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44.追跡
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「クソッ、どこに行った!?」
俺と大翔は息を切らせてあたりを見回した。
「あっちに行った気がするんだけど」
「よし、行ってみよう」
俺たちは大通りから外れた道を進んで行った。
道は細く、物乞いが時々端に座っている。
「あ、あそこ!」
開いたドアの影になっていたが、人の手がちらりと見えた。
バタン、と扉が閉まった。
「行ってみよう」
「うん」
問題のドアの前に行き、中の様子をうかがう。話し声が聞こえてきた。
「お母さん、今日の売り上げだよ」
「まあ、こんなに? 最近急に売れるようになったけど、何かあったの?」
「みんなが僕たちの作るパンの美味しさに気づいたんだよ」
俺と大翔は顔を見合わせた。
「入ろう」
「うん」
ドアをノックした。
「すいません」
「はい?」
女性の声がした。
「おかあさん、開けちゃダメ!」
「え? 何故なの?」
「何でも!」
「おかしな子ね」
ドアが開いた。
「はじめまして、ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」
俺の言葉を聞いて、女性は不安げな表情で言った。
「なんでしょう?」
女性は俺たちを観察するように見た。
「あ、居た!」
大翔が部屋の奥にさっき俺たちから逃げた少年と少女を見つけた。
「あの、うちの子が何か?」
女性は青白い顔をして、か細い声でに大翔に尋ねた。
「えっと、その……」
「お客さん! 話なら外でしましょう!」
少年が部屋から飛び出し、俺たちを道まで押し戻した。
「お母さんは寝てて! 病気が悪くなっちゃう!」
少女も家から出て、扉を閉めた。
「……お前ら……」
「……ああっ、もう! 家まで来るなんて!! 信じらんねえ!!」
少年が俺のことを睨んでいる。
「悪いのはお前たちだろう? なんで俺たちの店を騙ったんだ?」
「……その方が売れるからだよ」
少年は吐き捨てるように言った。
俺と大翔は息を切らせてあたりを見回した。
「あっちに行った気がするんだけど」
「よし、行ってみよう」
俺たちは大通りから外れた道を進んで行った。
道は細く、物乞いが時々端に座っている。
「あ、あそこ!」
開いたドアの影になっていたが、人の手がちらりと見えた。
バタン、と扉が閉まった。
「行ってみよう」
「うん」
問題のドアの前に行き、中の様子をうかがう。話し声が聞こえてきた。
「お母さん、今日の売り上げだよ」
「まあ、こんなに? 最近急に売れるようになったけど、何かあったの?」
「みんなが僕たちの作るパンの美味しさに気づいたんだよ」
俺と大翔は顔を見合わせた。
「入ろう」
「うん」
ドアをノックした。
「すいません」
「はい?」
女性の声がした。
「おかあさん、開けちゃダメ!」
「え? 何故なの?」
「何でも!」
「おかしな子ね」
ドアが開いた。
「はじめまして、ちょっとお伺いしたいことがあるんですが」
俺の言葉を聞いて、女性は不安げな表情で言った。
「なんでしょう?」
女性は俺たちを観察するように見た。
「あ、居た!」
大翔が部屋の奥にさっき俺たちから逃げた少年と少女を見つけた。
「あの、うちの子が何か?」
女性は青白い顔をして、か細い声でに大翔に尋ねた。
「えっと、その……」
「お客さん! 話なら外でしましょう!」
少年が部屋から飛び出し、俺たちを道まで押し戻した。
「お母さんは寝てて! 病気が悪くなっちゃう!」
少女も家から出て、扉を閉めた。
「……お前ら……」
「……ああっ、もう! 家まで来るなんて!! 信じらんねえ!!」
少年が俺のことを睨んでいる。
「悪いのはお前たちだろう? なんで俺たちの店を騙ったんだ?」
「……その方が売れるからだよ」
少年は吐き捨てるように言った。
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