで聞いていた高位貴族の方々は、そこである事に思い出しざわついている。
周りの貴族が気が付いたというのに、ガルダナは、まだ思い出していない様だ。
「ご都合の悪い事はお忘れになってしまう性格は、いい加減直した方がよろしいですよ。それともボケてしまわれたのかしら?ガルダナ様、良く聞いて思い出して下さいね。わたくしが成人した事によりボランチ侯爵の当主が変わりました。昨日から、わ、た、く、し、セザンヌが当主です」
お父様は、やっと思い出したのか顔が蒼白している。
「貴女が当主?何を言っているの!?」
「どういう事だよ、マリア!?僕を次期当主にしてくれると言ったじゃないか!だから僕はセザンヌから君に乗り換えたのだぞ」
「こ、この女が嘘を言っているのよ!」
「嘘など言っておりませんよ。ボランチ侯爵家は、元々わたくしのお母様の家。お父様は婿養子です。ボランチ侯爵家の当主は、母グレイスでしたのよ。その母が亡く前に次期当主をわたくしに譲ると書類に残し亡くなりました。成人するまで父であるガルダナが後見人として当主代理を務めると約束して。昨日、当主としての手続きを行いました」
「「「そ、そんな…」」」
「理解出来た様ですね。貴方達には即刻ボランチ侯爵家から出て行って貰います。今回の結婚式で使った費用は、ガルダナ様への手切れ金と義理とは言え妹だったマリアへの祝儀という事でボランチ侯爵家が負担しますわ!」
わたくしが合図すると、使用人が4人の荷物を持って入ってきた。
「これで貴方達は、わたくしとの縁が切れますわ。良かったですわね!では最後まで楽しくパーティーをお過ごし下さい。さぁ用事も済みましたし歓迎されない私達は帰りましょうか、ロバート様」
「セザンヌ。ボランチ侯爵家まで送ろう」
ロバート様が差し出した腕に手を差し入れ私は微笑み歩き出す。
他の貴族達も、私達の後に続き会場を後にする。
会場に残ったのは、顔面蒼白で座り込む4人と、ヒビト様の家族だけ。
「ヒビト、お前とは縁を切る。ボランチ侯爵家とダイナ伯爵家を敵に回すなど、我が家を潰すつもりかっ!」とヒビト様に告げて帰って行ったそうだ。
1年振りの我が家。
「おかえりなさいませ!」
「セバス、心配を掛けました。それでネズミは駆除は出来たのかしら?」
「はい。この屋敷に当主に噛み付くネズミはおりません」
「ありがとう。これからロバート様と2人でボランチ侯爵家を立て直すわ。貴方にも手伝って貰うから宜しくね」
「畏まりました」
お義母様と再婚されてから、我が家の資産はお義母様とマリアの散財のせいで大分減った。
「まだまだ遣る事は山積みね…」
机に向かい書類に眼を通すセザンヌの顔は母グレイスの様にとても美しく輝いていた。
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