13 / 15
13、ハンター
しおりを挟む「一応確認させてもらうけど、君は最寄田静香さん……で間違いないよね?」
「は、はい……」
わたしは頷く。
「ふむ……四日目か、やっと出会うことが出来て良かったよ……」
茶色の髪をした青年は胸に手を当てて、爽やかにウインクをしてくる。なかなかに整った顔立ちをしている。短髪はきれいにセットされており、清潔さを感じさせる。まさに世の女性の多くにとって理想に近いイケメンだ。だがしかし……。
「……」
わたしは自然と距離を置こうとする。青年がそれに気が付いて、首を傾げる。
「うん? どうかした?」
「いや、なんというか……」
「ひょっとして……警戒をしている感じ?」
「ま、まあ、そうですね……」
一昨昨日の一昨日、一昨日の昨日、昨日の今日だし、しょうがないだろう。わたしは素直に頷くことにする。
「ふふっ……俺は決して怪しい者じゃないよ」
「そ、そうですかね⁉」
わたしは思わず大声を上げてしまう。ブレザー姿の高校生が集まっている中で、宇宙服を着ている男性は怪しい寄りだと思うが。ここは種子島宇宙センターではない。
「そうだよ。だからそんなに警戒をしないでくれ」
「……何故にわたしの名前を知っているんですか?」
「それはもちろん、君に用があるからだよ」
「よ、用があるって……もちろん個人差はあると思いますが、女子は宇宙にそこまで興味を持たないというか……宇宙飛行士さんにそこまで憧れはないというか……」
「! ははははは……!」
青年は声高らかに笑う。わたしはちょっとムッとしながら尋ねる。
「な、なにがおかしいんですか?」
「いや、悪いね……俺は宇宙飛行士じゃないよ。こういうものだ」
青年は宇宙服の左胸のマークを見せてくる。
「え? マー、マーク……? ええっと……?」
「ああ、俺のコードネームはデストロイ=ノリタカという。スペースポリスマンさ」
「ス、スペースポリスマン⁉」
わたしは思いがけないフレーズに驚く。
「そうだよ、ごくごく普通のね」
ノリタカと名乗った青年は髪をかき上げる。
「スペースポリスマンはごくごく普通ではありませんよ!」
「そうかい?」
「そうですよ! っていうか、初めて言いましたよ、そのフレーズ!」
「初めて?」
ノリタカさんは驚いて目を丸くする。
「ええ、初めてですよ!」
「トウキョウはこんなに大きな街だというのに?」
ノリタカさんは両手を大きく広げて、周囲を見回す。
「はい」
「近くにある新宿駅という場所はこの世界で一番の利用者数だと聞いたけど?」
「そ、それはそうらしいですけど……」
「それならば中にはいるだろう、スペースポリスマンの一人や二人くらい」
「ポ、ポリスマンは一杯いますけど、スペースはいないんじゃないですか……そんないちいち確認したりとかはしませんから知らないですけど」
「スペースポリスマンがいないって? ふむ、この日本という国……情報以上に治安が良いようだね……」
ノリタカさんは腕を組んで感心したように呟く。
「……あの、もういいですか? ホームルームが始まってしまいますので……」
わたしはその場から離れようとする。
「あ、ちょっと待ってくれ……!」
「はい?」
わたしは呼び止められ、振り返ってしまう。
「………」
ノリタカさんはなにやら取り出した機器を確認し、周囲を伺う。
「あ、あの……?」
「……うん、とりあえずは大丈夫のようだね」
ノリタカさんは頷く。
「は、はあ……?」
「……そうだな……放課後にまた話をしたいのだけど……お願い出来るかな?」
「え、ええ……」
わたしは露骨に困惑する。
「おや、困惑しているようだね。どうしてかな?」
「いや、どうしてかなって言われても……」
「まだ不信感は拭えていないかな?」
「不信感まみれですよ。大体コードネームってなんですか?」
「作戦を遂行する上での名前だよ」
「それはなんとなく分かりますが……本名は?」
「わけあってそれは明かせない」
「ええ……」
ノリタカだというから、日本系なのかな……。しかし、本名不詳のスペースポリスマンとは……どうしたものか……。
「……マズいかな?」
「いや、いいです。失礼します」
「待っているよ」
わたしは軽く会釈をし、その場を後にして、教室に向かう。夕方になり、ホームルームも終わる。この恥ずかしいイケメンと鉢合わせしたりしないように裏門から帰れば……。
「げっ……」
裏門から帰ろうとしたわたしは顔をしかめる。ノリタカさんが何故かいたからだ。
「やあ!」
「……何故ここに?」
「いや、俺もホームルームが早目に終わったからね……この辺りを調査していた」
ノリタカさんは機器を地面などにかざしながら歩き回っている。
「……そ、そういえば、もしかしてなんですけど……」
「ああ、俺はこの学園の転入生だよ」
「せ、制服が宇宙服で良いんですか?」
「特例で認めてもらったよ」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能だ。なんといってもスペースポリスマンだからね」
「はあ……調査って?」
「良い質問だ。異常がないかをチェックしていたんだ」
「い、異常ですか?」
「そうだ……お、異常反応……現れたな、エイリアンだ。さあ、共に迎撃しよう」
「はいいいいっ⁉」
