【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ

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53.パンケーキの材料

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「なあ、パンケーキの材料買わなくていいのか?」

 俺が大翔に尋ねると、大翔は目を丸くした。

「いけない! そうだね、大事なことなのに忘れてた!」

 大翔は頭を抱えている。俺は苦笑して大翔の背中を軽くたたいた。

「じゃあ、今から買い物に行くか?」

「うん。ポール君、ステラちゃん、これからパンケーキの材料を買いに行くよ」

「わかった」

 ポールはメモを取り出して、大翔に尋ねた。

「何をどれくらい買えばいいんだ?」

「うーんと……。まずはおためしでパンケーキ10個分の材料を買おうと思う。牛乳と小麦粉とふくらまし粉とお砂糖とたまご、あとは味付け用のバターと蜂蜜を買えばいいかな?」

 大翔の言葉を聞いたポールは、メモを手にしたまま大翔を見つめている。

「ちょ、ちょっと待ってくれ、メモするから」

 ポールはぶつぶつと大翔の言った材料を繰り返しながら、メモを書いた。

「じゃあ、粉屋さんから行こう」

 大翔の提案にみんな頷いた。市場の中の粉屋さんに行き、小麦粉とふくらまし粉を買った。

「次はお砂糖を買いに行こう」

 大翔は買った粉をカバンに入れた。

「わかった。荷物は俺が持つよ」

 ポールが言った。

「え? 重いよ?」

 大翔が心配そうに尋ねると、ポールは頬を膨らませて言う。

「だって、来月からは俺とステラで店を開くんだろ? だったら、できるだけ俺たちで出来るようにしたほうがいいだろう?」

 思いのほかしっかりしているポールに、俺も大翔も感心した。

「そうか。そうだね。じゃあ、荷物はポール君とステラちゃんに持ってもらうね」

 大翔は粉の入ったカバンをポールに渡した。

「それじゃ、残りの材料も買いに行こう」

 俺たちはいくつかの店を回って、パンケーキの材料をそろえた。

「買い物も終わったし、そろそろ店に戻るよ。パンケーキの試作は……お昼の営業が落ち着く三時過ぎにしたいと思うんだけど、いいかな?」

「わかった。よろしくお願いします」

 ポールとステラは大翔に頭を下げた。

「美味しく作れるといいね」
 大翔は足取りも軽く、店に向かった。

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