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45、フローレス家のパーティー3

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「こんにちは、おくれました。ベティ様」
「クライド様、こんにちは。ようこそおいで下さいました」
 ベティは落ち込む心をごまかして、笑顔でクライドを迎えた。

「ベティ様、なんだか元気が無いようですが、いかがされましたか?」
 ベティは顔を赤くして、口元を手で隠した。
「クライド様は何でもお見通しですのね。恥ずかしいですわ」
 クライドは優しく微笑むと、ベティの手をとり口づけをした。

「悩み事でしたら、何かお役に立てるかも知れません。お話し下さい、ベティ様」
「……でも……」
 ベティが言葉を濁していると、ロージーが声を上げた。
「あの、バーニー達が来て、パーティーをメチャクチャにしそうになったんです」
「そうですか、ロージー。それは大変でしたね、ベティ様」
 
 ベティは悲しそうな表情でクライドに言った。
「私は皆でパーティーを楽しめれば良いと思っていたのですが……。現実は難しいですわね」
「ベティ様……」
 クライドとロージーは、心配そうにベティを見つめている。
「マナーを知らない者は、パーティーには参加できないでしょう」
 クライドは困ったという代わりに、ベティに微笑みかけた。

「出過ぎたことかも知れませんが、フローレス家と修道院がよろしければ、私の召使いに言って子ども達にマナーを教えるように致しましょうか?」
 ベティは驚いて顔を上げた。目の前にはクライドの真剣な目が輝いている。
「よろしいんですか? クライド様」
「ええ。物事にはルールが必要です」
 クライドはホールに目をやって、話し続ける。
「マナーを学べば子ども達も、もう少し良い暮らしが出来るかもしれませんし」

 ベティはクライドの言葉を聞くと顔をほころばせた。
「そうですわね。とても素敵なアイデアだと思いますわ。マナーを覚えていればパーティーに呼んでもお父様もお母様も困らないでしょうし」
 それを聞いてロージーは渋い顔をした。
「……素直にバーニー達が、言うことを聞けば良いんだけど……」
 クライドはロージーの頭を撫でた。
「それは、ウチの召使いが上手くやると思いますよ」

 クライドはベティをダンスに誘った。
「さあ、難しい顔はここまでです。パーティーを楽しみましょう、ベティ様」
「……そうですわね。ありがとうございます、クライド様」
 広間には音楽が鳴り響いていた。

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