ノリタカさんの提案にわたしは驚く。
「は、はい……」
わたしは頷く。
「ふむ……四日目か、やっと出会うことが出来て良かったよ……」
茶色の髪をした青年は胸に手を当てて、爽やかにウインクをしてくる。なかなかに整った顔立ちをしている。短髪はきれいにセットされており、清潔さを感じさせる。まさに世の女性の多くにとって理想に近いイケメンだ。だがしかし……。
「……」
わたしは自然と距離を置こうとする。青年がそれに気が付いて、首を傾げる。
「うん? どうかした?」
「いや、なんというか……」
「ひょっとして……警戒をしている感じ?」
「ま、まあ、そうですね……」
一昨昨日の一昨日、一昨日の昨日、昨日の今日だし、しょうがないだろう。わたしは素直に頷くことにする。
「ふふっ……俺は決して怪しい者じゃないよ」
「そ、そうですかね⁉」
わたしは思わず大声を上げてしまう。ブレザー姿の高校生が集まっている中で、宇宙服を着ている男性は怪しい寄りだと思うが。ここは種子島宇宙センターではない。
「そうだよ。だからそんなに警戒をしないでくれ」
「……何故にわたしの名前を知っているんですか?」
「それはもちろん、君に用があるからだよ」
「よ、用があるって……もちろん個人差はあると思いますが、女子は宇宙にそこまで興味を持たないというか……宇宙飛行士さんにそこまで憧れはないというか……」
「! ははははは……!」
青年は声高らかに笑う。わたしはちょっとムッとしながら尋ねる。
「な、なにがおかしいんですか?」
「いや、悪いね……俺は宇宙飛行士じゃないよ。こういうものだ」
青年は宇宙服の左胸のマークを見せてくる。
「え? マー、マーク……? ええっと……?」
「ああ、俺のコードネームはデストロイ=ノリタカという。スペースポリスマンさ」
「ス、スペースポリスマン⁉」
わたしは思いがけないフレーズに驚く。
「そうだよ、ごくごく普通のね」
ノリタカと名乗った青年は髪をかき上げる。
「スペースポリスマンはごくごく普通ではありませんよ!」
「そうかい?」
「そうですよ! っていうか、初めて言いましたよ、そのフレーズ!」
「初めて?」
ノリタカさんは驚いて目を丸くする。
「ええ、初めてですよ!」
「トウキョウはこんなに大きな街だというのに?」
ノリタカさんは両手を大きく広げて、周囲を見回す。
「はい」
「近くにある新宿駅という場所はこの世界で一番の利用者数だと聞いたけど?」
「そ、それはそうらしいですけど……」
「それならば中にはいるだろう、スペースポリスマンの一人や二人くらい」
「ポ、ポリスマンは一杯いますけど、スペースはいないんじゃないですか……そんないちいち確認したりとかはしませんから知らないですけど」
「スペースポリスマンがいないって? ふむ、この日本という国……情報以上に治安が良いようだね……」
ノリタカさんは腕を組んで感心したように呟く。
「……あの、もういいですか? ホームルームが始まってしまいますので……」
わたしはその場から離れようとする。
「あ、ちょっと待ってくれ……!」
「はい?」
わたしは呼び止められ、振り返ってしまう。
「………」
ノリタカさんはなにやら取り出した機器を確認し、周囲を伺う。
「あ、あの……?」
「……うん、とりあえずは大丈夫のようだね」
ノリタカさんは頷く。
「は、はあ……?」
「……そうだな……放課後にまた話をしたいのだけど……お願い出来るかな?」
「え、ええ……」
わたしは露骨に困惑する。
「おや、困惑しているようだね。どうしてかな?」
「いや、どうしてかなって言われても……」
「まだ不信感は拭えていないかな?」
「不信感まみれですよ。大体コードネームってなんですか?」
「作戦を遂行する上での名前だよ」
「それはなんとなく分かりますが……本名は?」
「わけあってそれは明かせない」
「ええ……」
ノリタカだというから、日本系なのかな……。しかし、本名不詳のスペースポリスマンとは……どうしたものか……。
「……マズいかな?」
「いや、いいです。失礼します」
「待っているよ」
わたしは軽く会釈をし、その場を後にして、教室に向かう。夕方になり、ホームルームも終わる。この恥ずかしいイケメンと鉢合わせしたりしないように裏門から帰れば……。
「げっ……」
裏門から帰ろうとしたわたしは顔をしかめる。ノリタカさんが何故かいたからだ。
「やあ!」
「……何故ここに?」
「いや、俺もホームルームが早目に終わったからね……この辺りを調査していた」
ノリタカさんは機器を地面などにかざしながら歩き回っている。
「……そ、そういえば、もしかしてなんですけど……」
「ああ、俺はこの学園の転入生だよ」
「せ、制服が宇宙服で良いんですか?」
「特例で認めてもらったよ」
「そんなことが可能なんですか?」
「可能だ。なんといってもスペースポリスマンだからね」
「はあ……調査って?」
「良い質問だ。異常がないかをチェックしていたんだ」
「い、異常ですか?」
「そうだ……お、異常反応……現れたな、エイリアンだ。さあ、共に迎撃しよう」
「はいいいいっ⁉」
ノリタカさんの提案にわたしは驚く。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる