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48、お城の注文
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あおいはポーションゼリーとエリクサー金平糖を十個ずつ作り終えるとため息をついた。
「ふう、やっと出来た! 品質も・・・・・・うん、上出来ね」
あおいは出来上がったゼリーとエリクサーを大きめのかごに入れた。
作業が終わったので一休みしていると、玄関のドアが叩かれた。
「こんにちは、あおい様。城からの注文です」
「はい、どうぞ」
あおいがドアを開けると、兵士二人が馬車から荷物を下ろしている。
「え!? どうしたんですか? その荷物は一体なんですか?」
「これは、明後日に開かれるお城のニューイヤーパーティーの食材です」
「えっと、状況が分からないんですが?」
あおいは困惑した。
「明後日の早朝までに、薬草クレープと生クリームのクレープを50個ずつ納品して頂きたいのです」
「え、そんなに急に!?」
「アレックス様が、パーティーにはクレープを並べたいと申されまして」
あおいは頭を抱えた。
「・・・・・・わかりました。えっと、材料を見せて頂けますか?」
あおいの言葉に兵士が頷いた。
「どれどれ?」
あおいは馬車から降ろされた牛乳や、小麦粉、卵、薬草を一つずつ確認した。どれも新鮮で品質も特上だった。
「では、この材料で薬草クレープと、生クリームクレープを作れば良いんですね」
「お願いできますか?」
「・・・・・・わかりました。作ります」
兵士達に笑顔が浮かんだ。
「それでは、二日後の早朝に取りに来ます」
「はい。それまでに作っておきますね」
あおいは兵士達を見送ると、残されたクレープの材料を台所に運んだ。
「うう、重い!」
やっと、すべての材料を台所に置き終わると、こんどは大量の卵を割ったり、粉をふるったりし始めた。
「うーん、合わせて百個。なんとかなるかな?」
あおいはクレープを焼く下ごしらえをして、早々に眠りについた。
翌日、早朝にケイスがやって来た。
「おはよう、あおいさん」
「おはようございます、ケイスさん」
あおいはケイスをダイニングに通すと、大きなかごを机の上に置いた。
「ポーションゼリーとエリクサー金平糖、出来てますよ」
「ありがとう! 助かるよ!」
あおいはにっこりと笑ってから、台所に戻った。
「あおいさんは、こんな早い時間から働いてるの?」
「えっと、今日は特別ですね。お城から、クレープの大量発注があったので」
「そっか。よかったら手伝おうか?」
「いいえ、大丈夫です」
あおいはケイスの申し出を断って、一人でクレープ生地を作り始めた。
「ちょっと作業を見てても良いかな?」
「どうぞ。お構いできませんが」
あおいはそう言いながら、卵と牛乳の液に小麦木を入れてチャカチャカとかき混ぜ始める。「ほー。手際良いね。さすがプロ」
「おだてても何も出てきませんよ」
あおいがクレープの生地を焼き始めると、ケイスのお腹が鳴った。
「あら、お食事まだなんですね。私もまだだから、よかったら一緒に食べますか?」
「いや、それは申し訳ないから遠慮しますよ」
ケイスはそう言ったが、おなかはグウグウと鳴り続けている。
「じゃあ、目玉焼きとチーズのオープンサンドを作りますね」
あおいはクレープの生地を焼く直前で作業を止め、朝食作りを始めた。
「切ったパンをトーストして、チーズのせ目玉焼きを乗せただけですが」
「美味しそうです。じゃあ、遠慮無くいただきます」
ケイスはあっという間にオープンサンドを食べてしまった。それを見て、あおいは慌てて冷蔵庫からドライフルーツの入ったパウンドケーキを取り出した。
「ドライフルーツのケーキもどうぞ」
「ありがとう、あおいさん。朝食代はいくらくらいかな?」
「そんな、あり合わせの物でお金をいただくわけには、いきませんよ」
あおいもオープンサンドを食べ終え、パウンドケーキをつまむと、またクレープ作りの作業に戻った。
「それじゃ、あおいさん、ごちそうさまでした。お仕事頑張って」
「はい、ケイスさん。ありがとう」
ケイスはあおいの家を出た。
「さてと、クリームと薬草のソテーを作って、クレープで包めば完成ね」
あおいはそう言って、台所と魔法の釜を行ったり来たりした。
おひるをすぎて三時の鐘が鳴る頃、ようやくクレープ作りが終わった。
「はー。疲れた。おもったより早くできたけど、この量は一人じゃ運べないな」
あおいは冷蔵庫に作ったクレープをしまうと、後片付けをしてから遅い昼食をとった。
「あしたは早いから、今日も早めに寝ようっと」
あおいがネル準備を始めようとしたとき、外から声がした。
「あおい様、城から手紙が届いております」
「はーい」
あおいはドアを開け、兵士から手紙を受け取った。
「あ、アレックス様からだ。新年のパーティーに是非来て下さい? え、私、ドレス一着しか持ってないんですけど!?」
