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51.パンケーキ

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 ポールとステラが来るようになって一週間が経った。

 二人と一緒にサンドイッチやおむすびを作るのにも慣れてきた。
「ねえ、大翔さん。俺たち、自分達だけでも商売できるようになれるかな?」
 ポールが顔色を窺うように、ちらちらと視線を送りながら大翔に尋ねた。
「そうだね。それじゃあ、ちょっと考えようか」
 大翔はサンドイッチ作りの手をとめて、腕組みをして目をつむった。

「どうした? 大翔?」
「うーん……。そうだ! パンケーキ作ってみようか?」
「パンケーキ?」
 ポールとステラが声を上げた。

「うん。小麦粉とふくらまし粉と、お砂糖、卵の量をきちんと計れば、割と作りやすいと思うし」
「パンケーキってなんだ?」
 ポールが疑わし気な視線を大翔に向ける。
「甘くて、美味しいおやつかな? 朝食にもなるね。今日、朝の販売の仕事が終わったら、道具と材料を買ってこよう。ポール君とステラちゃんに、パンケーキの作り方を教えてあげる」

 俺はため息をついた。大翔はどこまでお人よしなんだろう。
「今日のランチ営業はどうするんだ? 大翔?」
「メニューをオムレツとチャーハンだけにすれば、ランチ営業前に少し時間を使っても大丈夫だよ」
「分かった」

 大翔は意外と決めたことについては頑固な面がある。俺は苦笑しながら、大人しく頷いた。

「まずは、朝の市場に持っていくサンドイッチとおむすびの仕上げをしようね」
 大翔がまた作業に取り掛かると、ポールとステラも手を動かし始めた。

「パンケーキか……どんな味なんだ?」
 ポールがつぶやいた。
「結構美味いぜ」
 俺が言うと、ポールはニッと笑った。

 サンドイッチとおむすびを持って市場に向かう。

「じゃあ、また後で」
「ああ」
 俺とステラ、大翔とポールの二手に分かれて、市場での営業を開始した。

「ねえ、なんでお兄ちゃんたちは私たちを助けてくれるの?」
 ステラに聞かれて、俺は首を傾げた。
「ん? なんでだろうな」
「大人は、私たちの言うことなんて聞いてくれないよ?」
 ステラは口をとがらせている。

「まあ、そうかもしれないな。俺は……大翔が助けたいって言ったから、手伝ってるだけだ」
「そうなんだ。大翔さん、優しいよね」
「ああ。そうだな」
 俺が微笑むと、ステラは顔を赤くした。
「健さん、大翔さんが好きなの?」
「ああ、好きだよ」

 ステラはちらりと俺の目を見た。
「ふうん。じゃあ、ライバルだ」
「え?」

 俺が振り返ると、ステラはもう向こうを見て「サンドイッチ、いかがですか?」と声を上げていた。
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