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32、きのこオムライス

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 あおいの家に着くと、あおいとアレックスはきのこの入ったかごを台所に下ろした。

「じゃあ、アレックス様が持ってきてくださったきのこは網に入れて棚にかけます」
「干すのか?」
「はい」
 アレックスはキビキビと動くあおいを見つめていた。

「あ、アレックス様は座っていてください。お茶、どうぞ」
 そう言って、あおいは水筒に残っていた紅茶と棚から出したクッキーを出した。
「ありがとう、あおい。手伝えることはありますか?」
「今は大丈夫です。ありがとうございます」

 あおいは食べられる方のきのこのゴミや土を払って、冷蔵庫に入れた。

「それじゃ、きのこオムレツ作りますね」

 そのときドアがノックされた。
「こんにちは、ロイドだけどあおい、居る?」
「はーい!」
「私が出よう」
 アレックスは席を立ちドアを開いた。

「あれ? アレックス様も来てたの?」
「はい、先ほどまで裏山できのこ狩りをしていました」
「そっか、先こされちゃったな」
 ロイドは頭をかきながら、立っている。

「ロイドさんも良かったら、きのこオムライス食べますか?」
「オムライス? なんだそれ? でも美味しそうだな。食べる」
 ロイドはアレックスの向かいに座った。

「ちょっと待っていてくださいね」
 あおいはきのこを手で裂いて、タマネギと炒めた。
 そしてきのこライスを作って、ふわふわ卵をその上にのせている。

「アレックス様はクレイグ様の監視からどうやって逃げてきたんですか?」
 ロイドが訊ねる。
「人聞きが悪いですね。きちんと仕事を終わらせて来たんですよ」
 アレックスは笑って答えた。

「はい、三人分のきのこオムライスが出来ました」
 あおいは台所から小さめの椅子を持ってきて、アレックスとロイドの間に座った。
「いただきます」
「召し上がれ」

 まだ湯気の上がっている卵をスプーンで崩すと、とろっとした卵がきのこライスとからんだ。
 アレックスとロイドは同時に一口ほおばる。
「美味しい」
「熱い、うん、美味しいですね」
「よかった! 私も食べよう」

 あおいはフウフウと熱々の卵とご飯を吹いて冷ましてから一口食べた。
「うん。おいしい。きのこの味が良く出てる」
 三人はもぐもぐと、きのこオムライスを食べた。
「美味しかった!」

 三人は満足してにっこり笑った。
「今度出かけるときには、俺にも声をかけてくださいね」
「ああ、そうしよう」
 アレックスが即答したので、あおいはちょっと微妙な気持ちになった。

「……はい」
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