あおいは衣装ダンスを見て、ため息を着いた。
「しかたない。またこのドレスを着ていこう」
あおいはパーティーに行く準備をしてから軽い夕食をとって寝ることにした。
「ふう、やっと出来た! 品質も・・・・・・うん、上出来ね」
あおいは出来上がったゼリーとエリクサーを大きめのかごに入れた。
作業が終わったので一休みしていると、玄関のドアが叩かれた。
「こんにちは、あおい様。城からの注文です」
「はい、どうぞ」
あおいがドアを開けると、兵士二人が馬車から荷物を下ろしている。
「え!? どうしたんですか? その荷物は一体なんですか?」
「これは、明後日に開かれるお城のニューイヤーパーティーの食材です」
「えっと、状況が分からないんですが?」
あおいは困惑した。
「明後日の早朝までに、薬草クレープと生クリームのクレープを50個ずつ納品して頂きたいのです」
「え、そんなに急に!?」
「アレックス様が、パーティーにはクレープを並べたいと申されまして」
あおいは頭を抱えた。
「・・・・・・わかりました。えっと、材料を見せて頂けますか?」
あおいの言葉に兵士が頷いた。
「どれどれ?」
あおいは馬車から降ろされた牛乳や、小麦粉、卵、薬草を一つずつ確認した。どれも新鮮で品質も特上だった。
「では、この材料で薬草クレープと、生クリームクレープを作れば良いんですね」
「お願いできますか?」
「・・・・・・わかりました。作ります」
兵士達に笑顔が浮かんだ。
「それでは、二日後の早朝に取りに来ます」
「はい。それまでに作っておきますね」
あおいは兵士達を見送ると、残されたクレープの材料を台所に運んだ。
「うう、重い!」
やっと、すべての材料を台所に置き終わると、こんどは大量の卵を割ったり、粉をふるったりし始めた。
「うーん、合わせて百個。なんとかなるかな?」
あおいはクレープを焼く下ごしらえをして、早々に眠りについた。
翌日、早朝にケイスがやって来た。
「おはよう、あおいさん」
「おはようございます、ケイスさん」
あおいはケイスをダイニングに通すと、大きなかごを机の上に置いた。
「ポーションゼリーとエリクサー金平糖、出来てますよ」
「ありがとう! 助かるよ!」
あおいはにっこりと笑ってから、台所に戻った。
「あおいさんは、こんな早い時間から働いてるの?」
「えっと、今日は特別ですね。お城から、クレープの大量発注があったので」
「そっか。よかったら手伝おうか?」
「いいえ、大丈夫です」
あおいはケイスの申し出を断って、一人でクレープ生地を作り始めた。
「ちょっと作業を見てても良いかな?」
「どうぞ。お構いできませんが」
あおいはそう言いながら、卵と牛乳の液に小麦木を入れてチャカチャカとかき混ぜ始める。「ほー。手際良いね。さすがプロ」
「おだてても何も出てきませんよ」
あおいがクレープの生地を焼き始めると、ケイスのお腹が鳴った。
「あら、お食事まだなんですね。私もまだだから、よかったら一緒に食べますか?」
「いや、それは申し訳ないから遠慮しますよ」
ケイスはそう言ったが、おなかはグウグウと鳴り続けている。
「じゃあ、目玉焼きとチーズのオープンサンドを作りますね」
あおいはクレープの生地を焼く直前で作業を止め、朝食作りを始めた。
「切ったパンをトーストして、チーズのせ目玉焼きを乗せただけですが」
「美味しそうです。じゃあ、遠慮無くいただきます」
ケイスはあっという間にオープンサンドを食べてしまった。それを見て、あおいは慌てて冷蔵庫からドライフルーツの入ったパウンドケーキを取り出した。
「ドライフルーツのケーキもどうぞ」
「ありがとう、あおいさん。朝食代はいくらくらいかな?」
「そんな、あり合わせの物でお金をいただくわけには、いきませんよ」
あおいもオープンサンドを食べ終え、パウンドケーキをつまむと、またクレープ作りの作業に戻った。
「それじゃ、あおいさん、ごちそうさまでした。お仕事頑張って」
「はい、ケイスさん。ありがとう」
ケイスはあおいの家を出た。
「さてと、クリームと薬草のソテーを作って、クレープで包めば完成ね」
あおいはそう言って、台所と魔法の釜を行ったり来たりした。
おひるをすぎて三時の鐘が鳴る頃、ようやくクレープ作りが終わった。
「はー。疲れた。おもったより早くできたけど、この量は一人じゃ運べないな」
あおいは冷蔵庫に作ったクレープをしまうと、後片付けをしてから遅い昼食をとった。
「あしたは早いから、今日も早めに寝ようっと」
あおいがネル準備を始めようとしたとき、外から声がした。
「あおい様、城から手紙が届いております」
「はーい」
あおいはドアを開け、兵士から手紙を受け取った。
「あ、アレックス様からだ。新年のパーティーに是非来て下さい? え、私、ドレス一着しか持ってないんですけど!?」
あおいは衣装ダンスを見て、ため息を着いた。
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