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41、マシュマロ

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 あおいは目を覚ますと、お店に向かう準備をした。

「今日は新製品を作ったけど売れるかな?」
 そう言いながら、バスケットの中にふわふわのジャンプ力Upマシュマロを詰め込んだ。
「いってきます」
 あおいは誰も居ない家にそう言うと、町に移動した。

 今日も相変わらず、町は賑やかだ。店を開いてしばらくすると、また行列が出来てきた。

「こんにちは、あおい」
「あれ!? アレックス様!? もう城から出られるようになったんですか?」
「はい。それには訳がありまして……」
 そう言うアレックスの後ろからメアリーがひょいっと顔を出した。

「こんにちは、あおいさん」
「こんにちは、メアリー様」
 あおいはちょっと嫌な気分になったが、メアリーはまだ子どもだ。
 マシュマロを一つ取り出して、あおいはメアリーに渡した。

「今日は新製品のジャンプ力Upマシュマロを持ってきたから、一つどうぞ」
「……ありがとう。食べても大丈夫でしょうね?」
 メアリーは警戒しながら匂いを嗅いで、マシュマロを少しかじった。

「あれ? 体が軽い?」
 メアリーがぴょんとはねると、アレックスの肩まで飛び上がってしまう。
「……楽しい!!」
 メアリーはぴょんぴょんと飛び跳ねて笑っている。

「よろこんでもらえて良かったです」
「ありがとう、年増……じゃなくてあおい」
 あおいが止めるよりも早くアレックスがメアリーに声をかけた。
「あまり跳ねると危ないですよ」

 アレックスが注意したタイミングで、メアリーは体勢を崩した。
「ほら」
 アレックスは両手でメアリーを抱きしめると、かるく額をとん、と叩いた。
「……」
 あおいは二人の様子を見ていると、なんだか本当に婚約しているような気がしてきた。

「アレックス様、私に用がないのなら列から外れて下さいませんか?」
 あおいは憮然としてアレックスに言った。
「あおい、焼きもちですか? 子ども相手に」
 アレックスは驚いたようにあおいを見つめている。
「そんなんじゃありません!! 混んでるんですから、注文をお願いします!!」
 あおいは苛立っていた。

「こわいなあ、あおいは。それじゃ、チョコクレープ二つと……」
 アレックスはメアリーを下ろして、あおいの耳元で囁いた。
「あおいの笑顔をお願いします」
「……!」
 あおいはアレックスの顔が近づいたので、うぐぐ、と変な声を上げてしまった。

「年増……じゃなくてあおい、アレックス様から離れなさい! 泥棒猫!」
「もう! チョコクレープを二つですね。はい、どうぞ!!」
 あおいはサッサとチョコクレープを作ると、アレックスとメアリーに渡した。

「あと、マシュマロも下さい。面白かったわ」
 メアリーは100シルバーをあおいに渡した。
「はい、マシュマロ一個ですね」
 あおいはメアリーにマシュマロを渡した。

「それでは、ごきげんよう、年増……じゃなくて、あおい」
「ありがとうございました!!」
 あおいはなんとも言えない気持ちのまま、アレックスをメアリーが去って行くのを見つめていた。
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