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22、アイスクリーム

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「暑い……」

 あおいは目を覚ますと、ベッドの中で呟いた。
「やだなあ。今日お店に立つの、しんどそう」
 あおいはそう言いながら台所に移動した。

「そうだ! たしか熱耐性のあがる薬の作り方を本で読んだっけ」
 あおいは記憶をたどり、魔法の釜に材料を入れた。
「たしか、最後にスライムのコアを入れるんだよね」
 スライムのコアを入れた、魔法の釜をぐるぐるとかき混ぜる。

 しばらくすると、冷気が漂ってきた。
「そろそろ完成かな?」
 あおいが釜をのぞき込むと、中にあったのは……アイスクリームだった。
「うーっ」
 あおいは一匙すくって、それを食べてみた。
「甘い! あれ? 体がひんやりしてきたみたい」

 あおいはアイスクリームを瓶に詰めて、街のあおいの店に向かった。
「あおいのクレープ屋です! 今日は熱に耐性の付くアイスクリームもありますよ!」
 お客さんが増えてきた。
「アイスクリームってなんだい?」

 お客さんの問いかけにあおいは答える。
「冷たい、口の中で溶ける食べ物です」
「そうか。それなら今日も暑いし、ひとつ頂こうか」
「ありがとうございます」

 あおいはクレープの注文に答えながら、錬成アイスクリームの紹介も怠らなかった。
「あおいさん、アイスクリームを一つください」
「あ、クレイグさん。はい、どうぞ。100シルバーです」
 クレイグはアイスクリームを受け取ると、列から外れ一口食べた。

「これは!? 体の芯から熱が冷める感じがしますね」
「はい、熱耐性が付くアイスクリームです」
「なるほど。熱耐性の薬も、あおいさんが作るとアイスクリームになるんですね」
 クレイグは真剣な顔でブツブツ呟きながら、頷いている。

「今日は、アレックス様はお城で仕事をしていますよ」
「そうなんですか?」
「はい、ここのところ街の視察を続けていましたから、書類仕事や貴族からの挨拶などの仕事がたまっているんですよ」
 クレイグは笑いながら言った。
 あおいは少しアレックスが気の毒に感じた。

「あの、クレイグさんも王宮に行かれるんですよね?」
「はい」
「でしたら、アレックス様に差し入れをお願いできますか?」
「いいですよ」
 クレイグは笑顔で答えた。

「良かった」
 あおいはアレックスが好きな薬草クレープを焼くと、アイスクリームと一緒にクレイグに渡した。
「それじゃ、よろしくお伝え下さい」
「はい、あおいさん」

 クレイグが去って行った。
「やっぱり、アレックス様忙しいんだな」
 あおいはぼんやりと王宮の方を眺めていた。

「なあ、クレープ早くくれよ!」
「あ! 失礼致しました!」
 お客さんの言葉にハッとして、あおいはまたクレープを焼き始めた。
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